京都国際映画祭2018

京都国際映画祭2018。
今年も西本願寺南能楽堂でオープンしました。
祗園甲部の芸妓さんたちによる「ありゃありゃありゃありゃ」の手打ちで始まりました。

映画祭イベントを行った全37会場に4日間で約20万人がご来場。
約242人のアーティストが参加し、映画上映109本、489のアート作品展示などが実施されました。
「三船敏郎賞」は佐藤浩市さんが受賞。「牧野省三賞」は降旗康男さんが選ばれました。
https://kiff.kyoto.jp/news/detail/30

実行委員長としてごあいさついたしました。
「映画祭のようで映画祭でない。
アート展のようでアート展でない。
それは何かと尋ねたら、京都国際映画祭。
映画もアートもその他もぜんぶ。
今回、映画もアートもその他も、ずいぶん広がり、形が整ってまいりました。

日本で初めて映画が上映された京都。
マンガ・アニメ・ゲームの拠点でもある京都。
大学とハイテク企業が集積する京都。
伝統とパンクが同居する京都。
その京都の街、東西南北を使ってみんなで楽しむ世界的にもユニークな映画祭。

その記念すべき5回目の映画祭に、中島貞夫監督20年ぶりの作品「多十郎殉愛記」をワールドプレミア上映できる。こんなに光栄なことはありません。
しかも幕末の京都を舞台にした、京都弁満載の、チャンバラに次ぐチャンバラという、まさに京都の映画です。
世界のみなさまにご覧いただきたい。


アートもその他もぜんぶ。
会場も内容も充実してまいりました。
今回、ワークショップコレクションを開催します。
子どもがプログラミングなどで創作する活動を集めたイベントです。
デジタル創作活動を全国に広げていく、そのきっかけをこの映画祭で作ります。
(今年のアンバサダー、三田佳子さん。)


今回のキャッチは「京都、上映中。」
中島監督、多十郎殉愛記の一シーンをお借りして、上映中、上映中、上映中を演出しました。
京都の、映画の精神性をこのデザインでも味わっていただければ。
「京都、上映スタートです。
みなさんでお楽しみください。
よろしゅうに。」

さて、映画祭を見て回りましょう。
今回の目玉は「多十郎殉愛記」ワールドプレミア上映。
84歳になる中島貞夫監督の20年ぶり新作、ちゃんばら映画。
⾼良健吾さん⽊村了さんを交えて思いを語られました。
中島監督には創設された「京都映画大賞」が門川京都市長から授与されました。

「HOT HOT GUMBO」。
92年、ボ・ガンボスの京都大学西部講堂でのライブ映画を祇園会館で上映。
MCのバンさんと、ダイノジ大谷さんに言いました。
ぼくは京大軽音で、どんとの2年上でDr.Kyonの2年下ですねん。
2020はどんと20周忌ですよ。
2020、京都国際映画祭@西部講堂ジャック、やりまへんか。

宇治茶監督「バイオレンス・ボイジャー」上映。
世界初の長編ゲキメーションアニメ。
原画総数3000枚、作画、撮影、脚本、監督をほぼ一人でこなす至高のアナログアーティスト。
宮川一夫生誕110年特集「ぼんち」「ある殺し屋」「朱雀門」「新・平家物語」も行いました。
その他109作品を上映。

アートも充実。
昨年の映画祭・京都府立植物園で「穀」を展示した作家、Yottaによる伝統こけしをモチーフにした全長12mのバルーン作品『花子』@岡崎公園。
日本の美意識と慈愛の表情。
しゃべるんです。
早朝、人気のないところでしゃべりだして、事情を知らない警備員さんがパニックったそうで。

でっかいこけしの次は、でっかい歯。
山本麻紀子『巨人の歯』
巨人伝説「だいだらぼっち」の滋賀県版「ダダボシ伝説」では、近江国でダダボシが掘り起こした土は積み上がって富士山となり、堀られた跡は琵琶湖となった。
その歯が鴨川をどんぶらこと流れていく。
んだそうです。

ファッションもアートです。
中村真鈴『プリそなゑ 2018A/W』。
新・和服ブランドです。
和装に洋装の要素を加え、いままでにない新しい形で気軽に日常的に着られる女性の袴式和服(袴スタイル)を提案。
新たな文明開化を巻き起こす。

今回のアートは、西本願寺近くの昨年3月に閉校となった元・淳風小学校を中心に展示しました。
前回までの元・立誠小学校は改築中で、会田誠さんの映画「PAEASOL」の上映などに使いましたが、かように京都は小学校も歴史建造物が多く、あちこちの場が見栄えよく使える。
これもまた京都イベントの魅力です。

padGALLERY『ART FEST P.A.D. in 崇仁新町』。
京都駅近辺のコンテナを利用したコミュニティスペース「崇仁新町」をアートジャック!
あの場所を知ってるひとは、あの場所がこうなるのか!と驚く場所で、驚くアートです。
こういう場の広げ方もステキ。
京都競馬場など含め計14か所で展示しました。

岡崎公園では多数のブースを並べ、お笑いやらアートやらSDGsやらスマホchやら食べ物やらの祝祭。
子どもからシニアまで楽しむ芸人参加のスポーツイベントも実施されました。
映画もアートもその他もぜんぶ、にスポーツも入ってきたんです。
舞台ではとろサーモンや天竺鼠が暴れてます。
芸人総動員。

吉本興業はSDGsを本業にしているのです。
国連のかたがたもお越しになり、SDGsイベントをあれこれ開催。
スタンプラリーも賑やかです。
SDGs花月も開催。
SDGsを即興でネタに盛り込んで優勝者を決定する「SDGs-1グランプリ」やSDGsをテーマにした「SDGs吉本新喜劇」公演も。
国連、太っ腹。

外務省も、法務省も、消費者庁も、文化庁も参加してるんです。
京都市長も京都府知事もです。
芸人も、芸者さんも、舞妓さんもどす。
おじいちゃんも、子どももです。

今回、ようやく、ワークショップコレクションを開催しました。
デジタル時代の子どもの創作イベント。
プログラミングや電子工作などでものづくりと表現を行う活動を集めます。
CANVASと吉本興業の協働です。イオンモールにて。

ワークショップコレクションはかつて慶応大学で実施した際、2日間で10万人の動員を見せた世界最大の子ども創作イベント。
これまでペナルティ、トータルテンボス、レーザーラモン、2700など多くの芸人がワークショップを展開してくれていて、芸人+子ども+つくる、というのは親和性が高い。

ワークショップコレクションは課外学習ではあるのですが、「つくる」活動に集中しています。
塾のような「勉強する」キッザニアのような「体験する」とは一線を画しています。
プログラミングも早くから導入していますが、プログラミング「を」学ぶのではなく、プログラミング「で」つくる。

元・淳風小学校でもワークショップやデジタルえほん展を開催しました。
デジタルとアナログを融和した教育分野に吉本興業は力を入れています。
沖縄に学校を作ったり、ぼくが設立するi大と連携したり。
クリエイティブを広げる大きな活動を一緒に進めていきたい。

岡崎公園でのマンザイワークショップ。
芸人と子どもがともに学び、ともにつくる。
住みます芸人という資源を使って全国に広げていく。
海外にも広げていく。
この映画祭をそのきっかけにしたい。

吉本興業が「少女歌劇団」を現代に蘇らせるプロジェクトを始めます。
「天外魔境」「サクラ大戦」の広井王子さん!が責任者。
学天即、尼神インター、ゆりやんレトリィバァらと記者会見。
年内に第一期募集です。
表現領域を広げる取組というだけでなく、教育プロジェクトでもあります。

閉会あいさつ。
「映画もアートもその他もぜんぶ。無事、お開きを迎えます。
映画関係者のみなさま、アート関係者のみなさま、その他の出展者のみなさま。
京都市、京都府、文化庁、外務省、法務省、消費者庁はじめ行政のみなさま。
国連のみなさま。
おおきに。

京都新聞・KBS京都はじめメディアのみなさま。
教育委員会・交通局ほか後援者のみなさま。
44社のスポンサーのみなさま。
おおきに。
お越し頂いた、おとうさんおかあさん。おじいさんおばあさん。
学生さん子どもたち。
芸人さん、芸者さん、舞妓さん、みなさん。
おおきに。
また来年、よろしゅうに。」

よーい、スタート!「京都国際映画祭2018」世界遺産・西本願寺で開幕
https://news.walkerplus.com/article/165426/

三田佳子「最後まで女優でいたい」桂文枝「来年は映画を作る」 『京都国際映画祭』開幕
https://news.nifty.com/article/entame/showbizd/12173-103505/

京都国際映画祭が開幕 名画上映やアート展示
http://www.sankei.com/west/news/181012/wst1810120014-n1.html

浅田美代子、樹木希林さんと来たかった 京都国際映画祭が開幕
https://www.cinematoday.jp/news/N0104138

第5回「京都国際映画祭」4日間で20万人動員
https://www.asahi.com/and_M/interest/entertainment/Cfettp11810152761.html

京都国際映画祭2018 開催の結果報告
http://www3.cinematopics.com/archives/95161

前回までのぼくのブログ
■京都国際映画祭2017 前編
http://ichiyanakamura.blogspot.com/2018/04/2017.html
■京都国際映画祭2017 後編
http://ichiyanakamura.blogspot.com/2018/04/2017_23.html
■京都国際映画祭2016
http://ichiyanakamura.blogspot.com/2017/09/2016.html


編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2018年12月24日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。