谷査恵子さんの東大卒ノンキャリアという経歴

2017年04月01日 19:30

今週発売の週刊文春によると、話題の安倍昭恵夫人付きの谷査恵子さんは、ノーベル賞の山中伸弥さんも卒業した大教大附属天王寺高校(偏差値75)から東大文学部へ進学。管理職にはなりたくない。現場で働きたいと希望し、ノンキャリア試験を経て経産省へ入省したという。

世間一般の方からすれば、不思議な経歴なのだろうが、そんなに珍しい経歴ではない。文Ⅲに入ったあと公務員になりたいと思ったら、教養学部を経由して外交官や国際関係のポストが多い省庁をめざす道がある。小和田恒大使もそうだ。

しかし、文学部などに進むと、普通は、それぞれの専門分野かマスコミか教職に行きたいと思う。しかし、それを良い仕事に就けそうもないと諦めたり、やっているうちに嫌気がさしてもっと堅実な職につきたいと思う人もいる。

その場合に、法律職や経済職で事務系のキャリアになる試験に通るのは非常に難しい。法学部でも現役で合格できるのは上位三分の一くらい出ないと難しいのだから、文学部からは至難だ。

そういうこともあって、多いのは地方公務員やかつて特殊法人といわれたところなどの団体職員なのだが、なかには、霞ヶ関の一般職員も悪くないという人もいる。とくに女性には多い。

合格して東大卒だからといって特別扱いはできないが、語学などに強い人もいるので、専門職的に重宝される。留学などする人もいるし、国際機関に出向したらキャリアであるかないかは関係ないし、大学院でも出ていたら、キャリア官僚より国際機関では上位に扱われたりして、事実上は、準キャリア的に扱われたりすることもある。

谷さんはそういう立場の人らしい。彼女がノンキャリアにしては、自分の判断で動くことを容認されている印象はあったが、そういうことなら分かるのである。

問題の財務省への問い合わせにしても、隙のない問い合わせをして、役人的にしっかりした返答を、丁寧だが実質ゼロ回答に留める文章にしたのも納得だ。

財務省の室長は、この質問をどう扱ったかといえば、これは想像でなく、私ならどうするかということでいえば、署名なしのメモでも渡したのではないか。霞ヶ関であろうがなかろうが、世の中で署名なしのメモはよく存在する。

たとえば、マスコミの取材を受けて、どうも、相手が自分のいったことを理解してくれるのは難しいだろうと思ったら、「これ、ご参考までにメモったのですが、そんな精査してないから私の文章としては使わないで下さい」ということはよくある。

それから、谷さんが海外に「左遷」されるとかいう噂もあるが、たとえ、そういう異動があったとしても、左遷ではあり得ない。海外赴任は基本的に栄転である。とくに、ノンキャリアのひとにとっては、チャンスは非常に少ないうらやむべきポストだ。

首相夫人付きとかいう苦労の多いポストのあと、本人が希望すれば、総理官邸のあとは海外というのは、ありうるポストで、それは大栄転であって、左遷ではありえない。経済産業省から菅直人総理秘書官に出向していた職員でも、そのあとのポストはパリのIEA本部の幹部だった。これだって、口封じとかいう人もいたが、栄転だった。

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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授

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