弊社では「ご主人様」を廃止しました

駒崎 弘樹

今日は女の子のお祭り。ひな祭りです。

ひな祭りに合わせて、認定NPO法人フローレンス先進国最悪の日本の男女格差について思いを巡らしました。

そして、できることをしていこう、ということで、身近な社内文化を変えるアクションを決定しました。

それが「ご主人様」という呼称の廃止です。

そもそも、なんで「主人」?

明治政府において制度化された日本の家父長制・家(イエ)制度においては、男性たる家長を頂点としたヒエラルキーが存在していました。

よって、家長たる夫は家の「主人」であり、「面倒をみる人」の意味で「旦那」と呼ばれるようになりました。

そしてその名残は150年経った今でも残っていて、自分の夫を、「主人」や「旦那」と呼んだり、会話の相手の夫に対し、

ご主人は、何をされているんですか?」

旦那さん、風邪ひいちゃったの?」

等というような用法は、現代21世紀の我々の日常生活の中でも使われています。

先進国最低の「女性非活躍」国

一方で、日本は世界経済フォーラムが発表した男女平等ランキングによると、日本は144カ国中、111位と、G7最低です。(出典:朝日新聞

ジェンダーギャップ.jpg

明らかに我が国は、男女平等な国とは言い難い状況です。

現代において、いまだに男女の不平等を前提にした「主人」という言葉を使い続けることは、正しいことなのか。

 むしろ、その言葉を使うことで、問題の構造を温存させることに、手を貸してしまうのではないだろうか。そのようにフローレンスは考えました。

「ご主人様」を廃止しよう

そこで、フローレンスでは、自分の夫のことを呼ぶ際の「主人」、あるいは相手の夫を呼ぶ時の「ご主人様」という呼称を、社内では廃止することにしました。

自分の夫を言う場合は、「夫」。

話している相手の夫を言う場合は、「パートナー」としよう、と。

「パートナー」という横文字は、なかなかに馴染みのないものではありますが、この言葉なら、事実婚をしていたり、LGBTカップルの社員たちにとっても、違和感のないものではないかな、と考えました。

「今日は、子どものお迎え、夫にお願いした」

「鈴木さんのパートナーさんって、フリーでお仕事されてるんでしたっけ?」

みたいな用法で使っていけたら、と。

社内用語を規定するマニュアルに追加し、入社する社員全員に伝えていく仕組みにします。

(その他「家内」「嫁」等も家父長制を前提にした言葉なのですが、社内ではほとんど使用者がいなかったので、今回は「ご主人様」を中心に廃止することにしました)

「ご主人様 廃止宣言」を!

確かに従業員500人程度の我々フローレンス社内で、こうしたアクションをとっても、日本の文化に埋め込まれた、女性を下位に置くコードをすぐに変えることは、難しいでしょう。

しかし、このアクションが他社にも広がっていけば、もしかしたら、ちょっとずつ文化を変えられるかもしれません。

例えばタバコ。昔は自分の席でもタバコって吸えてたんですよ。想像しづらいですよね?でも、ちょっとずつ喫煙室以外は社内禁煙の会社ができていって、そして今では社内禁煙じゃない企業が珍しいようになりました。

半径5メートルから、社会の変革を。

我々は常に、男女がフェアに扱われる社会、多様な家族を認められる社会に向けた、変革の起点になっていきたいと思っています。 

賛同される企業や団体、そして個人の皆さま。ぜひ「ご主人様 廃止宣言」をして頂けたら、アクションが可視化されていくのでは、と思います。

男性も女性も、共に進んでいく社会を目指して。

身近な「ことば」から、変革を始めていきましょう!


編集部より:この記事は、認定NPO法人フローレンス代表理事、駒崎弘樹氏のブログ 2017年3月3日の投稿を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は駒崎弘樹BLOGをご覧ください。