日韓合意“破棄”:文政権は北の傀儡としか思えない

2018年01月10日 06:00

青瓦台Facebookより

韓国・文在寅政権が9日、朴槿恵前政権時代に日本政府と取り交わした慰安婦問題の合意について新方針を発表した。日本が慰安婦支援財団設立に拠出した10億円について、韓国政府が拠出する一方で日本側に「再交渉は求めない」のだという。

なんだかややこしいが、いわば韓国内の反日感情におもねるポピュリズムを展開する一方で、国際社会の信頼失墜を避けるために形式的には国家間で取り交わした約束の破棄は見送るという“いいとこ取り”だが、結局、日本側の配慮を完全に無視し、日韓合意の精神は踏みにじられたことに変わりはない。

とはいえ、国内世論と国際社会それぞれの反応におもねる矛盾だらけの対応には、さしもの韓国メディアのなかにも、冷めた見方をする報道もあるようだ。

韓国政府の迅速な対応方針発表が外交リスクを早期に解消した妙手となるか、被害者や国内の世論、韓日関係のいずれも解消できなかった性急な「悪手」になるかは、現段階では即断できない。(出典:聯合ニュース「韓国 慰安婦合意の維持表明=日本拠出10億円・財団の扱いは火種に」

核・ミサイル開発で緊迫化する北朝鮮情勢さえなければ、長峰大使の再度の日本召喚、あるいは平昌五輪への安倍首相訪問見送りなどの報復はしてやりたいところだが、北朝鮮情勢を「人質」にとって日本の打ち手を封じに来るかのような態度にはあきれかえるしかない。いや、それどころか、韓国政府は有事の際の邦人退避に際しても、自衛隊機の入国を認めない方針というのだから、邦人の安全などどうでもいいと考えているのだろう。在韓邦人に対して確信犯の不作為による“国内監禁”としか思えない。

ただ、ここでカリカリと感情的になったり、あるいは反韓ヘイト的な極端な非難をしたりしてもしょうがない。日韓の亀裂が入るほど北朝鮮の高笑いは止まらないからだ。その現実がまた腹立たしいが、そもそも昨年の政権交代により、今回の事態は容易に想像しえた。

文在寅がかつて青瓦台の秘書室長として仕えた盧武鉉大統領は、北朝鮮への極端な宥和政策を推進。日本に対してだけでなく、アメリカに対しても躊躇なく発揮した。朝鮮戦争は国際法的には現在も休戦中に過ぎないが、南北首脳会談を前にブッシュ大統領から「終戦」宣言を引き出そうとまでしたというから驚く。当時国務長官だったコンドリーザ・ライスが回顧録で盧大統領のことを「erratic(変わり者)」とこき下ろしたほどで、たしか当時のブッシュ政権は、共有した米韓の軍事機密情報が北に筒抜けになっていたのを確認して、途中から打ち切ったのではなかったか。盧大統領自身が北のエージェントと疑われるほど深刻な状態だった。

そんな男の腹心が、今度はトップとして青瓦台に戻ってきたのだから、北とどういう気脈を通じているか、不気味にもなろうというものだ。ひとまず、日本としては連中を「あぁ、彼らは北の傀儡政権みたいなもんだから」と諦めて突き放し、冷淡にお付き合いしながら、有事の際の邦人保護などで「実」を取りにいくしかあるまい。

その一方で、中長期の課題として、韓国のなかでも現実的に外交・安保対応ができる保守派との水面下の連携も取り組みたいところだ。こういうとき、我が国に対外インテリジェンス機関があれば、北朝鮮に対抗して、世論工作や韓国国内の政局時に親日派の保守派を支援し、親日政権誕生へと流れを作るオプションができるのだが、それが困難な実情が歯がゆい。

元韓国国防省の高永喆さんがアゴラや著書で書いているように、北朝鮮は、韓国世論を揺さぶろうと、さまざまな工作をしてきている。当然日韓の離間も目的の一つだ。誰が真の敵かしっかり見極めたい。

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新田 哲史
アゴラ編集長/株式会社ソーシャルラボ代表取締役社長/NPO法人ICPF 情報通信政策フォーラム理事

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