薬物にハマっている時の足跡を残すことも薬物教育に役立つ証拠

2019年04月14日 11:30

ここに興味深いインタビュー記事があります。

エミネム、過去の薬物依存についてラップを学び直す必要に迫られるほどだったことを明かす(NME JAPAN)

リンゴ・スターとイーグルスのジョー・ウォルシュが語る、長年苦しんだアルコール中毒と薬物依存症の苦悩(Rolling Stone Japan)

リンゴ・スターとエミネム(Wikipediaより:編集部)

エミネムそしてリンゴスターやイーグルスのジョー・ウオルシュが、自身の依存症について語っているのですが、面白いのはその依存症の影響が作品にどう表れていたか?その時代の自分と音楽活動がどうだったかを総括している点です。

エミネムなんか、薬物摂取をしながら作ったアルバム「アンコールは二流」と、自分でぶった切ってますからね。
さすがは天下のエミネム、普通批判が怖くてそんなこと言えません。

彼らが共通して語っているのは、
アーティストとして薬物やアルコールを摂取していないと良い作品が作れないと思いこんでいて、やめるのが怖かったけど、実際止めてみたらそうじゃなかったんだよ!
ってことですよね。

これは同じアディクト(依存症者)として、実に気持ちがよくわかります。
「ギャンブルというヒリヒリするような刺激的なものを手放したら、何を楽しみに生きたらいいんだ。ギャンブルがあるからなんとか人生を頑張れているんだ!」と私も思っていました。だからやめることが怖くて仕方がなかったです。
だけどやめてみたらずっとずっと刺激的な本物の人生が待っていたんですよね。

そしてエミネムは、回復後に作ったアルバム「リカヴァリー」でグラミーを受賞したわけですが、その時の精神状態をこうして語るって実に意味のある、良き啓発だと思いませんか?

私がファンだったら絶対、グダグダの頃のアルバムと、最高の出来栄えのアルバム、どっちも買って聴き比べ、回復を喜びますね。ファンってその音楽性はもちろんのこと、生き方も愛しているもんじゃありません?
その人の生き様を好きになって、作品もファンになるという逆パターンもありですけど。

私なんて、電気グルーヴさんそれこそ自分がDiscoだクラブだと夜遊びを謳歌しながら、音楽に浸りきっていた若い頃に聞いてたな~位の感じなので、N.O.とかShangri-Laくらいしか存じ上げなかったんですけど、今や「早くアルバム買いたい~!」と思ってますからね。

配信停止とかってね~、それで違法アップロードのYoutuberが大儲けすることになっていてですよ、ソニーミュージックさんの方が、よほど反社会的行為に加担してるじゃないですか~。
ホントに真面目にこの措置良いと思っているんでしょうか?

そして何よりも日本の無知なタレントたちが「ドーピング」なんて騒いで、子供達に誤解を与え、逆に興味を煽っていますけど(関連拙稿:薬物問題に対する尾木ママの無知と無理解は「有害」)、こうして当事者が語ってくれたお陰で「薬物使って良い作品なんて作れないよ!」っていうことがわかるわけじゃないですか。

日本ってなぜ「悪い事=見ちゃダメ」ってしてしまうのか?理由が全く分かりません。
そうではなく真実の姿を見せて、伝えるということが本当の啓発ではないでしょうか?

それとアディクトは、依存行為にどっぷりハマりながらも、人生を生きているんですよ。
その苦悩の時代の姿だって自分なんです。だからアーティストも俳優さんもその姿を生き様としてみせるべきだと思っています。なぜ出演シーンをカットなんてことをするのでしょうか?まるで我々アディクトは生きてちゃいけないみたいです。

薬物を使いその罪悪感を自分の奥底に閉じ込めながら、その時の最大のパフォーマンスを見せているわけじゃないですか。
大事なのは、回復した後に復帰した姿を見せること、そしてその時のパフォーマンスが過去を超えていくこと、そうなるべくシラフで努力することではないでしょうか?

そのプロセスを多くの人達が目にすることによって、感動や勇気を与えることができるし、それこそが真の薬物乱用防止予防教育だと思います。

海外アーティストと、一般人の私を比べることもおこがましいですけど、新しい仲間達は、今の先陣切って突っ走っている私の姿しか知らない訳ですよ。でも15年前から4年間の私は全然違う訳で、ミーティング場の片隅で、依存が止められなくて自分を憎み、毎日泣きながらもがいて苦しんでいたんですよね。

その姿を知っている仲間達が、新しい人に伝えてくれると、びっくりもされるけど、勇気も持ってくれるし、希望にもしてくれるているんです。

我々は使っている間、ハマっている間も精一杯人生を生きたんです。
確かに罪は罪かもしれないけれども、そこに蓋をしようとする人もまた、罪の上塗りではないでしょうか?
その時代があるからこそ、回復した今を喜べているのです。

皆さんに是非観て頂きたい動画があります。

これ、回復した海外アーティストたちが、依存症団体の呼び掛けに応じて、まるでフジロックのようなコンサートを開催し依存症の啓発をしているんです。Steven Tyler, Joe Walsh, Sheryl Crow, Jason Isbell, The Frayらの姿が見えます。

日本のように、生きてちゃならない!とばかりに抹殺され、復帰もままならない社会と、こうして「勇気を持って回復して!」「俺たちにもできた、君にもできるよ!」と呼びかけて貰える社会とどちらが回復しやすい社会でしょうか。

是非、こうしたコンサートを、電気グルーヴさんにやっていただきたいです。
そしてその再起を応援したいと思います!


田中 紀子 公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表
競艇・カジノにはまったギャンブル依存症当事者であり、祖父、父、夫がギャンブル依存症という三代目ギャン妻(ギャンブラーの妻)です。 著書:「三代目ギャン妻の物語」(高文研)「ギャンブル依存症」(角川新書)「ギャンブル依存症問題を考える会」公式サイト

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田中 紀子
公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表

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