「れいわ新選組」の大躍進は自民党安倍政権に有利

2019年10月09日 06:00

参院選での「れいわ新選組」の大躍進

7月の参院選で「れいわ新選組」(代表:山本太郎前参議院議員)は目を見張る大躍進をした。前参議院議員山本太郎代表の「看板政策」である「消費税廃止」は、大衆受けするが、その非現実性と社会保障制度破綻の危険性があり、多分に「左翼ポピュリズム」的色彩が強い( 2019年10月7日「アゴラ」掲載拙稿「れいわ・共産の消費税廃止で社会保障は破綻しないか」参照)。

れいわ新選組FBより

しかしながら、「れいわ」は、7月の参院選において、比例228万票(得票率4.55%)もの大量の票を獲得した。これは、組織を持たない「れいわ」にとって、組織政党である社民党の比例104万票(得票率2.09%)の実に2倍を超える大量得票である。

共産党など既成野党の票を奪った「れいわ新選組」

「れいわ」大躍進の理由については様々な分析がされている。筆者は、安倍長期政権に対する国民の不平や不満がその底流にあろうが、何よりも、「消費税増税」など安倍政権に強い不満を持つ「れいわ」支持層にとって、速やかに安倍政権を打倒して真剣に政権を取りに行く覚悟がない、立憲、国民、共産などの「迫力を欠く」既成野党に対する不満票が最も大きいと分析している。

そうすると、「れいわ」は、40歳代を中心に、「左翼ポピュリズム政党」として、比例228万票のうち、共産党など、従来の既成野党支持層や無党派層からの得票が多く、自民党安倍政権支持の保守層からの得票は限定的である、と見られよう。これを裏付けるのは、共産党が、前回2016年の参院選比例601万票(得票率10.74%)から今回の参院選比例448万票(得票率8.95%)へと実に153万票も減らし、得票率・議席数も後退していることである。

統一政策「消費税5%」での野党共闘は困難

しかし、「消費税廃止」を「看板政策」に掲げる「れいわ」は、次期総選挙を睨み、立憲、国民、共産などの既成野党に、当面「消費税 5%」を統一政策とする共闘を呼び掛けてきたが、共闘の合意が成立したのは9月12日の共産党とのみである。

立憲、国民の既成野党とはいまだ合意に至っていない。今後何らかの選挙協力関係は成立するであろうが、「消費税 5%」を統一政策とする「れいわ」と立憲、国民両党との合意は困難であろう。

2012年 自公民「3党合意」の存在

なぜなら、立憲、国民の前身である旧民主党は、2012年に自公との間で、「社会保障と税の一体改革」を進めるための「消費税増税」に合意しているからである(いわゆる「3党合意」)。社会保障改革を進めるために「3党合意」を行い、政権運営の経験もある旧民主党出身の多数の議員にとって、「消費税5%」のハードルは極めて高い。

もしも、立憲、国民両党が、「れいわ」との共闘を最優先し、「3党合意」を無視して、敢えて「消費税5%」に合意した場合は、自公から「背信行為」などと激しい批判にさらされ、政権担当能力そのものにも疑問符が付き、選挙では逆効果になりかねないであろう。

「れいわ新選組」の大躍進は自民党安倍政権に有利

自民党サイトより

以上に述べた通り、今回の参院選における「れいわ」の大躍進は、「左翼ポピュリズム政党」として、主として、支持層が重複する共産党などの既成野党の票を奪った結果である。そうすると、「れいわ」の大躍進は、今後、「消費税 5%」を統一政策とする野党間での大規模な共闘関係が成立しない限り、選挙では野党間での激しい票の奪い合いになり、野党間の票を一層分散させ、多党化を促進するであろう。

このため、「れいわ」の大躍進は、今後、自民党安倍政権への脅威とはならず、むしろ、自民党安倍政権に有利に働くであろう。

「れいわ・共産合意」は「共倒れ」の危険性

9月12日成立の「れいわ・共産合意」の政治的効果は未知数であり、「れいわ」にとっては、現在も日本において「共産党アレルギー」が根強く残る共産党のみとの共闘はリスクを伴う「冒険」であり、「共倒れ」の危険性も否定できないであろう。

一方、共産党にとっても、創立96周年の歴史と伝統を有する日本共産党として、「左翼ポピュリズム政党」である「れいわ新選組」との共闘については、改めて、共産党に対する有権者の判断が注目されよう。

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加藤 成一
元弁護士(弁護士資格保有者)

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