ドル円上昇の要因に見る日銀の自縄自縛

藤巻 健史

円1強、今年も続く?:日本経済新聞 
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「市場参加者の間にでは、(米国の)3月の利上げは見送られ、15日年末から続いてきた利上げ局面も終わるとの見方さえ出てきている」

希望的観測に過ぎず楽観的過ぎると思う。米経済が強いのは日本のバブル期と同様、資産効果(特に株価は史上最高値)のせいだ。資産効果を生じさせる米株価が再度上昇を始めている。年末。年始の急落はよいスピード調整となった。もしこのまま米株価が継続して上昇していくようならFRBは淡々と利上げを継続しよう。

もう一点、注意が必要なのは、FRBといえどもインフレに対して利上げという武器はそれほど多く残っていない点だ。早めに利上げをし、インフレの芽を抑えないと日銀のようにインフレを抑える手段を失ってしまう。したがって早め早めにインフレの芽を摘みにかかると思うのだ。(日銀に比べるとケタ外れに規模は小さいが異次元緩和をしてしまった以上)

伝統的金融政策での利上げ手法は使えず、FRB当座預金への付利金利を上げるという手法しか利上げ方法はない。この結果、利上げを継続すると、(私のラフな計算だと)現在の政策金利の2.25%~2.50%を5.3%くらいまで引き上げると損の垂れ流しが始まってしまう。損の垂れ流しや債務超過が起きればその中央銀行や発行する通貨の信用は失墜してしまう。だから絶対に避けなければならない。

なお日銀は、なんと0.4%まで政策金利を引き上げると損の垂れ流しが始まり、すぐに債務超過に陥るリスクが生じる。だから利上げはほぼできないに等しい。私がドル円が上昇すると思う理由の一つだ。

(損の垂れ流しが始まる点がFRBが5.3%に対し日銀は0・4%と大きな差があるのはFRBは保有債券の利回りが2.6%と高く、FRB当座預金残高が保有国債額に対して小さいことによる。日銀の保有国債利周りはたったの0.279%、日銀当座預金保有額が国債保有額に比べて巨大であることによる)


編集部より:この記事は、経済評論家、参議院議員の藤巻健史氏(比例、日本維新の会)のFacebook 2019年1月19日の記事を転載させていただきました。転載を快諾された藤巻氏に心より御礼申し上げます。