国際法と国内法から読み取る障害者権利:早川氏に理解してほしいこと

2019年07月30日 16:00

早川さん、突然「差別」と言われ驚かれたと思います。申し訳ありません。早川さんが理解されたように「重度障碍者の国会議員の議員活動を十全に果たしていただくための必要な配慮をする責務はもっぱら社会の方にある」と僕は考えているので、そのように言ったのですが、もう少し詳しく説明します。

舩後靖彦氏、木村英子氏(れいわ新選組サイトより:編集部)

障害者権利条約はすでに世界の161か国が署名している、世界標準と呼んでもよい障害者の人権に関する条約です。

条約の第29条は「政治的及び公的活動への参加」についてで、外務省の公定訳では「締約国は、障害者に対して政治的権利を保障し、及び他の者との平等を基礎としてこの権利を享受する機会を保障するものとし、次のことを約束する。」と書かれています。次のこととは、具体的には(a)が選挙人としての権利、(b)が被選挙人としての権利です。

公定訳では「保障するものとし」という書き振りですが、英文原本では「shall guarantee」と表されており、締結国に対する義務と位置付けられています。

障害者権利条約の批准にあたって制定された障害者差別解消法は第7条で「第七条 行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。」と定めています。

障害があるのに立候補して当選したのだから、当選後の活動が円滑に進むように手当てするのは障害を持つ政治家の責任であるとは、これらの国際法と国内法から読み取ることはできません。わが国でも「障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。」のです。障害者が他の国会議員と同様に国会で権利を行使できるようにすることは、すでに義務になっているのです。これが、僕が早川さんを批判した理由です。

もちろん僕は彼らが特定枠という抜け道を通って議員になったのを知っています。欠陥が露呈した特定枠は直ちに廃止すべきです。しかし今の制度で当選した彼らの権利行使を妨げるのは適切ではありません。なお念のために申し上げますが、僕は彼らの政治的な主張のほとんどに反対です。

山田 肇

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山田 肇
ICPF理事長、東洋大学名誉教授

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