アゴラの連載に異論!薬剤師は不当に高給取りなのか? --- 鈴木 智詞

寄稿

金本位制の経済では、日本円は金に裏付けられた価値があり、金貨と日本貨幣は交換可能であった。

しかし現代日本では管理通貨制度であり、貨幣の価値は政府または日本銀行の政策によって裏付けられるため、その価値は不安定である。ゆえにお金の価値は幻想であり、お金を持つ者の信用を示すなり、個人の欲望を満たす道具なり、単なる数字などと解釈されるのが日本の社会だ。

アゴラにて度々、薬剤師は労働対価として、賃金を貰い過ぎという論調を僕は散見する。
何を基準にして、薬剤師が不当に高給取りであると言われるのが僕にはさっぱり解らない。

僕はいま、調剤薬局の薬局薬剤師でありますが、医師の処方箋を基に電子カルテの情報が無いままに、患者への聴取によって病態を大まかに把握して、処方医の処方意図を概ね理解し、またお薬手帳の情報によって、重複するあるいは相互作用がある医薬品がないかをチェックし、もし患者に服用しなかった残薬があれば、それらを処方医に問い合わせて確認をし、問題があれば処方薬や薬用量、そして処方日数の変更について、僕だけではなく薬局薬剤師は対処しています。さらに小児患者については体重と薬物量が適正か判断したり、高齢者や嚥下困難な患者への些細な調剤への気配りなど、薬局薬剤師の調剤における役割の実例は挙げればキリがありません。

平たく言えば、調剤薬局の薬局薬剤師は、医師の処方箋通りに薬を出す仕事ではありません

それらを踏まえて、薬剤師の技術料が医療費総額の40兆円に対して1.8兆円(全体の4.5%)がそんなにも高額だと日本国民はお考えでしょうか?

例えば調剤薬局の調剤報酬について調剤基本料が410円であったり、薬学管理料が380円であるのはあるのは不当な金儲けなのでしょうか?

これらが高額であると言うなら、一体いくらなら満足なのでしょうか?
お金は幻想であり、または信用を意味します。
薬局薬剤師への信用へ日本国民は幾らお支払い戴けますか?

薬剤師業務は機械化やAIの活用によって、ほとんど不必要であると言った論調は別の機会で頂戴します。

鈴木 智詞 調剤薬局の薬剤師
薬剤師免許状を取得後、大阪で大手ドラッグストアや急性病院の病院薬剤師を務めてきた。