法統性の韓国vs.正統性の北朝鮮、文大統領の反日はどちらか

2019年08月30日 06:00

韓国は日本にならば何をしても許される」と韓国人は考える。それは下記のような思考の流れである。

「NO日本」を掲げた8月3日の反日集会(KBSニュースより:編集部)

【前提条件】日本は朝鮮半島で不法な侵略と強制連行をした加害者である

定理1:加害者・被害者の関係性は永遠

定理2:被害者と加害者は、道徳的な観点から絶対的な上下関係を形成する

定理3:被害者は加害者に対してどんな加害も許される

【結論】加害者日本に対してならば、被害者である韓国は無慈悲に、永久無限に何をしても良い。

(ただし、この思考の根拠である「日本=加害者=悪」という前提は韓国特有の妄想である)

韓国特有定説:「日本は朝鮮半島に攻めてくる」

書籍『今、韓国で起こっていること』(シンシアリー著、扶桑社)には、驚くべき事柄が豊富に記載されている。同書より、以下何点か韓国の状況についての描写を引用する。著者のシンシアリー氏は、1970年代生まれの生粋の韓国人で2017年より日本に移住し書籍累計60万部超の人気作家とのことである。

韓国人の多くが「日本は今でも朝鮮半島を侵略しようとしている」と本気で信じている。(中略)「北朝鮮は過去の敵、日本は現在・未来の敵」という印象操作にもつながっています。

(『今、韓国で起こっていること』P123より引用)

創作話が日本侵略説の根拠

韓国では、南北連合軍が日本を攻撃する漫画『南伐』が百万部以上の売り上げを、南北が共同で開発した核ミサイルを日本に落とす内容の小説『ムクゲノ花ガ咲キマシタ』が四百五十万部の売上を記録するなど、「日本が朝鮮半島を侵略してきて、南北が力を合わせて日本を罰する」内容の大衆文化が国民的支持を得ています。

(同書、P126)

同書によると小説由来の「日本による朝鮮半島再侵略論」が完全に定説らしい。しかし日本も決して笑えない。「司馬史観」で「歴史」を「勉強」している元総理大臣もいた。

「とにかく邪悪な日本の侵略に備えなくてはならないので、今は分断されている優秀な朝鮮民族は、何とか統一を実現しその優秀さを取り戻さなくてはならない。安全保障的には北との敵対関係は不合理であり、寧ろ日本と敵対するべきだ。」

これが、(全てではないだろうが)韓国の人々の思考らしいのである。

歪んだ世界観の源泉は歴史教育

韓国人の世界観が独特なのは、独特の歴史教育にも原因があるだろう。以下少しだけ教科書を参照する。明石書店が出版している『韓国の歴史 第二版:国定韓国高等学校歴史教科書』(世界の教科書シリーズ1)を読んでみると、凄い内容である。

最も早く国家として発展したのが古朝鮮であった。古朝鮮は檀君王倹によって建国されたと言う(B.C.2333年)

(同教科書P41)

どうやら4300年の歴史があるらしい。(これが「上古史」か。ただし、根拠資料の提示はない。)

義兵として活躍していた安重根は満洲ハルピン駅で韓国侵略の元凶である伊藤博文を処断した(1909年)

(同教科書P354)

安重根はテロリストではないらしい。記念館が建つわけである。

なお、1965年の日韓(韓日)基本条約は、本文では“国交を正常化する”と曖昧に表記され、巻末の年表に“1965年韓日協定”という名称だけ表記されている。

教科書の文面は、とにかく情緒的に朝鮮と韓国が偉大であることを記述し、日本が悪行を尽くしているようになっている。挙げればきりがないが嘲笑したり悲憤を煽ることは意に反するのでこれ以上は取り上げない。

現実の韓国史を知ると気が狂うほどの劣等感

韓国では「韓国民族は優秀だ」というフレーズは何の抵抗もなく受け入れられるそうである。しかしそう教えられて育った韓国人が絶望的に惨めな現実の歴史を知ると、激しい劣等感に悩まされるという。

「偉大な歴史を叫ぶ私たちの内面には、もしかしたらすさまじい劣等感が存在しているのではないか」と(クォン・オヨン、ソウル大国史学部教授)は主張しています。

(「今、韓国で起こっていること」P101より引用、括弧内は筆者)

それでも現実を認知できればまだ救いもあるだろうが、実際には、そこから立ち直るために、虚飾の創作歴史にすがってしまうようなのである。

実は朝鮮民族は中華民族よりも日本民族よりも優秀だ。朝鮮民族昔広大な領土を持っていた、そんな架空の歴史、後に「上古史」と呼ばれる歴史観をもって、国民を扇動していた。

(「今、韓国で起こっていること」P98)

「優秀な朝鮮民族」理論を下支えするために歴史は偉大でなければならなかった。そのためには、事実を歪曲するしかなかった。これが、歴史が事実に基づかず、願望に基づくことになるメカニズムである。

反日思考のメカニズム

実は韓国人の反日思考には、大きく分けて2系統の根拠論理がある。それらは似て非なるものであり、水と油とも言える対立軸を持つ。日本にいるとこれが見えにくいので彼らの動きがよくわからない。

「法統性反日」と「正統性反日」*

(*どちらも便宜的に筆者が勝手に呼んでいるだけなので、そのような分類が一般的とは思えないので注意して頂きたい。)

法統性反日とは、韓国の起源を1919年の臨時政府とする反日活動である。つまり、抗日戦争は臨時政府が1919年から始めており、その法統(=法的正統性)を引き継いだのが大韓民国とする立場である。これによると反日は1919年の臨時政府譲りの活動であり、「法統性反日」とは憲法とも整合した愛国活動そのものである。

一方正統性反日とは、朝鮮民族の国家としての正統性をもっているのは北朝鮮であるとする説である。抗日戦争を戦っていた金日成が建国した北朝鮮こそが正統な反日集団である。日本の再侵略に備えて民族を統一し備えなくてはならないという反日である。

同じ反日でも、どうも米国陣営と北朝鮮(中国)陣営とに分かれているらしいが、実態はこんなに簡単な構図ではないだろう。

それでは文在寅大統領はどちらの反日か

明らかに「正統性反日」つまり親北朝鮮であろう。そう考えれば、就任以来の一連の動きが全てきれいに符合する。韓国民の衝動的な行動の数々とは、やはり違う動きと見るべきである。彼は就任前から「北朝鮮は敵ではない」という立場であり、それは2019年1月韓国国防白書から「北朝鮮は敵」という記述を削除したことでも明らかである。

韓国大統領府サイトより:編集部

レーダー照射の一連の対応、北朝鮮の最近のミサイル発射を「飛翔体」と言い換えさせる動き、いわゆる「徴用工」問題における裁判官の任命から始まる一連の不審な対応、慰安婦問題に関する約束破り、竹島訓練など、ある目的に向けて、全て意図的に問題をおこし続けていると考えると納得感が高い。トランプ大統領による文大統領の扱いの軽さは、その意図を裏付けていると感じられる。

GSOMIA破棄は自傷行為か

その可能性は大きいが、日米・韓を引き裂くために周到に準備された「離間の計」である可能性も小さくないと考えられる。朝鮮半島は、米中貿易戦争の一戦場とみるべきで文大統領は、朝鮮半島を統一するための戦略を実践しているのではないか。

民衆は感情に突き動かされているが、それをコントロールしている勢力は周到に施策を実行している。日本の置かれた状況は全く楽観視できない。今は、法整備をはじめとした制度・インフラ・戦略を静かに整えるときである。

田村 和広 算数数学の個別指導塾「アルファ算数教室」主宰
1968年生まれ。1992年東京大学卒。証券会社勤務の後、上場企業広報部長、CFOを経て独立。

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田村 和広
算数数学の個別指導塾「アルファ算数教室」主宰

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