向きが逆!マイナポータルと民間の連携

マイナポータルは共通番号制度の下で構築された、政府が運営するオンラインサービスである。国民から行政への電子申請や行政から国民への通知(お知らせ)に利用できる。本年11月に本格運用が始まる。

政府はマイナポータルに多様な機能を搭載しようとしている。「民間送達サービスとの連携」を利用すれば、マイナポータル画面から民間サービスに移動でき、また、民間からのお知らせがマイナポータル画面に表示されるようになる。

ポータルは「玄関」という意味でネットを利用する際に拠点となる場所である。マイナポータルにもポータルと付いているから、「ネット利用の際にはまずマイナポータルを開き、そこから民間サービスに移動してもらいたい」という希望を持って「民間送達サービスとの連携」機能が開発されたのだろう。

しかし、国民はマイナポータルをポータルとして利用するだろうか。それには、行政との情報のやり取り頻度が障害になる恐れが高い。めったに電子申請などしない、また行政からのお知らせも数が限られるという人々が、代り映えのしないマイナポータルを毎日開くとは思えない。しかも、このような国民が多数派だ。

「民間送達サービスとの連携」は向きを逆転させたほうがよい。民間サービスからマイナポータルに移動できる、民間サイトにマイナポータルからのお知らせが表示される。これで国民との距離が縮まるだろう。Yahoo! Japanを開くと「マイナポータルからお知らせがあります」と表示され、そこからマイナポータルに飛べるというのが具体的イメージである。

先ごろ、マイナポータルとLINEとの連携サービスが開始された。LINEに「マイナポータル公式アカウント」を登録すれば、そこからマイナポータルに飛ぶことができる。これは、逆向き施策の第一歩と評価できる。

マイナポータルからお知らせがあれば、LINE内の公式アカウントのような民間側に「新着情報あり」と表示するようにしてもらいたい。国民にマイナポータルを浸透させるために「ポータル」という名前にこだわるのは止めたほうがよい。