日常に、WHY?を取り入れればパフォーマンスが向上する

2018年06月08日 11:30

写真は酒井宏樹選手。Twitterより。

ハリル体制では絶対的な右サイドバックとして、ロシアW杯アジア最終予選の9試合に先発し、W杯出場に貢献した選手がいる。フランスのリーグ・アン(Ligue 1)に所属するマルセイユの酒井宏樹選手(以下、酒井選手)である。前回のブラジルW杯は、ベンチ要員で出場機会にめぐまれなかったが、ロシアW杯では日本代表としての活躍が期待されている。

今回は、酒井選手の初著書『リセットする力「自然と心が強くなる」考え方46』(KADOKAWA)を紹介したい。「日本人は活躍できない」という前評判を覆し、フランスの名門マルセイユで不動の地位を確立した、酒井選手の思考術になる。

「なぜ」の視点で物事を考える

酒井選手は、マルセイユのフィジカルコーチが実践している選手へのアプローチ法は、非常に理に適っていると解説する。

「選手それぞれに異なるメニューを組み、筋トレがその選手にとってなぜ必要なのかを詳細に説明します。漠然とメニューを課すのではなく、ポジションによって必要な筋肉は異なっていて、選手の体格やプレースタイルによっても、筋トレはそれぞれ違う。僕の場合は筋持久力の向上と体のバランスを整えることが目的なので、高負荷なメニューではないですが、その分、回数は多めに設定されています。」(酒井選手)

「このようにして『なぜやるのか?』をきちんと説明することによって、筋トレ嫌いのフランス人選手たちも納得して、嫌々ながらも始める。伝え方次第で選手の意識がこんなにも変わるのかと驚きました。」(同)

「なぜ」の視点から物事を考えると、行動に落としやすくなる利点がある。行動にどのような意味があるかを納得することが大切である。

「私は、化学や数学の証明問題が得意でした。そのため、この『なぜ』の視点から物事を捉える思考の習慣が昔からあったように思います。そしてこの習慣は、サッカー選手になった でも非常に役に立っていると感じています。」(酒井選手)

自分を成長させるロジックチャート
※酒井選手が語学を習得するときの思考として。

「なぜ勉強するのか」 → チームメートとのコミュニケーションを円滑にするため

「なぜ円滑にするのか」 → 仲間として信頼されるため

「なぜ信頼が必要なのか」 → プロのサッカー選手として活躍して結果を出すため

「なぜ結果が必要なのか」 → 世界最高峰のサイドバックになるため

このように考えると、自分のなかにある目標がより明確になる。「なぜ」の視点は、物事に取り組むモチベーションを明確にする以外に、試合や練習が終わったあと、自分のプレーに納得がいかず物事を振り返るときにも役に立つ。「なぜ」は、意識することで、「習慣化できる」。仕事からプライベートまで、あらゆる物事のモチベーションを喚起し、パフォーマンスを向上させてくれる思考習慣になるはずだ。

海外に出たことで再確認できること

「日本とフランスでは、いろいろな状況において違いがあります。たとえば集合時間。日本代表では10分前集合が基本です。ミーティングが午前10時開始なら、9時50分にはみんなが部屋に集合しています。日本代表では最後のほうギリギリで部屋に入ります。日本代表の朝食は、全員揃わないと食べ始めることができないため、最後に食事会場に現れると『早く来いよ』という視線を感じます。」(酒井選手)

「マルセイユでは真逆です。チームミーティングのスタートが午前10時であれば、全員が揃うのは10時30分くらいです。マルセイユでは『集合』と『絶対集合』の2種類があります。クラブの社長やオーナーがスピーチをする場合は『絶対集合』になるので、全選手が時間どおりに集合します。ですが『集合』の場合は来ない選手もいます。翌日、聞くと『いや、俺は行くのをやめたんだ』と笑っている選手も多いのです。」(同)

酒井選手は、フランスでは赤信号でも車が来ていなければ、信号無視して渡るのは当たり前だという。ルールを破っているけど、信号無視をした人からすれば、車は来てないから待つ必要はないという認識だと。

「ドイツ人は比較的日本人に似ていて厳格な面はありましたが、それでも日本人の礼儀正しさや勤勉さは世界的に見て群を抜いています。ヨーロッパで生活しているからこそ、改めてそうした日本の良さを再認識できているのも事実です。」(酒井選手)

さて、来週にはロシアW杯が開幕する。酒井選手の特徴は、なんといっても高速クロスだろう。独特のフォームから放たれる高速のクロスは代名詞として語られる。日本代表の得点力不足を解消する。日本代表と酒井選手の活躍に期待したい。

尾藤克之
コラムニスト

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尾藤 克之
コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員

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