日馬富士を取り巻く今の環境

川松 真一朗

Wikipedia:編集部

東京都議会議員の川松真一朗(墨田区選出・都議会自民党最年少)です。

日馬富士騒動を見つめる

さて、今週、突然と世間を騒がせている「日馬富士関騒動」。私の所にまでテレビやラジオの取材が来るという展開になっています。貴ノ岩関含めて2人の当事者が口を閉ざし、第三者が語る現場の話ばかりに引っ張られ、人々の憶測に憶測が広がり収拾がつかない展開となっています。

現場で起きていた真実とは

私は第一報を聞き、ちょっと違和感があります。日馬富士関が何かしら貴ノ岩関に手をあげたのは事実かもしれませんが、ビール瓶で殴ったとか、20、30発も殴ったなどとありました。もし仮に日馬富士関のパワー全開で上記のような行為が何発もあれば、その後の巡業に参加できない程の重傷、重体、また最悪の場合もあり得ると思います。被害届を出すまでもなく警察が動き、本当に大事件になっていたはずです。さらに、宴席の場所も想像を絶する地獄絵図になっているのではと考えます。

「モンゴル力士飲み会」って

そもそも、メディアからの取材でも「モンゴル力士飲み会は激しいのか?」聞かれます。これもちょっと偏った見方です。モンゴル人だろうが、日本人だろうがお酒を飲める人は飲めるし、飲めない人は飲めません。酒量も人それぞれです。私も横綱はじめ様々な力士と酒席を共にさせて頂いてきたわけですが、少なくとも身の危険を感じた事は一度もありません。しかも、私は見た目とは違って決してお酒が強いわけではありません。

また、今週の報道で「モンゴル人飲み会」は悪いもののように伝えられていますが、私の知る限り同会は旭鷲山関や旭天鵬関らのモンゴル人力士第一世代が情報交換などを目的で始まったと認識しています。こういうのは異国の地から「通訳」もいない環境に放り込まれて、ただ努力するしか道がない彼らにとっては大切な事だと思っています。また、同様のものは相撲界に限らず、どんなスポーツでも海外出身者同士で集まったりしています。孤独なのものです。私も海外選手を面倒見たりする中で、日本の環境になじまず、ホームシックになって帰っていく選手もいました。

相撲人気回復の途で

本件に接して、私は10年前から続く相撲界を取り巻く悪夢を思い出しました。10年前の稽古場での暴行死事件では週刊誌報道を基に今と同じように日に日に話が膨らんでいきました。結果として、当時の親方は逮捕されたものの、その後癌で死去されました。また、この頃には朝青龍関が巡業をサボってサッカーしていた事が「横綱の品格」という言葉が全国中に広がっていました。その後も様々な苦難を乗り越えて、今の相撲人気復活まで時代が進んだことを微笑ましく思っていた矢先の報道でした。

反省すべき点はしっかりと

ある意味において一方的に批判されていく「相撲界」「モンゴル人力士」。これは騒動を容認しているのではなくて、私は謙虚に受け止めるべきは受け止めるべきと思っています。今の大衆扇動のような風潮に心配をしているのです。しかも、現在は大相撲九州場所の真っ最中であり、現役は白鵬関を先頭に力士一同必死になって相撲に取り組んでいます。

一方で、八角理事長もスポーツ紙がスクープで伝える以前から相撲協会として当事者の親方2名に話を聞くなど能動的な姿勢であり、19日夕方には八角理事長が会見し騒動について謝罪を致しました。今後、日馬富士関についても横綱としての立場をふまえた上できっちりと対応して頂きたいと考えています。

正しい情報を見極めて

既に警察当局の捜査も始まっている事であり、推移を見守っていかねばなりません。しかし、この件を複雑にしているのはスポーツニッポンのスクープ以来、関係者あるいは関係者から話を聞いた人なるものが日本国内のみならずモンゴルからも様々な話をメディアにしている事。こういった「○○らしい」といった趣旨の話はこれまでも相撲界を苦しめてきました。私自身は「相撲のある街」両国の人間として正しい情報を見極めて活動して参りたいと考えています。


編集部より:このブログは相撲評論家、東京都議会議員、川松真一朗氏(自民党、墨田区選出)の公式ブログ 2017年11月19日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、川松真一朗の「日に日に新たに!!」をご覧ください。