メディアに叩かれてたけど、本当はスゴい4人の議員

衆議院議員選挙、真っ盛りです。この前まで野党第二党だった民進党が一瞬でなくなったり、この前まで無かった希望の党が、早くも分裂しそうだったり、政党単位だと「よくわからん」という感想を多くの人が持つかと思います。

そこで、人に焦点を当てて、皆さんの知らない候補者たちの側面をご紹介したいと思います。

(*記事は筆者の個人的価値観と体験に基づいており、筆者の所属する団体等とは、何ら関係ありません。写真は公式HP等からの転載です)

金子めぐみ

:(新潟4区(新潟市・三条市・長岡市等)・自民党

議員会館内の事業所内保育所に公用車で送迎したら、「公用車の私物化だ!」と週刊新潮に叩かれた金子議員。お前は何を言ってるんだ、オヤジ雑誌め!と逆に週刊新潮が叩かれたのは、記憶に新しいかと思います。

その金子議員、実は敵は週刊誌等メディアや他党だけでなく、自民党内にもたくさんいるようです。

これはご本人からではなく、関係者の方から聞いたことですが、彼女が地元のお祭りにベビーカーで挨拶回りをしていた時です。地元の自民党の地方議員が「子どもをダシに使って・・・!」というような批判を本人に言ったそうです。

それに対し、金子議員は特に何も言い返さず、唇を噛んで耐え忍んだようです。この話を聞いて、ああ、政治の世界終わってるな。こりゃ女性政治家が増えないわけだ、と関係ない僕がマジギレしました。

そんな風に古い世界で、歯を食いしばってママ議員やってる金子議員。実は結構スゴいんじゃないかな、と思います。

荒井さとし

:北海道3区(札幌市)・立憲民主党

元国家戦略担当大臣で、「キャミソール荒井」と新聞・週刊誌に掻き立てられぶっ叩かれた方です。

事務所費でキャミソールを買ったことを取り上げて燃やされたわけですが、女性秘書の方が、他の候補の応援に数週間出張に行って、その際に買った日用品の中でユニクロのキャミソールがあったそうで、今から考えると別に良いじゃんって感じなんですが、面白く書こうと思えば変態的な中年に仕立てあげることができるので血祭りになってしまいました。

そんな荒井議員ですが、地味に良いことしています。制度と制度の狭間にいて十分な支援が受けられない医療的ケア児たちのための超党派の勉強会「永田町こども未来会議」を立ち上げました。

そこに、厚労省や文科省のキーマンとなる官僚を呼んで、どうしたら制度が救えていない医ケア児を助けられるか議論。結果として、障害者総合支援法の改正の際に、自治体に医療的ケア児を支援する努力義務が課されることになりました。

医療的ケア児なんて、まるで票にならない分野で、別に出しゃばるわけでもなく、手柄は他党に、官僚に渡していきながら、物事を動かしていくその姿勢に、「あぁ、本当のヒーローというのは、真っ赤なマントを羽織っているのではなく、どこにでもいる普通のおっさんの格好をしているんだな」と学ばせてもらいました。

辻元清美

:大阪10区(高槻市・三島郡)・立憲民主党

ネットでデマの餌食になるのが恒例の辻元さん。メディアでは、「ヒステリックなおばちゃん」という描かれ方をしますが、そんなことは全然なく、すごい豪傑です。

2011年に、一緒にロフトプラスワントークショーに出た時のこと。途中まで和やかに話していたのですが、当時は俳優だった山本太郎が乱入して来て、それと同時に「反原発右翼」を名乗るスキンヘッドの3人組が、辻元さんにものすごい野次を浴びせかけて、イベントが騒然としました。

僕がたまりかねて「うるさい!人の話を聞け。それが民主主義だ」と一喝したら、イベント終了後、反原発右翼らが僕をボコりにきて、小競り合いになり、僕はイベント主催者の方に引っ張られてタクシーに詰め込まれてことなきを得ました。死ぬかと思った・・・。

その後、そんなおっかないスキンヘッドな屈強な男たちを相手に、辻元さんがこんこんと原発政策について政府のスタンスを話し続けて、最終的には荒ぶるスキンヘッズが「そういうことなら、あんたの言うことも分からないでもない」と説得されて帰ったのでした。

普通の人ならビビって退避するところを、一歩もひかず、しかも殴り合いにもならずに納める。なんという肝の座った人だ、とリスペクトしたのでした。

山尾志桜里

:愛知7区(瀬戸市・日進市・長久手市等)・無所属

不倫疑惑で離党された山尾さん。個人的には不倫してようがしまいが、仕事をしっかりやってくれていたら全然良いと思っています。

そして山尾さんは、確かに仕事をする人です。

昨年2月、「保育園落ちた日本死ね」ブログがバズり、僕が解説記事を書いてなおさらバズり、それを山尾さんの事務所のインターンの女子大学生が読み、山尾さんに「これを国会で取り上げたらどうでしょう?」と伝えたそうです。

そして山尾さんは安倍総理に国会質問。国会論戦になったことでテレビが注目し、一気に政治的イシューになりました。

(余談ですが、僕が匿名で書いたブログだと当時思われ、自民党のある偉い人からも「あれって、駒崎くんなのかな?」という問い合わせが来た、という笑い話があったり)

そして騒ぎになってようやく与党の方々は、保育園不足の原因が保育士不足で、その最大の原因が低い処遇だということに気づき、処遇改善に動いてくれました。

結果として、今年度から保育士給与は2%(6000円)増に。東京都も国に負けじと2万円のアップに踏み切りました。保育業界が長年訴えてきたのに見向きもされませんでいたが、1つのブログと1人の議員の国会質問によって、事態は動いたのでした。

そういう実績もつくってきた人なので、無所属であっても、また子ども達のために、保育のために国会で働いてほしいな、と思います。

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以上、メディアでは叩かれていたけど、本当は結構良いことやってきた人たちの裏話をご紹介しました。

でもあくまでも僕の個人的いち意見なので、その人のプロフィールや政策、総合的に、ご自身の価値観と照らし合わせて、投票に生かしてもらえたらと思います。

いずれにせよ、誰かに一票を投じなければ、組織票を持っているところが意見を通しやすくなって、我々個人の要望なんて無視できてしまう世の中になっていくのですから。


編集部より:この記事は、認定NPO法人フローレンス代表理事、駒崎弘樹氏のブログ 2017年10月18日の投稿を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は駒崎弘樹BLOGをご覧ください。