国民不在で形骸化した「政党助成金」は廃止・見直しを検討すべき

音喜多 駿

こんにちは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。

新党・国民民主党の誕生の際、希望の党のために支給された政党助成金を法の抜け道を突くような形で「山分け」した点について取り上げたところ、意外に大きな反響がありました。

で、このように叱咤されましたので…本件はブログでも取り上げます。

政党助成金(政党交付金)とは1995年に開始された制度で、国民の税金を原資(1人あたり250円)として所属国会議員が5名以上の政党に与えられるものです。

この支給日は年始となっていることから、この政党助成金目当てに年末に「駆け込み新党」ができることは、以前から強く問題視されてきました。

政党助成金の総額は毎年300億円以上にのぼり、例え5名の政党でも億単位の助成金が受け取れるわけですから、国会議員にとってこれほど「オイシイ」制度はありません。

ところがこの制度には、年末の「駆け込み」以上の問題をはらんでいます。

それが今回も発生している、政党助成金の「ロンダリング」とも言える行為です。

政党助成金はあくまで、1月1日時点に存在する政党に払われるものですから、当然その政党が解散・消滅すれば国庫へと返納されます。

ところが、政党が消滅ではなく名前を変えて分裂・存続し、他党と「合流」する形式を取れば、国庫に返納することなく合流先の政党に助成金を「持ち逃げ」できるのです。


J-CASTニュース記事より引用・抜粋)

これは明らかに制度がもともと意図していたことではなく、違法ではないものの、法の抜け道をついた「脱法」的な行為ではないでしょうか。

今回のケースであれば、国民はあくまで先の総選挙時点で存在した「希望の党」の政策・理念に対して投票し、そのための政党助成金負担に合意しているわけであって、新しくできた謎の新党のために税金を払っているわけではありません

この他にも直近では、「無所属の会」を名乗る衆議院議員たちが民進党籍を残し、民進党に交付された政党助成金を受け取って活動している問題も指摘されました。

民進党籍残し政党交付金 「無所属の会奇妙だ」鷲尾英一郎衆院議員が痛烈批判 – 産経ニュース
https://www.sankei.com/politics/news/171124/plt1711240038-n1.html

均せば一人あたり250円とはいえ、税金の負担をしている国民・有権者の想いと、実際に支給・使用される用途にズレが生じていることは明らかです。

そもそもこの政党助成金、企業団体献金が汚職の温床となったことから、その廃止と引き換えの制度として成立が目指されたもの。

にもかかわらず、その企業団体献金は「政党・政党支部に対してならOK」という形で、ほぼ以前と変わらぬまま存続しています。

こうしたことを総合的に考えれば、政党助成金は存在そのものを見直す時期に来ているのではないかと思えてなりません。

理念も政策も変節した新たな新党は、「国民党」という1日しか存在しない政党を経て、それでも政党助成金は返納せずに活動を続けることを選択しました。

こうした政党が国会改革を主導する勢力になることは期待できそうもありませんが、改革政党や心ある無所属議員たちからの問題的によって、こうした議論が国会でも行なわれることを願ってやみません。

それでは、また明日。


編集部より:この記事は東京都議会議員、おときた駿氏(北区選出、かがやけ Tokyo)のブログ2018年5月9日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。