「情報漏洩」の犯人さがしは野党の自殺行為だ

池田 信夫

10月23日、衆議院内閣委員会で無所属の今井雅人議員は「高橋洋一氏が15日の森ゆうこ議員の質問内容を事前に知っていた」と質問し、これに対して北村地方創生相は「責任を取る」と答弁した。

今井:その図と思わしきものはですね、森議員が質問の際に出した資料の中にあると思います。これは事前には原さんにも渡してないはずです。しかし、なぜ高橋さんは質疑が始まる前に、この図のことを知っていらっしゃったんでしょうか? [中略]

内閣府から情報が漏れたということはないと、断言していただけますか? で、もし後日そういうのが出てくるということであれば、これはもう大臣の責任問題になると思いますけれども、いかがですか。

北村:本件について内閣府から通告内容が漏洩した事実はない、ということを確認しておりますから、責任問題が生じたときには責任取ります。

24日の野党ヒアリングで、立憲民主党の柚木道義議員も「高橋氏が事前に質問内容を知っていたのは官僚が情報漏洩したからだ」と主張した。その根拠は、野党ヒアリング資料にある高橋洋一氏のツイートだと思われる。

この資料には15日の質問前の14日19:57のツイートが出ているが、この時刻はアメリカ太平洋標準時(PST)である。日本時間では森ゆうこ議員の質問の終わった15日11:57であり、前後関係からも彼が国会中継の感想を書いていることは明らかだ。

今井氏や柚木氏の主張は事実誤認である。ツイッターにログインしないでツイートを見るとPSTで表示されるので、それを勘違いしたものと思われる。森氏もこの資料を根拠に「高橋氏には透視能力がある」などとツイートしたが、これも事実無根である。撤回と謝罪が必要だ。

北村氏が「責任を取る」と答えたのは、「内閣府の正式ルートとは別のルートから質問内容が高橋氏に渡った」という今井氏の(事実誤認にもとづく)質問に対する答弁であり、責任を取るべきなのは今井氏である。

もう一つは松井孝治氏がツイッターで見せた、参議院予算委員会の質問者の「バッター表」である。野党はこれを「情報漏洩だ」と騒いでいるが、これは議場で多くの人が見ている公開情報で、公務員が守るべき秘密ではない。

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野党がこれに騒いでいるのは、ここに森ゆうこ議員の質問が「24:25差替」と書いてあることが、彼女の「17時の提出期限までに出した」という主張が嘘だという証拠だからである。

朝日新聞によると、野党ヒアリングで内閣府は「(政府内から流出したと)推測される。内規に違反していると思う」と答えた。

これを持っていた人は15日に議場にいた数十人だから、全員を査問すれば画像を流した人を特定することは不可能ではないが、そんなことをしたら今後、役所の情報は野党にまったく出てこなくなるだろう。これは野党の自殺行為である。

野党の主張がナンセンスであることはマスコミもわかっているはずだが、「官僚ブラック労働」が本筋だと指摘したのは産経だけだ。いつも長時間労働を糾弾する朝日新聞も毎日新聞も、労働者を守る気はないのだ。