規制改革会議での超教育論議(前編)

2019年04月01日 11:30

内閣府規制改革会議にて、「超教育に向けたインフラ整備と先端改革を」と題してお話をしてきました。超教育協会石戸奈々子理事長と。

2002年、情報社会の子どもの創造力・表現力を育むNPO CANVASを設立し、プログラミング学習などワークショップを全国で展開。当時、学校の壁は高く、課外学習からスタートしました。主体的で共同的で創造的な学びを集めたワークショップコレクションには2日で10万人が集まり、民間ニーズが高まったと実感します。

2010年、学校教育の情報化を進めるためデジタル教科書教材協議会DiTTを設立。「1人1台の情報端末、教室無線LAN、全教科のデジタル教科書」の3点整備を掲げてきました。小宮山宏元東大総長が代表をつとめています。設立当時は、政府・学界からは時期尚早という批判も強くありました。

さまざまな政策を提言し、それぞれ政府のIT戦略や知財計画などに反映もされてきました。2012年、デジタル教科書の制度整備も提言、法案も策定。その後、企業、自治体の動きも高まり、電波利用料を活用した環境整備も実現。そして6年かかり昨年、デジタル教科書のための法改正が行われました。プログラミング教育の必修化も政府方針となりました。

国会でも超党派の「教育におけるICT利活用促進をめざす議員連盟」が結成されました。会長 遠藤利明衆議院議員、事務局長 石橋通宏参議院議員のほか与野党の大臣経験者はじめ83名が参加。私ども民間アドバイザーも作業に加わり、「学校教育の情報化の推進に関する法律案」を策定し、国会提出されました。
デジタル教科書を正規化する閣法による制度整備と併せて、自治体が推進計画を策定・実施する等の総合的な施策によって、自治体に委ねられていた地方財政措置の活用が進むなど、学校教育情報化が大きく進展することが見込まれます。

しかし日本の学校情報化は途上国のままです。小学校のコンピュータは5.6人に一台。10年前に7人に一台だったが、一人一台を目指すといいながらなかなか進みません。アメリカは10年前に3人に一台、日本は後進国と言っても過言ではありません。教室の無線LAN整備は34.4%にとどまっています。
学校の中でも外でもコンピュータやインターネットを使う生徒の割合は、日本はOECD最低。
学校でコンピュータを使ってグループワークに取組む生徒はノルウェー82%、OECD平均45%、日本7.4%。学校の課題のためにネットを使う生徒はオランダ94%、平均86%、日本44%です。

いますべきことは、デジタル教育の環境整備。デジタル教科書やプログラミングと言っても、PCやネットがなく、そもそも使えません。はやくEdTechにいきたいがまだ遠いと感じます。国は年1800億円の予算を措置しているが、地方交付税措置で、自治体が他の用途に流用しています。それを教育分野に振り向けるエンジンが弱い。前述した国会に提案中の「教育情報化推進法」の施行により、PC・ネットの整備を進めるのがよいと考えます。
デジタル教科書も制度化されるものの、紙の教科書を前提とする仕組です。これら法律・ガイドラインを見直し、利用を促進すべきです。推進法案(11条)も、教科書制度のあり方について不断の見直しを行うとしています。現場の裁量で前に進めるよう仕組みを整えてもらいたい。

次にすぐすべきことは、スマート教育の環境整備。自分の端末を持ち込んで使うBYODに向かう時期です。ようやく学校にスマホを持ち込むことを認める機運が見られますが、それを学習にも使えるように、学校ルールを改訂するよう政府が指導すべきです。また、BYODでどの端末でも学習できるようになるには、クラウドの利用と標準化が必要となります。
そのクラウドはセキュリティが厳しく、学校をクラウドにつなげないという課題もあります。先生方の働き方につながる校務の情報化も進まず、未だファクス文化。クラウド利用はごく一部にとどまります。自治体ごとの条例やガイドラインを改訂すべきですが、国が指針を示し、学校のクラウド化を進めるべきです。
デジタル教科書については著作権法も改正され整備しやすくされましたが、より重要な参考書、ドリルその他の教材は著作権処理が課題です。現在、DiTT等民間が著作権処理スキームを整備しようとしている。この動きを高めるのが現実的だと思います。
(つづく)


編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2019年4月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。

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