小池さん、20億円の豪華クルーザーはレガシーなの?

2017年05月13日 06:00

アジムット・ベネッティ社のHPより引用

高額出張費を問題視された、舛添前知事が釈明時に「政治家はトップリーダーです」と発言したことは記憶に新しい。さらに、同時期に、1年間で約50回ほど公用車で湯河原にある別荘に行き来したことも判明する。

この時にも、「政治家はトップリーダーです。グランドデザインを描く作業があるんです」と発言。平時で支持率が高ければ問題もなかっただろう。しかし、「特権意識が強い」「都民を見下している」と批判が強まり、その後、辞任に追い込まれる。

「もったいない」ってどういうこと

舛添氏が辞任し、小池氏が知事に就任すると、「都民ファースト」「もったいない」を旗印に五輪予算に大ナタを振るうようになった。しかし、会場移転は実現せず、ボート、水泳競技は移転断念、バレーボールも原案どおりに有明アリーナ新設で決着することになる。

その影で豪華クルーザー建造にGOサインを出していたとのニュースがあった。「世界のVIPを東京湾案内 小池知事が豪華クルーザーに20億円」(NEWSポストセブン)。

この一件は調べてみると大変興味深い。公表された情報によれば、クルーザーは全長35メートルでデッキは3層。22人掛けの大テーブルが置かれた同時通訳ブース付きの会議室がある。かなり豪華であることは間違いない。

それもそのはず、アジムット・ベネッティ社は大富豪やセレブご用達の超高級ビルダーとして名を馳せているからだ。こちらのアジムット・ベネッティ社のHPには、今回、小池知事が発注した20億円の豪華クルーザーと「同クラスのもの」が掲載されている。関心のある方はご覧いただきたい。

発注先のアジムット・ベネッティ社(Azimut Benetti)は、イタリアでも新興ビルダーという位置づけだったが、世界的な富豪(ロックフェラーやクウェート王室など)へのセールスにも成功。1985年には、1835年創業という老舗造船所のベネッティの買収に成功する。

これによって、イタリア最大の大手ビルダーグループを形成するにいたる。私は船舶にはまったく詳しくないのだが、知人に言わせれば“世界最高級のブランド”として知られており、セレブの間でもステータスが高いようだ。

小池知事は豊洲移転や五輪施設は、細かいコストやスケジュールを都民に開示している。今回も、20億円の豪華クルーザーを発注した経緯を説明すべきではないのだろうか。このままでは、五輪を隠れ蓑にした“無駄遣いじゃないの?”と誤解を与えてしまう危険性がある。

また、海上保安庁は巡視艇(迎賓船としても利用)「まつなみ」を保有している。操舵室の上方に貴賓室が設けられており定員30名の会議室もある。元々、VIPの乗船を想定しているので、防音・防振にも優れている。コストのみならず、治安についても、海保の迎賓船を利用する方がメリットが高いと思われるが、そのような観点は無かったのだろうか。

都議会での議論はどうだったの

経済・港湾委員会速記録第四号」から抜粋する。

経済・港湾委員会速記録第四号
平成二十八年三月十五日(火曜日)
第八委員会室

○あさの委員
「新東京丸」の外観が船の機能を損なわない範囲で、それだけで引きつける、あるいは、浮かんでいる姿が東京の夜景とか、そういうところにマッチしていて、実にそれだけを写真に撮りたいと思えるような、そういった船というものをつくるべきじゃないかと思いますが、見解を伺いたいと思います。

○浜総務部長
現在の「新東京丸」は、老朽化が著しく、更新の時期を迎えていることに加えまして、今後、二〇二〇年東京大会に向けて、国内外から東京港の視察がふえることが予想されますため、新しい視察船の建造に着手したものでございます。

小池都知事は、2020年の東京五輪について「やたらとお金がかかるものではなく、2020年の五輪では町全体のグレードアップにつながるレガシー(遺産)作りをしていきたい」と述べていた。まさにレガシーである。

政治家は、後世に業績として残すことを期待して「レガシー」という表現をつかうが、レガシーの直訳は「遺産」である。遺産だから20億円の負担分を都民が負担(相続)することになる。都民には縁が無い豪華クルーザーの是非についてどのようにお考えなのだろうか。

これは、五輪費用節約を期待している都民を裏切ることにはならないのか。舛添氏の時代に来賓をもてなす迎賓館建設が計画された。しかし、その迎賓館はもはや計画には存在しない。存在しない迎賓館まで来賓を運ぶ豪華クルーザーが必要なのか摩訶不思議である。

ネットメディアの潮流を知りたい

今後、この豪華クルーザー問題にスポットが当たるかはわからない。特に、中核メディアにおいては扱う情報が意図的に区別されることがある。高度化する政治やビジネスの「世論ゲーム」のテクニックに翻弄される恐れがあることを知らなければいけない。

昨年以降のネットメディアの潮流は著しい。都知事選、参議院選、その後は蓮舫氏の二重国籍疑惑を追及したことでその注目が集まった。いま、話題の書籍がある。アゴラ編集長の新田哲史氏が上梓した『蓮舫VS小池百合子、どうしてこんなに差がついた? 』である。

政治のノンフィクションだが、堅苦しい本ではない。参考まで、アゴラにおける昨年のアクセス数(月間)は、単体300万PV、Yahooニュース等への配信分も含めても全体700万PVほどだった。現在は、単体1000万PV、全体3000万PVを実現している。本書を読めば良質な読者を集める方法がわかることだろう。ネットに関わる多くの人に参考にしてもらいたい。

参考書籍
蓮舫VS小池百合子、どうしてこんなに差がついた?

尾藤克之
コラムニスト

<アゴラ研究所からお知らせ>
―2017年5月6日に開講しました―

第2回アゴラ出版道場は、5月6日(土)に開講しました(隔週土曜、全4回講義)。
次回の出版道場に、1年前にトランプ勝利を予言した、渡瀬裕哉氏が登壇」。

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