犯罪捜査に求められる「超能力」

2017年04月19日 11:30

当方は通常、午前4時前に起床し、簡単な朝食後、仕事に取り掛かる。そして正午ごろ、昼食を終えると、胃袋に血液が集中し頭に血が回らなくなる。そこで気分転換という意味から最近はAmazonプライムやネットフリックス(Netflix)が配信するサスペンス番組を1本、ないしは2本観る。以下は当方が観た範囲での米犯罪番組評だ。

▲腕立てをする警察官(ORFのHPから)

▲腕立てをする警察官(ORFのHPから)

ネットフリックスとamazonプライムが製造し、配信する犯罪シリーズ番組を見ていて気がつく点は、時代の趨勢を反映してか、単にピストルを撃ち、犯人と格闘するシーンより、IT技術を駆使して犯罪捜査するストーリーや、FBIが超能力をもつ一般人をコンサルタントとして雇い、犯人を追及するストーリが増えてきていることだ。

いつ頃からかと考えると、大きな転換となったのは多分、USAネットワーク制作の名探偵エイドリアン・モンク時代(2002~09年放送)ではないか。妻を失い、強迫性障害に悩む警察官がその特殊な能力で犯人を追うストーリは人気を博し、日本でも放映された。そしてCBS制作の「メンタリスト」(2008~15年)にもその傾向は受け継げられた。「メンタリスト」の主人公パトリック・ジェーンも名探偵モンクもピストルを撃ったり、犯人と格闘するシーンはほとんどない。視聴者は主人公が特殊な能力(観察力、分析力、予知力など)を駆使して犯人を見つけ出すプロットに惹かれていく。

ちょっと変わったところでは、天災詐欺師がFBI捜査官に協力して犯罪を捜査するUSA制作の「ホワイトカラー」(2009~2014年)や推理小説のベストセラ―作家がニューヨーク警察の女性警察官と一緒になって犯人を追う「キャッスル」(2009~16年5月)も通常の警察物語にない面白さがあって成功している。

特殊能力といえば、米CBS放送のテレビ番組「クリミナル・マインドFBI行動分析課」(2005年9月から放送中)に登場する捜査官の1人、スペンサー・リード博士は先天的映像記憶力の持ち主で、1度読んだ書物の内容を忘れない。最近では、「アンフォゲッタブル」の女刑事キャリー・ウェルズもその1人だ。1度見た人間、風景を決して忘れないという超記憶力の持ち主だ。

英BBC放送の「シャーロックホームズ」ではシャーロック(べネディクト・カンバーバッチ主演)が捜査の中で「マインドパレス」という言葉を繰り返す。シャーロックの記憶パレスは脳内の海馬だろう。シャーロックは論理的な思考を駆使して犯人を追及していく。犯罪は過去に生じたものである限り、記憶が事件解明のカギとなるから当然だろう。

ちなみに、米国の犯罪番組の傾向に反論するわけではないが、オーストリア国営放送は先日、警察官のフィットネスチェックについて報じていた。凶悪犯人を追う現場の警察官にはやはり体力と射撃技術が資本というのだ。ただし、オーストリアでも外国語能力があり、多方面に精通した若いエリートたちをリクルートすべきだという声が聞かれる。

なお、オーストリア警察の名誉のために付け加えると、オーストリア警察官の評判は悪くない。特に、テロ対策特殊部隊コブラはドイツが誇る対テロ特殊部隊(GSG9)より能力が高いと評価されているほどだ。


編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2017年4月19日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。

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