西城秀樹に“救われた”テレビ局の醜態報道 --- 奥村 シンゴ

2018年05月21日 06:00

テレビ朝日公式サイトより:編集部

テレ朝社員、過労死認定…月に残業130時間も : 読売新聞

テレビ朝日のドラマプロデューサーが2015年2月に心不全で死亡し、同年7月に残業と死亡の因果関係を認め過労死を認定した。

テレ朝側は「有給休暇取得の奨励など働き方改革に取り組んでおり、社員の命と健康を守るため、対策を進める。遺族の意向もあり、公表は差し控えていた」と説明した。

テレ朝は先月4月にも完全子会社の報道部デスクが突然死し、現在過労死かどうか調査が進んでいる。

セクハラ会見の翌日、「テレ朝」報道局デスクが突然死していた(週刊現代)

テレ朝は20日夜現在、このニュースを報じていないようだ(少なくともニュースサイトには掲出されていない)。他局もニュースで数分さらっと報じた程度で特集を組むことはない。

遺族に配慮するというなら例えば座間事件で遺族たちの取材自粛、顔写真、実名報道をやめる要請を無視し、実名報道され晒し続けたことと今回の件とどのように違うというのだ。

座間事件「実名報道はやめて!」黙殺された遺族たちの嘆願(女性自身)

自らの事には匿名報道で隠蔽しようとする、テレビ局の醜態報道と言われても仕方ない。
同日、「ヤングマン」、「傷だらけのローラ」、「ギャランドゥ」、「情熱の嵐」など数々大ヒットさせた国民的スター西城秀樹の突然の訃報に世間は深い悲しみにくれた。

私はヒデキ世代ではないが、会社の宴会で先輩から「さあ立ち上がろうヤングマン」で鼓舞されたり、母親が脳梗塞になってからテレビなどで西城さんが歌っているシーンをみてうれしい気持ちにさせてもらった。

くしくも同日にIT社員の昨年8月、裁量労働制で勤務していた男性社員(28歳)が今年4月に過労死で亡くなったと報道もあった。

裁量労働、IT社員過労死「36時間ぶっ通し」(読売新聞)

テレビ局、特にテレビ朝日からすれば「なぜ過労死報道を追及しないのか」となるところが、西城秀樹に“救われた”格好といえるだろう。

しかし、SNS上では「アメフトや加計学園より大事なニュースがある、なぜ自分たちの会社は報道しないのか?」、「遺族の意向を無視して実名報道しているくせに勝手すぎる」、「こういう話が出ない他局もやばいはず。下請けの制作会社など」などとテレビ朝日中心にテレビ局の報道姿勢に批判の嵐だ。

政府の働き方改革や高度プロフェショナル制度に鼻息荒く批判していたテレビ朝日が一切報じていないことは論外だ。他局も自らの業界の実態を晒し、働き方改革や高度プロフェッショナル制度を絡めながら特別番組を組み、視聴者からツイッターなどSNSで意見を募集する企画ぐらいやってみろと言いたい。

さまざまな意見を聞き吸収していくことは、テレビ局はじめ制作会社・プロダクション・技術会社などにとってマイナスになることはないはずなのだから。

奥村 シンゴ フリーライター
大学卒業後、大手上場一部企業で営業や顧客対応などの業務を経験し、32歳から家族の介護で離職。在宅介護と並行してフリーライターとして活動し、テレビ、介護、メディアのテーマを中心に各種ネットメディアに寄稿。テレビ・ネット番組や企業のリサーチ、マーケティングなども担当している。

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