いつの間にかリボ!終わらない旅の始まりは悪魔の返済

右は川部氏。左は佐藤副編集長(永岡書店)

皆さまは、クレジットカードをお持ちだろうか。クレジットカードは意に反して「リボ払い」になってしまうことがあるようだ。支払いの際に、「一括」、「○回払い」、「ボーナス払い」と指定しているにも関わらず、実はリボ払いになっていたというケースがあるという。なぜこのようなことが起きてしまうのだろうか。

今回は、ファイナンシャルプランナー(CFP(R)、1級FP技能士)、社労士として活動している、川部紀子(以下、川部氏)に、クレジットカードのつかい方について話を聞いた。クレジットカードの特性を理解したうえで賢く使用したいものだ。近著に『家計簿不要!お金がめぐる財布の使い方』(永岡書店)がある。

「いつの間にかリボ」が起こる理由とは

――支払い明細を見て残高が減っていない、「カードは利用できません」と言われ、利用可能な限度額に達していることに気が付き、リボが判明するケースが多発している。

「この事例を読んで、『バカだなぁ』と思っている人も多いと思いますが、そんなこともありません。なんと、あの勝間和代さんも、リボ払いになっていたことに気が付かず、半年くらい手数料を払っていたことを告白しています。これはもう、バカにできる事態ではありませんよね。発生する原因について解説します。」(川部氏)

「クレジットカードを作る特典として、『最大6000ポイントをプレゼント』などという広告を目にしたことがありませんか。1ポイント1円だとすると、現金6000円と同じ価値になることと同じですからお得であることは間違いありません。」(同)

――しかしここに落とし穴がある。注意すべきは「最大」という文言だ。○○に申し込むと2000ポイントプラス、と加点されていき最大6000ポイントもらうことが可能という仕組みがあったとする。その○○の中に「リボ払い」が含まれていることがある。

「ポイント欲しさに、チェックを入れてしまうと、手元に届いたカードの設定が『リボ払い』になっているのです。こうなると、会計の際に『一括』を指定しても、カード会社でリボ払いに変換されてしまいます。これに利用明細を見て初めて気が付くというわけです。また初期設定がリボ払いのカードも存在します。」(川部氏)

「いつの間にかではなく『最初からリボ』です。このように、『リボ払い』は利用しない、という考えの人にも『いつの間にかリボ』は起こり得るのです。」(同)

リボ払いの仕組みについて理解を深める

――カードでの買い物は、お店に対してはカード会社が立て替えて払ってくれていて、あとからカード会社にその金額を返す仕組みになっている。カード会社という第三者に立て替えてもらっているもらっているわけだ。カード会社が収益をあげるために、一括払い以外に、時間をかけて返す方法が用意されている。その一つがリボ払いになる。

「カード会社は、返済を引き延ばす人達の手数料が儲けになります。引き延ばしてくれるほど儲かるので、もっとも返済に時間のかかりやすい方法をおすすめしてくるのは当然のこと。それがこの『リボ払い』なのです。たくさん買い物をしても、毎月返す額が5000円とか10000円という一定額で押さえられる、という仕組みです。」(川部氏)

――つまり、完済はどんどん先送りなり、その分手数料もたっぷり払うことになる。「リボ払い」を選択した時点で、「終わらない返済の旅」に出てしまったようなものだろう。ここで、わかりやすいシミュレーションを提示したい。

「月々5000円+手数料(実質年率15%)のリボ払いを想定します。毎月2万円を1年間に渡って支払いすると、2万円×12カ月=24万円の利用額になります。毎月5000円しか払っていないので、1年経っても、4分の1の6万円しか返していないことになります。手数料は毎月、【前月末時点での返すべき残高×15%÷12】で計算します。」(川部氏)

「1年間の総額は15,378円になります。カードを利用し続けると残高がどんどん積み上がっていくので、気が付くと限度額に達していたなんてこともあるわけです。」(同)

「リボ払い」の長い旅に出ないために

――この問題を防ぐためには、カードの設定を根本から変更しなければいけない。すぐに会員サイトで設定を確認することをおすすめしたい。

「リボ払いへ誘導されたことや、初期設定がリボ払いであることに、カードを作る段階では防ぎづらいケースが増えてきました。カードは作った後の付き合い方がとても重要です。カードで現金以上に得をする人と、損をしてしまう人、後者になりたい人なんているわけはありませんから、意に反したリボ払いは絶対に防ぎましょう。」(川部氏)

――まずは、カードの明細を確認するところから始めてみたい。リボ払い以外にも、「キャッシング」「カードローン」、さらには、「がんばった自分へのご褒美」は要注意であるとのこと。思いあたる方はこの機会に見直してはいかがだろうか。

参考書籍
『家計簿不要!お金がめぐる財布の使い方』(永岡書店)

尾藤克之
コラムニスト

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