映画「宮本から君へ」助成金不交付、まず決定プロセスの会議録を公開すべし

こんにちは、音喜多駿(参議院議員 / 東京都選出)です。

本日22日の祝日を挟むため営業日が少ない今週、昨日は党部会主催の合同レクチャーに加えて、文化庁から映画「宮本から君へ」助成金不交付問題についてヒアリングを行いました。

映画「宮本から君へ」に内定の助成金、出演者の不祥事を理由に不交付

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これは助成金の交付が内定していた映画に、覚醒剤使用で逮捕されたピエール瀧氏が出演していたことから、「国が薬物を容認するようなメッセージを発信する恐れがある」との謎理由で不交付を決定したものです。

さらにはこれを契機に今後、「公益性の観点から不適当と認められる場合」は内定を取り消せるように交付要綱を改正したというのですから、恣意的な判断で交付・不交付を左右し、表現の自由を萎縮させるのではないかとの懸念が関係者に広まっています。

私自身の所感からまず申し上げれば、今回の不交付決定は明らかにやりすぎだと思いますし、表現の自由という観点から現時点では到底納得できません。

今回に日本芸術文化振興会(文化庁所管の独立行政法人)の決定について、文化庁からは

・助成が内定していたものが「交付に至らなかった」だけで、交付を取り消したわけではない
・要項の改定については、「重大な違法行為があった場合」等とも追記したので、恣意的な濫用はない

等の説明がありました。

しかし、まず前者は「内定していたのに不公布が決定された」前例はないとのことで、交付取り消しではないとはいえ、今回の対応が異例かつ踏み込んだ対応であることがわかります。

後者については、じゃあ何をもって「重大な違法行為」とするのかが、結局のところ不明瞭です。懲役刑なら重大なのか、執行猶予なら許容範囲なのか。

例えば製作者サイドが出演者を覚せい剤常習者と知った上で、覚せい剤を広めるような作品を撮ったのであれば、かなり悪質な違法行為であると思います。

でもそうでない(知らなかったし、内容も関係ない)なら、助成金の交付を取りやめるほど重大な違法行為だとは「私は」思いません。

このように、結局は判断する人の恣意性が介入することになり、際限なく広がっていく恐れがあります。

出演者の行為によってそれができるなら、叩けば埃が出ない人は少ないわけですから、理由をこじつけて内容が気に食わない作品への助成金を差配できる可能性が否定できません。

よって本日のところは、日本芸術文化振興会を所管する文化庁に対して、今回の決定がなされた会議の議事録を要求させていただきました。

前例がないことに踏み込んだわけですから、さすがに日本芸術文化振興会の中でも賛否の議論があったはずです(推測)。

外部専門家の意見も含めて、議論が行われた会議の内容・出席者などを詳らかにしていただき、なぜこうした判断が行われたのか・今後にどのような影響があるのかを、しっかりと検証したいと思います。

そして将来的には、天下り人事などを排した、単なる助成団体ではない諸外国並の「アーツカウンシル」を、日本にも整えていくべきだと思います。

このあたりはまた、続報とともにお知らせしていきます。

それでは、また明日。


編集部より:この記事は、参議院議員、音喜多駿氏(東京選挙区、日本維新の会、地域政党あたらしい党代表)のブログ2019年10月21日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。