国会での質問パネルにみる旧態依然

山田 肇

桜井充氏のサイトより

国会で使われた質問パネルは国会図書館に保存されているそうだ。国会の記録を後世に残すという意味では正しい処置だが、場所も食うし、該当するパネルを後から探し出すのもむずかしい。

質問パネルの保存について報じたのは日経サイト。記事の中で長妻昭衆議院議員が「わかりやすい、ということが重要だと思っています。情報を入れすぎないことです」と話している。質問前日に発注するとパネル1枚につき1万円かかるそうだ。

この話には溜息しか出ない。民間では、いや官庁でも当たり前のプレゼンテーションツールが使われていないという旧態依然に、長妻議員は気づいていないのだ。

国会での質疑はネット中継され、質問パネルは映像中に表示される。しかし、視覚障害者のように映像から情報が取得できなければ、どんな質問パネルが表示されているか理解できない。

一方、プレゼンテーションツールを用いればテキストを抽出して読み上げできるし、必要に応じて外国語にも翻訳できる。それでこそ、長妻議員が意図するように誰にでもわかる資料になる。国会図書館の書庫を埋めることもないし、後々探すのも簡単だ。

小泉進次郎衆議院議員らの超党派議員連盟「『平成のうちに』衆院改革実現会議」は、国会審議でのIT化の推進を提言している。ぜひ実現してほしい提言である。国会だけが昭和の風習を続けていては、今に生きる国民との距離が離れてしまうだろう。