森ゆうこ議員に問いたい「質問の本義」 --- 高橋 大輔

2019年10月15日 06:00

全国各地に大きな被害をもたらした台風19号ですが、襲来を前に国民民主党所属の森ゆうこ・参議院議員が行った質問通告が波紋を呼んでいます。

国民民主党サイトより

名だたるアゴラの執筆陣でも池田信夫・アゴラ研究所所長の「森ゆうこ議員の「質問通告」はなぜ深夜まで長引いたのか」を筆頭に、高橋富人・佐倉市議会議員原英史・政策工房代表取締役などが異を唱えていますが、いずれも読みごたえのある真っ当な論であると感じました。

同時に、各氏の論考の中では語られていないながらも「これは、すべての有権者の皆さんと共有しておきたい」点が浮かびました。

そもそもの「質問の本義」とは

これは高橋市議の論考でも大いに「わが意を得たり」と感じ入った点ですが、そもそも何のために「国会という立法府で質問を行うのか」という点です。

国政や自治体に限らず議員質問というものは、質問者本人にとって不明確なことを尋ねたり、是非の二者択一を求めたりするものばかりではありません。

あくまでもその本義は、政策課題に対する行政府の長や当局の意思を確認し、有権者に対する見解や言質を引き出すことにある。少なくとも私はそう理解しています。

みずから疑問をいだき仮説を立て、あるべき姿を思い描く。行政の取り組みは十分か、もっとスピーディに取り組めるのではないか。これは拙速ではないだろうか。それらを一つひとつ、かつ謙虚に確かめていく地道な作業のはずです。
はたして森議員の質問には、そうした姿勢があるだろうか。課題解決に資するものだろうか。そして、質問に対する仮説(解決策)はお持ちか。そこは広く判断されてしかるべき点でしょう。

官僚の反乱に思うこと。役人とて「人」である

池田所長の論では答弁作成に翻弄される官僚の不憫や、マスコミへのアピールなど手厳しく指弾されています。森議員のホームページを拝見すると来月11月8日には永田町で政治資金パーティーの開催が予定されております。

森氏HPより:編集部

まさか一連の騒動もPRの一環ではあるまいと願いたいところですが、もしもこれまでの質問が議員のライフワークあるいは専門分野に根差したものであるならば、相手をする当局官僚にも「響いた」ことでしょう。ここは見逃せない点です。

質問の全容を拝見しているわけではないゆえ軽率な言い方はできませんが、役人とて「人」であり、血が通っています。霞が関という巨大組織の歯車である前に、一人の人間として、あるいは納税者として(役人とて納税者の一人です)、真摯に応えなければならないだけの「実のある質問」か。もしくは政争の具の域を出ない「愚問」に過ぎないのか。「台風襲来と天秤かけても重要な質問かどうか」ということです。

「森議員、痛いところを突いてくる。だけど、これは本当に必要なことなんだよね」

当局にもそう思わせるだけの、意味ある質問であって欲しい。もしもそうであるならば、官僚の発信とおぼしき一連のツイッターはそもそも出なかったのではないか。私はそう思わざるを得ないのです。

一番肝心なのは、「議員の覚悟」と「支持者の本気」

前項でも触れましたが国会議員のみならず、すべての政治家の質問はこれまでの来し方、あるいは専門分野に根差したものであっていただきたい。国会中継の質疑はクイズ番組ではないのです。皆さんの「アピールタイム」でもないのです。
「台風襲来の折に申し訳ない。けれどもこの質問は必要なんだ、そこを察してほしい」そう自信をもって言えるだけのものであるかどうか。それは今後の政治活動の中でも見えてくることでしょう。

質問を投げかけた結果、どうだったか。その結果を今後の活動にこう活かしていく、あるいはこう軌道修正していくと言えるかどうか。そうした証を立てられなければ、今回の質問通告は単なるパフォーマンスの誹(そし)りを免れないでしょう。

森議員には一連の質問の「その後」も大いに語っていただきたいと願います。有権者も、そこはきちんと見るべき。それが「政治家を育てる」ということです。票を投じる、議場に送り出すというのはそういうことです。支持者や後援会の責任でもあります。

予定されている政治資金パーティーの会場は憲政記念館、永田町1丁目1番地1号。かつて「尾崎記念会館」と呼ばれた場所であり、咢堂・尾崎行雄の銅像が国会議事堂をにらみつけている場所でもあります。

「政治家にとっての質問」とはいかなるものか。霞が関のみならず、全国各地の自治体も含めて、本当に意義あるものであるかどうか。そうした有権者の耳目を集めるきっかけになったとしたら、今回の「嵐の前の質問通告」も決して無駄ではないでしょう。

高橋 大輔 一般財団法人 尾崎行雄記念財団研究員。
政治の中心地・永田町1丁目1番地1号でわが国の政治の行方を憂いつつ、「憲政の父」と呼ばれる尾崎行雄はじめ憲政史で光り輝く議会人の再評価に明け暮れている。共編著に『人生の本舞台』(世論時報社)、尾崎財団発行『世界と議会』への寄稿多数。尾崎行雄記念財団公式サイト

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