薬剤師の不労所得論でネット論争

2017年11月18日 06:00

薬剤師会に質問したらやはり

私はブログを仕事の一部にしているブロガーでもなく、まして医療の専門家でもありません。以前から疑問に思っていた薬剤師の不労所得論の4回目を書いてみました。

コメント数は初回の「医療費を食う薬剤師の不労所得」(10月30日)が120件、2回目の「薬剤師の不労所得論に殺到した抗議に反論」(11月2日)が130件、3回目の「薬剤師の不労所得論になぜ大騒ぎ」(11月6日)が129件でした。通常のテーマでは多い時でも数件です。今回の場合、7,8割が薬剤師によるものとみられ、しかも長文のコメントが多く、投稿者同士が論争するなど、異例の反応です。

私に対する抗議の流れの1つは、「薬剤師の仕事内容をよく知らない素人のくせに、批判ばかりしている」です。薬剤師が「薬剤を棚から取り出して、手渡しているだけというのは誤解だ」、「副作用や飲み合わせの可否について助言もしている」、「医師の処方のミスも発見している」などなど。

薬剤師会の回答は「医師に相談を」

私の体験を紹介します。その1。私が使用している薬剤ついて、質問してみようと思い、ある薬剤師会のホームぺージを開きました。一般の消費財のようにお客様相談室でもあれば、お年寄りにも便利なのに、見つけたのはパソコンによる「お問い合わせ」の欄です。パソコンを使わないお年寄りはどうするのでしょうか。

質問は「私は不整脈の傾向があり、抗凝固剤のワーファリンとバイアスピリンを併用しています。足などを何かにぶつけると、痣ができる。継続しても副作用は心配ないでしょうか」という主旨です。医院での内視鏡検査で、私の胃にびらん性胃炎が見つかり、医師から「この2種類を併用すると、起きやすい症状です。バイアスピリンはやめたら」といわれた話は以前、紹介しました。その確認です。

こちらのメールアドレス、氏名、年齢、男女区分などの記入欄があり、後ほど返事をするとのことです。3時間ほどすると、返事がきました。「主治医に早めにご相談を。ワーファリン量が適正化かどうかチェックする血液凝固能検査というものもあります。服用を継続するかは、必ず主治医と相談の上、お決め下さい」。

薬剤師さんのブログコメントでは、「継続使用、副作用、飲み合わせなどについて、薬剤師は専門的な知見を持っている。医師任せにしていない」という主張が目立ちました。ですから薬剤師会の窓口はあれこれ、追加の質問し、有用な助言をしてくれるのかと思っていましたら、「医師と相談を」の指示で終わりです。

薬局は手数料との認識

体験2。近所の調剤薬局で、「領収書に書かれている薬剤料は分かる。調剤技術料、薬学管理料の意味は何ですか。何を調剤しているのか、何を管理しているのか」と、質問しました。混んではいないのに、応対してくれた薬剤師は面倒臭そうに、「一言でいえば、手数料です。薬を売るときに得る手数料です」と、答えました。

正直すぎる答えで、あっけにとられました。薬務上の専門的な仕事の対価として、報酬を得ている形になっているのですから、何に対する報酬なのかを聞きたかったのです。この薬局は「手数料」という認識です。仕入れた薬剤を医師の処方箋に従って、売る時の手数料ということなのでしょう。

薬剤費は薬そのものの料金であるから分かります。調剤技術料、薬学管理料は一般の利用者には意味不明です。領収書のどこかに何がそれに該当するのか、今後、分かり説明文をつけてくれることを期待します。「調剤」には「調合」の意味もあるように、「2つ以上のものから1つのものを作り出す」ということですね。それは製薬会社の仕事であり、薬剤師よる「調剤」の意味は何なのでしょうか。

院内と院外の二重構造

体験3。通院している内科は貸しビルに間借りしていました。繁盛したのか、駅近くの一等地に土地を取得(借地かもしれません)し、医院を新築しました。同じ貸しビルに入居していた調剤薬局も同時に移転し、医院の2階のフロアを借りました。このことはすでに紹介しました。

そこで領収書のチェックです。毎月、処方される薬は8000円相当で、自己負担はその何割かです。医院の伝票には薬の処方箋料として、一般処方と長期投薬加算の計1350円相当の記載があります。医師が患者を診断し、使う薬を決めることに報酬を得る行為そのものには、金額はともかく異存はありません。

次に、2階の薬局で薬を買った時の領収書です。8000円相当の支払額のうち、「調剤技術料」と「薬学管理料」の合計が3000円程度になっています。つまり薬を買うために、医院にも薬局にも、二重の報酬を払っているのです。合計で4000円以上になります。

院内処方(病医院)と院外処方(薬局)の二重構造です。「前者は医師への診療報酬、後者は薬局への調剤報酬で、別物であり、二重取りではない」という説明も聞きます。説明がついたとしても、金額は適正なのか。「薬局の処方費が医師の処方費の約3倍。ここが問題で高すぎる」という指摘もあります。

医院や薬局が勝手に決めているのではなく、医療行政、薬務行政のルール(規制)の結果がそうさせているのでしょう。「素人は誤解を与えるようなことを書くな」というならば、どこをどう改革、改善すれば、利用者を納得させられるのか、説明が欲しいと思います。


編集部より:このブログは「新聞記者OBが書くニュース物語 中村仁のブログ」2017年11月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、中村氏のブログをご覧ください。

アゴラの最新ニュース情報を、いいねしてチェックしよう!
中村 仁
ジャーナリスト、元読売新聞記者

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑