世界的資産バブル崩壊?ゴルディロックス経済の終焉

有地 浩

10月3日、米国長期金利は急騰して一時3.18%と7年3か月振りの水準をつけた。こうしたなかで、米国のダウ平均株価は過去最高値を更新した。

報道によれば、米国の株価が上昇したのはイタリアの財政赤字に対する懸念が少し和らいだことと、米国の景気拡大を示す経済指標が出たことから、米国の投資資金が積極的にリスクを取るようになり、安全資産の米国債を売り(この結果金利が上昇した)、リスク資産の株などを買ったためだということだ。

しかし、この報道に違和感を覚えるのは私だけだろうか。今年2月3日に米国の長期金利が上昇して2.84%を超えた時は、翌日株価は暴落した。それは、長期金利が低位安定する中で緩やかな景気拡大が続き、あり余ったマネーが株などに投資されて相場が上昇するという、当時よく言われた「ゴルディロックス経済(適温経済)」が終わることへの不安から生じた暴落だったはずだ。今回は長期金利は2.84%などというものではなく、3.18%と3%を大きく上回っているのだ。

また、イタリアの状況も、ポピュリスト政権が来年度予算案で今後3年間の財政赤字の対GDP比を2.4%から2%に引き下げそうだという報道があっただけで、財政赤字の対GDP比が約133%と、ユーロ圏でギリシアに次いで悪いイタリアの危機的財政状況が改善したわけでもない。さらに、イタリアは政府だけではなく銀行部門も不良債権問題で深刻な状態にあることはどこかに忘れ去られてしまっている。

報道されているような米国株価上昇の理由が、これから12月のFRBの金利引き上げまでに一稼ぎしようとするヘッジファンドの手前味噌の理由だということであれば、それはそれでご勝手にと言いたいところだが、そうもいかない。そろそろ、と言ってももう手遅れかもしれないが、世界の資産バブルをなんとかしないと、仮にこれが破裂すると実体経済にも大きな影響が及ぶことはリーマンの時やユーロ危機の時に皆よくわかっているはずだ。

世界経済は今やバブルの膨張がピークに近づいている。米国のダウ平均株価はリーマン後の2009年2月以降ほぼ一本調子の右肩上がりを続けた結果、この間に4倍近くになり、毎日史上最高値を更新し続けている。日経平均株価も、ダウ平均のような一本調子の上昇ではないものの、2009年以降これまでに3倍以上に上昇し、10月2日には終値でバブル崩壊後最高値をつけている。不動産に関しても、米国のS&Pケース・シラー全国住宅価格指数はリーマン前の2006年のピークを既に超えているほか、世界各地で急激な地価の上昇が起こっている。

一方で、イタリアの財政赤字と銀行危機の問題、ブレグジットの期限の接近、原油価格の上昇、米国FRBの金利引上げとそれに伴う新興国市場の動揺など、バブル崩壊の引き金を引く材料には事欠かない。

イギリスの童話の「3匹のくま」では、森に行ったゴルディロックスという女の子が、熊の親子の家に入り込み、熊の一家のいない間にテーブルにあったちょうどいい温度のおかゆを食べるという話だが、ゴルディロックスちゃんがおかゆを食べた後、小熊のベッドに入っていると熊の一家が戻ってきて大騒動になる。有史以来はじけなかったバブルはない。今にも熊の一家が戻ってきてゴルディロックスは逃げ出すことになるのではないだろうか。