私が質問したのは、日本獣医師会の既得権益を守るためか?

玉木 雄一郎

産経新聞が、まるで、私が日本獣医師政治連盟から100万円もらって、加計学園の獣医学部設立を阻止するために質問したというふうに報じています。

すごいですね。。。

確かに、私の父と弟は獣医師です。また、民主党政権時代、党の獣医師問題議員連盟の事務局長を務め、獣医師の先生方の協力も得ながら、口蹄疫や鳥インフルエンザ対策、そして、東日本大震災時の被災ペットの救護活動の問題などに取り組みました。被災地の獣医さんには、大変お世話になりました。

そして、2012年末の衆議院選挙の際には、日本獣医師会政治連盟から100万円の献金をいただきましたが、関係法令に基づいて適切に処理されており、何の問題もありません。

日本獣医師政治連盟から献金を受けたのは、この年だけです。これは、5年前の話。安倍政権になってからは一度もありません。

私が、国家戦略特区での獣医学部新設を叩くために、献金をもらったとの指摘がありますが、そもそも、献金を受けた民主党政権時代(2012年)には、国家戦略特区制度がまだ存在していません。国家戦略特区法が施行されたのは、第2次安倍内閣成立から約1年後の2013年12月13日です。

また、2015年6月22日の日本獣医師会定期大会に参加した際の発言についても一部で取り上げられていますが、これも、完全な印象操作です。

会の冒頭、蔵内会長から国家戦略特区への懸念を表明する挨拶があり、先に挨拶された与党の議員から心配ないとの挨拶があったので、私は「与党の先生が言っているから大丈夫だと思うが、仮におかしなことになれば、私もしっかりチェックしたい」旨は述べました。

ただ、当時まさか「おかしなこと」が実際に起こるとは思ってもいませんでした。

しかし、今年2017年に入って、懸念していた「おかしなこと」が起きたのです。

石破前大臣さえ「なぜ大臣が変わることでこんなに進むのか不思議だ」と驚くほど急に物事が進み、加計学園が、なぜか「1校に限って」選ばれたのです。しかも、なぜか「開校は来年4月」という急ピッチのスケジュール。

私が特に変だと思っているのは、石破前大臣時代の2015年6月30に閣議決定した、いわゆる「石破4条件」を無視して、加計学園が選定された可能性があることです。

私は地域を限定して規制の特例を認める「特区」という枠組み自体には反対ではありません。しかし、それは、あくまで関係法令や閣議決定などのルールに違反していないことが前提です。

2015年の閣議決定は、特区で認める場合には、「既存の大学・学部では対応が困難な」「既存の獣医師養成ではない」構想であることなど4つの条件を定めていますが、このルールに違反して加計学園が選定された疑いがあるのです。

みずからが決めたルールを無視し、公平・適正な行政手続きを捻じ曲げ、総理の親友の経営する学校法人にだけ獣医学部の新設を認めたとしたら、さすがに、

「大丈夫なのか?」

と誰かが問いただすべきではないでしょうか。

私がこの問題を取り上げれば、獣医師会との関係を指摘されるのはもとより覚悟していました。

しかし、おかしいことはおかしいと指摘しなければなりません。それを放置するようでは、おかしな日本になってしまいます。

また、この問題には民進党がチームとして取り組んでいます。同僚議員とともに調査し、疑惑があるから、国会対策委員長の指示に基づいて質問しているのです。

何の疑惑もないなら、正々堂々と、なぜこんな「おかしなこと」が起きたのか、説明してもらいたい。

どうして、総理の親友案件だけ、いろんなことを無視して特例的に物事が進んだのか、国民に納得できるように説明してもらいたい。

多くの「なぜ?」に答えてもらいたい。

献金をもらって誰かを責める。そんな馬鹿馬鹿しいことをするために私は国会議員になったのではありません。

不公平、不適切な行政手続きはないのか?

法令やルール違反はないのか?

そして、権力の私物化はないのか?

誰も問わなくていいのでしょうか。

行政監視は国会の大事な仕事の1つです。

厳しく検証する人間のいない国会を、誰が望んでいるのでしょうか。

支持していただける人が増えてくれることを願っています。


編集部より:この記事は、衆議院議員・玉木雄一郎氏の公式ブログ 2017年5月23日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はたまき雄一郎ブログをご覧ください。