高まる米の対北非核化圧力

2018年11月16日 11:30

中間選挙が終わり、米国では北朝鮮への非核化圧力が強まっている。

El Periodico de Utah/flickr

有力シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)は12日、北朝鮮が公表していない推定20ヶ所の弾道ミサイル基地のうち、少なくとも13ヶ所を特定したとする報告書を発表した。また13日のボイス・オブ・アメリカ(VOA)によると、民主党のエドワード・マキ上院議員は「トランプ大統領が金正恩に騙されている。金正恩が核と弾道ミサイル計画を放棄する具体的で明確な行動を取るまでは、北朝鮮と会談してはならない」と主張した。

去る2005年、米国はマカオのバンコ・デルタ・アジア銀行(BDA)の北朝鮮関連資金2,500万㌦を凍結。それで北朝鮮は翌2006年に,弾道ミサイル発射と第1次核実験に踏み切った先例がある。今回も、米国は中間選挙が終わった翌日、6,300万㌦の北朝鮮資産を凍結した。

与党の共和党は上院で勝利したが、下院では野党・民主党が過半数を獲得した。しかし最近の動きを見ると、民主党の下院議員たちがトランプ大統領に対北非核化政策に強硬路線を強く求めている。トランプ大統領は与党・共和党のみならず、野党・民主党からも後押しされている。結果的に中間選挙は国内問題から対北核問題に集中出来るターニングポイントになったわけだ。

特に民主党は、人権問題をより重視する。米国人大学生ウォームビア氏の拷問死、15万政治犯収容所の人権問題などに対し政府に、より強硬な対応を求めることになるだろう。

トランプ政権の対北政策の要点は
①時間を急がない
②核・大陸間弾道ミサイル(ICBM)実験禁止
③核査察まで制裁継続
—の3点である。

最近、北朝鮮の外務省高官は今年4月に採択した「経済建設総集中路線」を変更して「経済・核武力建設の並進路線」に戻す可能性に言及した。北の非核化は難しいとの見方もあるが、まだゼロとは限らない。制裁が続けられ、経済崩壊の危機が訪れたら、今の北朝鮮住民は餓死より決死的な蜂起に踏み切る可能性も否定出来ない。

それこそ、金委員長のジレンマであり悩みである。600万台の携帯も恐ろしく拡散されている。

難局打開に向けた抜け道は、9月の南北平壌宣言で約束した韓国訪問だが、身の安全が保証されない。内外から北非核化圧力に追われる文在寅政権も限界がある。さらに現在、文政権は経済失政で「(実際の)支持率が30%まで落ちている」との情報もある。

米中貿易戦争で経済破断を恐れ、中国もワシントンで対北制裁を約束した。今年4月、英米仏連合軍のシリア空爆の時、中・ロ駐屯軍は反撃出来なかった。その理由は中・ロが対米紛争に巻き込まれたら経済が破断する恐れからだった。

金正恩の選択肢は非核化に向けて前向きに舵を切るしかない環境を迎えている。それこそ、体制が延命できる近道である事が分かる。

(拓殖大学主任研究員・韓国統一振興院専任教授、元国防省専門委員・北朝鮮分析官)

※本稿は『世界日報』(11月16日)に掲載したコラムを筆者が加筆したものです。

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高 永喆
拓殖大学客員研究員、韓国統一振興院専任教授、元韓国国防省北朝鮮分析官

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