2018年の東京株式市場はまさにロケットスタートとなった。米国株式市場の上昇などを材料に大発会の4日には700円を超す上昇となり、昨年末に付けそうで付けなかった23000円を突破してきた。
日経平均株価の最高値は1989年12月末大納会につけた38915円となる。ここがピークとなり、いわゆるバブル崩壊が始まる。そのバブル崩壊後の安値が、2009年3月10日の7054円となった。38915円から7054円下落の半値戻しが、22984円となる。つまり日経平均で抜けそうで抜けなかったのは23000円というよりも、この半値戻しの水準と言えた。
相場の格言によれば「半値戻しは全値戻し」とされる。つまり格言通りとなれば、年内の高値予想の25000円どころか30000円台、さらには40000円すら見えてくることになる。今の勢いがこのまま継続するとなれば絶対にないとは言えない。米国株式市場ではすでに株価指数は過去最高値を更新し続けている。
米国を中心とした日本を含む世界的な株価の上昇の背景には、世界的な景気の拡大がある。2度の世界的な金融経済危機が後退するなか、日米欧の大規模な金融緩和は続いており、過去に例のない過熱感なき過剰流動性相場と業績相場が同時進行しているような構図となっている。
もちろんリスクについても目を配る必要はあるが、そのリスクも見えなくなりつつある。例えば北朝鮮リスクについては、韓国で2月に開催される平昌冬季オリンピックに北朝鮮が参加する意向を示している。この目的もいろいろと推測されようが、少なくとも懸念された軍事衝突の可能性は後退している。中東情勢なども無視はできないものの、世界的な危機を迎えるような状況でもない。
それよりも日本の株価に好材料となりそうなものがいくつか存在している。たとえば新元号のスタートや東京でのオリンピック開催などの大きなイベントである。これらをきっかけに、なかなか伸びない個人消費が今後上向いてくる可能性もある。雇用もタイト化しており、企業業績の改善が続けば、賃金等にも反映され、個人消費が拡大を示す可能性がある。
あまりに楽観的な見方も禁物ではあるが、ひとつのシナリオとして日経平均の3万円台回復を挙げても良いのではなかろうか。さらにここにきて原油価格が上昇しつつあり、こちらもチャート上ではWTIの100ドルあたりまでの上昇の可能性が出てきた。これは物価に直接反映されることで、デフレ脱却もイメージされる可能性がある。そうであればさすがに金利も動意を示すことも予想される。日銀の物価目標を柔軟化させる機会が訪れる可能性もあるかもしれない。
編集部より:この記事は、久保田博幸氏のブログ「牛さん熊さんブログ」2018年1月15日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。