公開の大英断!『麻雀放浪記2020』をギャン妻が解説

2019年04月13日 11:30

今、最も話題となっている映画と言えば、なんといっても「麻雀放浪記2020」ですよね。
もちろんピエール瀧さんの自粛や撤収に大反対している我々依存症者とその家族として、この映画の大英断に関して、心から感謝し応援しております。

実は私、東映さんの決定が出る前に、東映さんにお電話さし上げているんですよね。
「なんとしてもこのまま上映して欲しい。私たち依存症者とその家族のためにも!」と力説したんですけど、ホントあの時は、東映さんが叩かれないよう「もういっそ我々のせいにして上映してください~」位の思いつめた気持ちでおりました(笑)

だからホント無事上映にこぎつけた時はあまりに嬉しくて、仲間と横断幕をもって応援に駆け付けた次第です。
この横断幕の写真、結構色んなところで記事にして下さっていて実に有難い限りです。

応援してるのが「ギャンブル依存症問題を考える会」なんだからギャグですよね。

ピエール瀧被告出演作が封切り “応援垂れ幕”持参のファンも「回復と再起を」(ORICON NEWS)

さて、この麻雀放浪記(元祖の方)ですが、もちろんギャンブル狂いの私たち夫婦この作品の大大大大大ファンでした。
なんせ同居した時二人ともこの原作を持ってきた位で、VHSビデオも擦り切れる位見たものでした。

そして、まさに私たちが、ギャンブル依存症でどうにも身動きとれなかった時は、あの生活そのもので、6畳一間にギャンブラー4人で住みながらたった8万の家賃が払えず、しかも全員おけら状態になると、今度は部屋でツケでチンチロリンをやってましたからね~。映画さながらに退廃的な空気や生き方をしながら、出目徳のようにのたれ死にたいと本気で思っていました。

そういう大ファンであり、しかも筋金入りのギャンブラーである私たちが満を持して観た「麻雀放浪記2020」。
なるほど~!とうなっちゃいましたね。
この映画はものすごく示唆に富んだ映画なんですよ。
私がこの映画を誰に一番見て貰いたいか?と言ったらですよ、ずばり!「生きづらい女の子」ですね。

おそらく我々の仲間「ホスト依存」とか「AC」とか「トラウマ」などなどを抱え、しかも私のように、そこからちょっと回復してきた女の子(私はすでにBBAですが!)なんていう人達がみたら、あれ、マジで胸がきゅ~んとなる映画ですよ。
ギャンブラーより、家族の側しかも「ギャン妻」の方に共感があると思われます。

まず、元祖「麻雀放浪記」はどういう作品かというと、これはもうバクチしか頭にない男たちの物語と、そこから逃れられない女達が描かれています。友情とか愛情とかそういう生易しいものではなく、一番大事なのは「たった今バクチを打つ金があるかないか」のお話しです。

そして、その物語に大竹しのぶさん演じる「まゆみ」という、惚れた男のためにお女郎さんに身を落としてでも尽くそうとする、我々の典型的な仲間が出てくるのですが、その残酷な葛藤が切なく描かれている訳ですね。

昭和の時代の典型的なダメ男と、尽くす女の図式。
これがたまらなく退廃的で我々ギャンブラーが見るとそそられるわけですよ。

(c)2019「麻雀放浪記2020」製作委員会

でも、麻雀放浪記2020は少し違っていて、坊や哲(斎藤工さん)が主人公なだけあって、バクチ狂いの中にも優しさがあります。この坊や哲に尽くしてあげたい気持ちでいっぱいなのが、チャラン・ポ・ランタンのももさん演じるドテ子なんですね。

つまりこの映画は、どっちも尽くす女が出てくるんですけど、元祖はギャンブル依存症と共依存どっぷりの話しで、2020は自尊心の低い自分を大事に出来ない女の子の話しという、似ているようで全然違う話なのです。

元祖が完全無頼派、男の生きざま!みたいな映画だとしたら、「2020はいるいる~!こういう人~!」と、私なんかはどちらかというとドテ子ちゃんのキャラに、惹きつけられてやまないお話しです。

元祖がヒリヒリするような身を切られる想いの中に、少しだけ優しさが垣間見える映画だとしたら、2020の方は終始爆笑できるブラックコメディのなかに、チクチクするような切なさや哀しさが描かれています。

だからもう全く別の作品だと思われるでしょうが、ここでまたハマっちゃう罠があってですね~、元祖を見まくった人なら分かる、「あ~!あのシーン」という何とも言えない懐かしさがリメイクされてところどころ盛り込まれているんですよ。

まだ観てない方のためにあんま言いたくないですけど、もちろんあの有名な2ノ2の天和もでてきますけど、私が「あぁ~なつかし~」胸がきゅ~んとなったのは、「蛾」と「元禄積み」ですね。

元祖の蛾のシーン、最も息詰まる場面として深い記憶に残っている方も多いはず。「逃げればいいのに…」大竹しのぶさんの泣き笑いに胸がきゅ~んとしたもんですよね。「あんたのことだよ~」私も泣きながら突っ込み入れたもんです。元祖ファンの方思い出しましたか?

あの映画なんせ公開当時、こっちはポーカーゲーム喫茶勤めのギャンブラーとも言えない、歌舞伎町のチンピラと付き合っており、もう自分にかぶっちゃって泣けたもんです。

さて、私が一番2020で好きなシーン。
これネタバレするから、これから観に行く予定の人は読まない方がいいかもですが、なんといっても「目玉えぐり」のシーンです。

あぁ~~~~~~~~わかる~~~~~~~~~~!
筋金入りギャンブラーの素直な気持ちです。
ご覧になったギャンブラーなら共感して貰えるかも!?

さて、まだご覧になっていない方、いかがでしょうか?
もうすっかり観たくなっていませんか!?

はい、正解です。是非観ましょう。
仲間達よ大ヒット作となるよう応援し、自粛ムードをぶっ飛ばしましょう!

さて、「明日は晴れかな~?」
この意味分かる人は映画館へGO!ですよ。


田中 紀子 公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表
競艇・カジノにはまったギャンブル依存症当事者であり、祖父、父、夫がギャンブル依存症という三代目ギャン妻(ギャンブラーの妻)です。 著書:「三代目ギャン妻の物語」(高文研)「ギャンブル依存症」(角川新書)「ギャンブル依存症問題を考える会」公式サイト

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田中 紀子
公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表

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