悪魔のような「桜田大臣叩き」と発言全文起こし

八幡 和郎

競泳の池江璃花子選手の白血病公表について、桜田義孝五輪相が「本当にがっかりしている」などと語った「失言問題」については、私も、「パソコン使わない桜田大臣は社会人としても失格」という記事をアゴラに書いたことがあるくらいで、発言の軽さはよく知っており、いい人なんだがまた、余計なことをという気持ちだった。

桜田五輪相公式Facebookより:編集部

ところがアゴラで、「悪魔のような五輪相 桜田義孝を弾劾せよ」(常見 陽平)という記事が出たので、そんな酷いこといっていたのだろうかと思って詳しく調べてみた。

そうしたところ、全文とか動画が出てきたのだが、いったいこの発言のどこが問題なのという気持ちしかない。

全文書き起こしは、以下の通りであり、動画のリンクも張っておく。

記者:競泳の池江選手が自らが白血病であることと、しばらく休養することを発表しました。大臣として、これについての受け止めをお願いします

桜田:正直なところ、びっくりしました。聞いて・・。本当に、病気のことなので、早く治療に専念していただいて、一日も早く元気な姿に戻ってもらいたいというのが、私の率直な気持ちです。

記者:競泳の中ではですね。

桜田:本当に、金メダル候補ですから。日本が本当に期待している選手ですから。本当にがっかりしております。やはり、早く治療に専念していただいて、頑張っていただきたい!また元気な姿を見たいですよ。そうですね!

記者:大臣はこれまで、池江選手の活躍をどのようにご覧になられてましたか?

桜田:日本が誇るべきスポーツの選手だと思います。われわれがほんとに誇りとするものなので。最近水泳が非常に盛り上がっているときでもありますし、オリンピック担当大臣としては、オリンピックで水泳の部分を、非常に期待している部分があるんです。一人リードする選手がいると、みんなその人につられて、全体が盛り上がりますから。そういった盛り上がりがね、若干下火にならないかなと思って、ちょっと心配しています。ですから、われわれも一生懸命頑張って、いろんな環境整備をやりますけど、とにかく治療に専念して、元気な姿を見せていただいて、また、スポーツ界の花形として、頑張っていただきたいというのが私の考えです。

記者:最後に一言だけ。池江選手にエールを送るとしたらどんな言葉を?

桜田:とにかく治療を最優先にして、元気な姿を見たい。また、頑張っている姿をわれわれは期待してます、ということです。

この発言のどこが不適切なのか。

「オリンピックで水泳の部分を、非常に期待している部分があるんで若干下火にならないかなと思って、ちょっと心配しています」ということだけにしか関心がないように切り貼りしてながしているから、ちょっと、変な印象だったが、それでもスポーツ選手にとって期待してたのに残念といわれることは同情の言葉よりむしろ名誉ではないか。

私が病気になってものが書けなくなったとしたらも、病気を心配していただくより、「アゴラで八幡さんの記事が出なくなってさみしい、残念だ。偽リベラルどもが喜ばないかちょっと心配だ」とでもいっていただく方がよほど嬉しいだろう。

しかも、全文をみればこのとおり、なんの問題もないバランスのとれた話である。

「悪魔のような五輪相 桜田義孝を弾劾せよ」というように、話を勝手につなぎ合わせて文脈とは関係ないようにして自分たちと違う価値観の人に襲いかかるのは、偽リベラルのいつもの手口だ。そちらの方が、よほど人間としていかがなものかと思う。

エジプト出身のタレントのフィフィもいいこといっている。立憲民主党会派の寺田学議員が母親が白血病を患ったこともあることを引き合いに出して感情的な言葉を連ねながら桜田五輪相の辞任を迫ったことについて

「寺田議員、語彙力の無い大臣を叩いて、私には人の病を政治利用してるようにしか見えないんだよ。政争に池江さんを巻き込むとか、大臣の言い回し云々より、よっぽど気持ち悪いです」

ツイートしている。

私は寺田議員の父親の寺田典城秋田県知事というのは大好きな政治家の一人だった。桜田大臣とはまた違うタイプだが「野人」といわれ、いささか常識外れな言動だが、人間味あふれる素晴らしい政治家だった。しかし、その父親は息子が今回やったような追及の手にかかったら何度も知事を辞めなくてはならなかっただろうとも思うし、母親の病気を政治に使うえぐさも含めて、少し寂しい気持ちになった。