チロルと融合の季節

2019年01月31日 11:30
10円あったらチロルチョコです。
ヌガー入り三ツ山のチョコは遠足上限100円のおやつに貴重な戦力でした。
進化をとげ、きなこもちやめんたい味などパンクな商品を叩き出しています。
(インスブルックにて)
融合の季節が来た。
デジタル技術は、上下左右を融合させる。
いったい何が融合するのか。
その10項目を挙げてみる。
千鳥屋「チロリアン」。
チロルチョコ同様、福岡の会社が生み出した銘菓。
こちらはかたくなにロールクッキーの伝統を守っています。
しかし、チロル地方には、チロルチョコもチロリアンも見当たりません。
(コルティナダンペッツォにて)

1.バーチャルとリアル。
MITネグロポンテ教授のBits meet Atoms
リアル空間の行いがバーチャル空間でもできるネット化は25年前に始まり、バーチャルがリアルに進出するIoTが近ごろのテーマ。
遠く離れた異質なものを融合させる。

オーストリアのチロル地方、インスブルック。
1964年1月と1976年2月。冬季五輪を2度開きました。
日本はいずれもメダルを獲得していません。
ピョンチャンの13個は隔世の感があります。
(インスブルックのスキー台はザハさんの設計。)
2.通信・放送融合。
これも25年前に議論が始まった。
現実の騒ぎは2005年のホリエモンフジサンケイ、楽天TBS,そして2006年のGoogleAppleによる映像配信構想。
わが融合研究所の設立は2008年、以来10年。
通信と放送は本来同質なので、その融合を唱えるのは滑稽ではないか。
なぜか対立の歴史。
イタリアの南チロル地方、コルティナダンペッツォ。
1956年の冬季五輪。
猪谷千春さんが冬季日本初のメダルを獲得しました。
このポールに日の丸を掲げられたんですね。
3.ポップとテック。
Art & Science、これはMITメディアラボの属する学科名。
これも本来同質だったものが近代で分離された概念。
Pop & Tech特区「CiP」は、その集積による化学変化での融合を目論む。
チロルはオーストリア、イタリア、ドイツにまたがる地域。
インスブルックはドイツ語、コルティナダンペッツォはイタリア語。
ナポレオン後バイエルンに割譲され、南チロルはイタリアに割譲、ウィーン会議でオーストリアに復帰するなど3国間には生臭い攻防の歴史。
うららかさとはうらはらに。
4.モノとコト。
バーチャルとリアルの先に来るもの。
CDDVDはライブにシフトする。
超大型・超高精細ライブビューイングを整備せよ。
シェアリングエコノミーも、不動産やクルマのシェアから時間やスキルのコトシェアに移る。
チロル以外にもヨーロッパには国境の線引きが地域を分断し、所属する国家が変わる、そして今もそのくびきを負う場所があちこちにあります。
それはたいてい、うららかで素敵な地域です。
みんなが欲しがる場所です。
5.伝統と新規。
ポップとテックが新旧の接近を進める。
歌舞伎とkirariと初音ミクの融合は典型。
鳥獣戯画の技法を継ぐアニメもテックでポップを維持する。
例えばチロルの近くのサヴォア地方。
フランスとスイスとイタリアにまたがります。
冬季五輪を開いた仏アルベールビルから伊トリノに至る。
美しい地域です。
6.ウチとソト。
ソトから入ったものをウチで進化させ、ソトに出すのをクールジャパンという。
マンガアニメゲームも、ラーメンもカレーも、ロリータ服もコンビニも同じ。
そしてアウトバウンドからインバウンドへ。
例えばアルザス・ロレーヌ地方。
17世紀にフランス、普仏戦争「最後の授業」でドイツ、一次大戦でフランス、ナチスでドイツ、そして今はフランス。
ストラスブールにはEU議会が置かれるなど、緩衝地として、いやヨーロッパの中心地として機能しています。
7.スポーツとゲーム。
eスポーツがスポーツの地位を獲得する。
むしろ海外ではマインドスポーツ=ゲームはスポーツの一種とみなされていたが、ゲーム大国日本はフィジカルとマインドを遠く分離してきた。
改めて同化へ。
先日訪れたバルト3国も、W杯準優勝のクロアチアも、独立してまだ30年に届きません。
いずれも文化豊かな美しい地域です。
8.肉体と機械。
機械をまとうパラリンピックがオリンピックの記録を上回るようになる。
人機一体の超人スポーツは、オリやパラ、健常と障害という垣根を壊す。
サイバーパンクに市民権を。
チロルの隣、リヒテンシュタイン公国はスイスとオーストリアに挟まれつつ、19世紀から独立を維持。
ピレネーの山中にあるアンドラ公国はフランスとスペインの国境にあり、両国にもまれながらも独立を保っています。
奇跡のような小国です。
9.仕事と遊び。
AIが人の半分の仕事を奪う。
奪わせてやれば、人は超ヒマ社会を迎える。
働き方革命より遊び方革命が求められる。
働くように遊び、遊ぶように働く。
何足ものわらじをはきながら。
バルセロナを擁するスペイン、フランスとの国境にあるカタルーニャ地方、これもスペイン・フランスにまたがるバスク地方、いずれも独立を巡って諍いが続いています。
美食の地域です。
10.パーソナルとパブリック。
仕事から遊びへの移行は、遊ぶというイメージとうらはらに、公益を増進させる。
自己の利益の追求から離れて好きなことをするのは公益がインセンティブとなる。
Public Image Limited.
人類の融合は、いつまでも夢のまま。
折り合いがついたり、つかなかったり。
(コルティナダンペッツォの美しい五輪会場は子供の遊び場になっています。)
10の融合、推し進める。
YouGoExの季節。
鳥が飛ぶ。雲が流れる。教会の鐘が鳴っている。
うららかなチロルをそぞろ歩きながら、融合することを想う。
(コルティナダンペッツォ冬季五輪のスケート会場、絵画のようなミズリーナ湖。)


編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2019年1月31日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。

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