独立100周年に国際テロの「洗礼」

2017年08月22日 11:30

スペイン東部バルセロナ市の車両暴走テロ事件の動向に追われていた時、北欧のフィンランドから「テロ事件が発生したようだ」という情報が流れてきた時はやはり驚いた。フィンランドではこれまでイスラム過激テロ事件が発生したと聞いたことがなかったからだ。
少し遅れたが、フィンランドのテロ事件をまとめた。

▲フィンランドの風景(フィンランド政府観光局公式サイトから)

▲フィンランドの風景(フィンランド政府観光局公式サイトから)

フィンランド南西部のトゥルク中心部で18日、若い男が大きな刃物で通行人を襲撃し、2人(女性)を殺害し、8人に重軽傷を負わせた。駆け付けた現地の警察官は容疑者の脚を撃ち、逮捕し、病院に搬送した。地元メディアの報道では、容疑者は「アラー・アクバル(神は偉大なり)と叫びながら、通行人を襲った」という。

トゥルクは、フィンランドの最古の町で一時首都だった時代もあった。バルト海に面す港湾都市。南西スオミ県の県庁所在地で、人口は現在、約17万6000人だ。

容疑者の犯行動機は依然不明で、犠牲者をランダムに選んで襲撃している。ただし、死者と負傷者の6人が女性だったことから、攻撃しやすい女性を狙って襲撃したと考えられる。犠牲者の年齢は15歳から67歳で、スウェ―デン人、英国人、イタリア人など外国人が含まれていた。

捜査当局が19日公表した情報によると、犯人はモロッコ出身の18歳の男性。2016年にフィンランド入りし、難民申請をしたが、地元メディア報道によると、「拒否された」という。

バルセロナのテロ実行犯がほとんどモロッコ人だったこともあって、その直後に発生したトゥルクのテロ事件との関係が注目されている。明確な点は、「ナイフ射殺テロ事件の背後にはテロ的な動機があった」と見られていることだ。地元警察は容疑者と繋がりのある4人のモロッコ人を拘束し、5人目のモロッコ人を国際手配したことを明らかにした。

人口約550万人の小国フィンランドは北欧でも最も安全な国の一つと受け取られてきただけに、トゥルクのテロ事件に政治家も国民もショックを受けている。
フィンランドのユハ・シピラ首相は「テロは卑怯で嫌悪すべき行為だ。わが国はテロ問題と決して無縁の国ではない。テロがわが国にやってきたのだ」と述べ、テロ対策の強化をアピールしている。

パウラ・リシッコ内相は警察関係者に公共施設、駅や空港での警備の強化を指令している。メディア情報によると、トゥルク市から出る全てのバス、列車のコントロールが実施されているという。同時に、国境の警備強化も行われている。民族派政党からは「難民を国外に追放すべきだ」といった声も飛び出してきたという。

フィンランドといえば、当方は直ぐに携帯電話メーカーの老舗ノキアや元プロのテニス選手で現在プロのポーカー選手となったパトリック・アントニウス、元F1ドライバーのミカ・ハッキネンの名前を思い出す。政治的には、冷戦時代はロシア寄りで、フィンランド化という言葉も聞かれた。現在は欧州連合(EU)加盟国(1995年)であり、2002年にはユーロを導入済みだ。西にスェウ―デン、東にロシアとの国境に接している。両国は一時、フィンランドを支配した占領国だった。

ちなみに、フィンランドは今年12月6日、ロシアから独立して100周年目を迎える。その記念の年に、フィンランドは国際テロの洗礼を受けたわけだ。


編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2017年8月22日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。

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