今週のつぶやき:韓国議長に書簡、山東昭子議長の正義感

沖縄首里城が全焼してしまいました。特に沖縄県民の方にはショックだったと思います。こうも簡単に全部焼け落ちてしまうのかと思うほどでした。「再建したばかりなのに」という工事に携わった方のコメントがずしんと響きました。ちなみに世界遺産になっているのは城址で再建して火事になった建物は含まれていません。あきらめずに気を取り直して再度の再建をするしかないです。

では今週のつぶやきです。

世界の行方

株価だけを見れば奇妙な安ど感の中で日米の株価は堅調さを維持しています。基本的にはアメリカの企業業績が良いことが買い材料でしょう。今日発表されたアメリカ10月の雇用統計も事前予想を上回っており、市場では好感されています。

ただ、よく見ると悪いニュースには目をつむっているのかもしれません。英国のEU離脱については結局総選挙を12月にやることで野党の同意を取り付けたもののジョンソン首相が打った挑戦はほぼ全滅状態であったことを考えると総選挙で何が見えるのか、という不安材料もあります。チリで開催予定だったAPECとCOP25が安全上の問題で議長国の開催ギブアップ宣言という前代未聞の状態になったことも驚きです。地下鉄のわずかな値上げ発表から火が付いた同国のデモ。世界各地で起きているデモは人々がそこまで抑圧されていたことの裏返しとも言えます。

IMF専務理事からECBの総裁に着任するラガルド氏は欧州で進むマイナス金利には弊害が多いという見解を示しマイナス金利脱却を図るのではないかとみられています。日銀黒田総裁がさらなる深堀を考えているのと好対照であり、金融政策の変化という点でも市場に大きなインパクトがあるかもしれません。見ないふりがいいのか、のぞき見するかでそのスリルは大きく変わります。

突然変更、2題

今週は「突然変更」がキーワードだったかもしれません。オリンピックマラソンと競歩の札幌開催、および大学入試改革の一環で取り入れる予定だった英語の民間業者試験導入の見送りであります。双方のケースともその兆候はあったわけでそれを乗り越えられるかどうか、微妙な駆け引きの中で「やっぱり無理!」という判断が全てでした。

オリンピックについては本当にIOCが酷暑の東京について理解していたかどうかです。東京のオリンピック招致の際の東京都と招致委員会の書類には「この時期の天候は晴れる日が多く、且つ温暖であるため、アスリート が最高の状態でパフォーマンスを発揮できる理想的な気候である」。よくもこんなことを書けると思いますが、IOCは疑心暗鬼、そこに「新ドーハの悲劇」が起きたということでしょう。逆に言えば東京開催を強行し、何かあった場合に東京都に火の粉が飛んでくるリスクは軽んじられないでしょう。

都庁YouTubeより:編集部

英語の民間試験利用は詰めが甘かったの一言です。私ならあんなに多くの民間試験を並列で選ばせないです。試験の目的と対応能力をみて入札し、試験料を下げさせ、大学入試としてふさわしい試験に絞り込むという手段をとるべきだったでしょう。それでも金額が高いなら何らかの補助の仕組みを取り入れるべきではないでしょうか?それと英語について一律ランクの試験でよいのか、という気がします。文法で突っかかって、できない人はできないんです。ならばもっと実用英語という道を作るのも一手だったと思います。

山東昭子議長の正義感

G20国会議長会議なるものが来週日本で開催されるそうで韓国の文喜相国会議長に対して今回のG20の議長である山東昭子参議院議長が書簡を送っていたことが報じられています。文議長は今年2月に上皇様を「戦争犯罪の主犯の息子」「慰安婦問題の解決には天皇の謝罪が必要」と主張したことで日韓関係に大きなひび割れを作った張本人の一人であります。

文氏、山東氏公式サイトより:編集部

そんな議長がぬけぬけと日本に会議出席で入国することすらどうかと思いますが、G20国会議長会議である以上拒否もできずというところでしょう。それに対して山東議長が「お主、きちんとしないと許さんぞ」と書簡でけん制したわけです。こういうストレートなところは案外女性のほうがしっかりしているものです。(都知事のマラソンの件もしかり)

折しもかの国では日本製品不買運動で日本製ビールの輸出が壊滅的になったと報じられていますが、結局国民を扇動する仕組みが問題であり、影響力ある人間がその旗振りをし、偏重した歴史教育を受けた若者がそれに踊るという芝居であります。これを見ていると「国家の品格」をもう一度読み直してみたくなります。面子ではなく、意地なんでしょう。文議長が来日中、どんな態度を示すか、注目です。

後記

緒方貞子さんがお亡くなりになりました。一般の方にはなかなか知られない国連難民高等弁務官という舌を噛みそうな役柄とそれ以上に残した成果はこんな日本人もいたのか、という世界レベルでの評価だったようです。小泉首相時代に外相就任依頼を固辞したのは日経の春秋に「日本型組織の不自由さを悟ったのでは」と記されています。昨今の閣僚の辞任、不適切発言を見ていると日本型組織そのものが壊れてきている気もします。緒方さんは天国でどう見ているのでしょうか?

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2019年11月2日の記事より転載させていただきました。