こんにちは、東京都議会議員(町田市選出)の おくざわ高広です。
先日の知事記者会見にて発表されて人事が都政関係者に波紋を呼んでいます。
・小池知事側近の野田数氏 3月末で特別秘書退任(産経ニュース)
・小池知事の側近推薦に萩生田氏「天下りの極み」(テレ朝ニュース)
天下りだ、都政の私物化だ、はたまた側近に泥かぶり役をさせるとは非情な…など、様々な憶測を呼んでいます。野田氏は一時都民ファーストの会の代表を務めた方であり、私もその人隣を知るところでありますので、私からも見解を述べたいと思います。
と思っていたところで知事の定例記者会見で、理由を説明している。。。うーん、分かりにくい。今日は、知事の説明に私なりの解釈(希望的観測含む)を加えるという形でお送りしたいと思います。
黒字→知事の説明
青字→おくざわ解説
4月12日 知事定例記者会見質疑応答より
本日、株主総会が開かれました。東京水道サービス株式会社、TSS株主総会が開かれまして、そして、その後、取締役会が開催され、5月1日付で野田氏が社長に就任することが決定した。このように聞いております。
それから、TSSでございますけれども、これは先の定例議会でも大変議論になったといいましょうか、質問が寄せられたようにですね、内部統制、コンプライアンスの面で課題を抱えているということでございます。水道局に公正取引委員会が入るのも、これで2回目ということになります。
→特定業者との不適切な関係や書類の改ざんなどが指摘され、特別監察が行われました。2月下旬に結果が報告され、3月の議会では各会派から東京水道サービス(TSS)のガバナンス強化に対して厳しい質疑があったところです。
また、東京水道グループ全体のコンプライアンス強化と事業運営のあり方を見直すための第三者委員会の設置がなされる予定です。
そして、今年度中に株式会社PUC。メーターの確認ということで、料金の徴収ですけれども、こちらとの統合が予定されているところであり、水道事業にとっては大変画期的な時期を迎えるということであります。
→技術職であるTSSと営業職のPUSを合併するのは、単に一元化して効率化を図ろうという意味合いにとどまりません。水道事業を今後も維持あるいは発展させていくためには、運営形態のあり方も含めて抜本的な改革を進めなければならないときを迎えていることは明らかであり、都政改革本部「見える化改革報告書」にも指摘され、具体的な検証を進めてきたところです。
これまでもずっと、水道局の方々で占められている役員等々という中でやってきた。そして、その中で内部統制やコンプラ問題が出ているという事実ですね。
→TSSの歴代社長は水道局からの天下りと聞いています。現在、1344名の常勤社員のうち226名名、200名の非常勤職員のうち156名が水道局OBです。さらに、13名の部長のうち11名、38名の課長のうち35名、76事業所の所長のうち42名が水道局OBという状況です。そのような中で不祥事が続いている以上、人事面での改革は必須です。
※各数字は、3月に開催された総務委員会における質疑と答弁から抜粋
それと、私は逆に、この水道事業というのは、水道法も改正されて、東京の水道というのは、大変世界的にも誇るべき仕事をこれまでもやってきているわけです。
→猪瀬知事時代に、東京の水道事業を世界に売り込もうとしたこともあります。世界の水市場は100兆円にもなろうというのに、日本のシェアはわずか0.4%ほどです。これは、宝の持ち腐れというか、もったいない。蛇口をひねれば水が出る、日本では当たり前のことを世界中が求めているのですから、売り込んでいきたい、それがひいては日本の水道サービスの維持・発展に繋がると確信しています。
経済産業省「水ビジネスの今後の海外展開の方向性」
概要
参考資料(数値を紹介)
これは技術継承という面でも重要な観点です。世界に誇れる仕事をしていく、ODAなどを通じて世界に貢献していくことで、人材の発掘や育成にも繋がるものと考えております。
むしろ、これからは水道については、TSSとPUCが一緒になることによって、その仕事の可能性は広がるのではないかということで、ネガティブな部分(ガバナンス強化など)とポジティブな部分(世界に誇れる水道事業の発展など)と両方進めていかなければならないという局面にあるということです。
今回、この株主総会、取締役会で野田さんが認められたということでございます。私は彼の突破力が、今申し上げた2つの局面を突破するにふさわしいと思います。
→野田さんは、私の知事選の勝利の立役者です。逆境をものともしないパワーを持ちながら、緻密な戦略を立てるキレ者でもあります。目的達成のためなら嫌われ役も買って出る、それ故に賛否両論様々な評価があることも承知しております。
特別秘書になってからは、主に会派間の調整や業界団体との折衝など、骨の折れる業務をお願いしてきました。一昨年、44年ぶりの全会派一致での予算成立などは野田さん無しでは考えられませんでした。
TSSをはじめとする水道事業は、天下りの温床といわれ、利権の噂も耐えません。そのような組織を改革するには、政治的腕力のある、いわゆる豪腕タイプの野田さんが適任と考えております。
逆に、そのまま水道局の方に、これまでどおりの流れでやっていく方がよろしいのでしょうかということを、私は都民にとってはですね、こういう問題を抱えながらの再出発については、ここは一旦、新しい局面に返って、突破力で、新しい水道と、東京の水道ということに改革をしていくべきだというふうに考えておりますので、これは全く天下りどころか、これから大きな改革に望みをかけて、あちこちの地方で、海外の会社に買い取られるんじゃないかとか、水という大変なインフラが一体どうなるのかと、今、一番大きな課題になっているわけであります。
→水道法の改正によって、水道事業の民営化が進むと世界の水ビジネス事業者が参入してきて、無茶苦茶にされるんじゃないかと不安に思っている方がいらっしゃいます。例えば、浜松市では水道民営化の話が止まっております。
それを東京がどのようなことができるのかも確認をしながら、そして、新しい東京水道をつくり直してもらいたいと、このように期待をしているところであります。
→大変難しい局面ですが、東京が水道事業の新しい価値を創造することで、日本全体における安全で安定した水の供給を可能にすると考えています。全国的には、水道事業の先行きは大変厳しいものがあります。だからこそ、多少余裕のある東京が解決策を見せていく、モデルケースになれるよう取り組んでまいる所存です。
(以下は記者会見にはありませんが)
付け加えるなら、野田さん一人ではこの改革はできません。野田さんの腕力に加え、ガバナンス強化に資する人材、技術継承に資する人材、そして水事業の世界進出に資する人材が揃って初めて成し遂げられる改革です。野田さんの社長就任を皮切りに、真の東京大改革へ向けた再出発を宣言いたします。
なお、この改革に許された期間は、知事の任期、つまり1年で結果を残さねばならないという強い決意で取り組んでまいります。
というわけで、私の着眼点は伝わりましたでしょうか。「反対する人が多いほど、やるべき価値がある」と親友に言われたのを思い出します。改革派対守旧派の熱い議論をご期待ください。なお、残念ながら、私たちの会派には公営企業委員会や総務委員会の席がありませんが、一般質問などの機会を通じて、議論を重ねてまいります。
編集部より:この記事は、東京都議会議員、奥澤高広氏(町田市選出、無所属・東京みらい)のブログ2019年4月13日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおくざわ高広 公式ブログ『「聴く」から始まる「東京大改革」』をご覧ください。