企業運営に立ちふさがるアナログな障壁

2019年05月18日 06:00

情報通信政策フォーラム(ICPF)では17日にデジタル手続き法についてセミナー第3回を実施した。今回はFreee株式会社の木村康宏さんに企業運営への影響について話していただいた。デジタル手続き法は変革への第一歩だが、まだ足りないものがあるというのがセミナーの結論だった。

木村氏は日本の電子行政は「不便」という次元を超えて「国際的に劣位」だという。それが企業、特に中小企業のバックオフィス業務に悪影響を与えている。会計・人事労務などに関連して役所に届出する際には膨大な紙処理が必要になる。バックオフィス業務の低い生産性も影響して日本の労働生産性は先進国の中で最下位である。

消費者向けサービスの高い使いやすさを見習って、使いやすい行政手続きを実現する必要がある。これが木村氏の意見である。行政手続きが完全デジタル化されると中小企業の負担は減り、行政側も業務量が削減される。行政事務間で情報連携できれば添付書類も消える。

デジタル手続き法は、そんな「あるべき姿」が整う第一歩である。これがこの法律の価値である。民間サービスとのAPI(アプリケーション・インタフェース)連携などが整えば、さらに前に進める可能性が生まれる。

しかしデジタル手続き法は中途半端である。個別法が紙処理を要求している場合には「デジタル完結」しないからである。会社設立時に印鑑届書が依然として求められているために、そこでデジタル手続きが中断するというのが一例である。これが残された障壁である。

木村氏は講演の最後に次のように発言した。行政手続きを完全デジタル化するというのがゴールではない。届出が本当に必要か検討し、無駄な届出はやめよう。デジタル手続き法が掲げる「ワンストップ」の先にある一気呵成の「ノンストップ」に進んでいこう。

セミナーの詳細は後日ICPFサイトで公開する。

今回のセミナーではデジタルデバイドへの言及は少なかった。そこで、このデジタルデバイドに焦点を当てて5月30日にICPFセミナー「デジタル活用共生社会とウェブアクセシビリティ」を開催する。どうぞ、皆様ご参加ください。

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