社労士視点で見た森ゆうこ氏騒動:野党には安全配慮すらないのか

2019年11月06日 06:01

「職業に貴賤なし」とは、江戸時代の思想家・倫理学者である石田梅岩の教えであるそうだが、日頃、多様な事業を営まれている経営者の皆さんと接していると、まさにこの言葉の通りであると実感することが多い。

段ボール製品を製造されている人、お弁当を作っている人、美容室を営んでいる人、トラック輸送をしている人、ラーメン・餃子を提供されている人、介護事業に携わっている人、衣料品を販売している人、派遣事業をされている人・・・等々、様々な分野でそれぞれが役割を担ってくれているからこそ、私たちは豊かな社会で暮らせている。

“働き方改革で生産性向上”という最近のトレンドに貢献できているのか自信はないが、我々のような(語弊があるので「私」と言い換えるべきか)社会保険労務士も社会の発展に微力ながらも力を尽くしているつもりだ。

永田町から見た“不夜城”霞ヶ関方面(写真AC:編集部)

その意識は、頭脳明晰で優秀な国家公務員は更に高位にあるはずで、今春入省した国家公務員合同初任研修開講式で安倍総理が「次の時代を創る気概を持って」と激励したことを胸に抱きつつ、毎日、粉骨砕身しているのであろう。

国家公務員には労働基準法が適用されない

働き方改革元年の今年、労働基準法が改正され、時間外労働の上限違反に罰則が科されることとなった。働く上での基本的な決まり事を定めた同法は、一般の民間企業で働く労働者には当然に適用されるが、国有林分野に従事する現業職員や国立印刷局などの独立行政法人の職員を除いて、国家公務員には同法が適用されない。

写真AC:編集部

しかし、労働環境の改善を目指して今年4月に施行された人事院規則では、残業の上限が原則月45時間、年間360時間と民間と同レベルに規定された。

過日、厚生労働省の若手職員らが、働き方改革や省内の職場環境改善に向けた提言をまとめた内容が報道された。

小見出し:人生の墓場・拘牢省・強制労働省(読売新聞)

厚生労働省(提言書)

このなかで国会議員に対する政策説明をオンラインで行えるようにしたり、深夜労働の一因とされる議員の質問通告について、事前通告の徹底化なども提案された。

「日々の業務を減らして楽をしたい、待遇を良くしたいといった動機ではない」、「個人と組織の持つ能力とパフォーマンスを最大化して、真に日本の社会経済・国民生活の向上に資する、信頼される組織に再生させるべきである」という提言内容には、仕事柄、日頃、同省の対応に少なからぬ不満を持つ身であるが、かなり心を揺さぶられた。

是非とも、この提言が真摯に受け止められて、彼らの能力が思う存分に発揮できる体制・組織に生まれ変わって欲しいと願わずにはいられない。そのためには一省庁だけでは限界があり、立法府による法的なバックアップも必要になるはずだ。

野党議員はどこを向いて仕事をしているのか?

そんな国家公務員の願いも虚しく、自らの質問通告ルール違反から目を逸らさせるため、いまだに情報漏洩と騒ぎ立てる森裕子議員はじめとする野党議員に対し、アゴラの池田氏はじめ、各方面の識者から事実誤認の指摘や批判が出ているのに一向に自らを省みる姿勢が見られない。これでは同じくアゴラの新田編集長が見限るのも当然だろう。いや、彼らの言葉を借りずとも、私自身もこの件に関しては本当に腹立たしく思っている。

国民民主党サイトより:編集部

森議員は弁明しているが、そもそもこの実態としての質問通告遅れが、台風が迫るなか省庁に留め置かれて対応せざるを得ない職員に対して、どのような影響を与えることになるのか想像していないのだろうか?いや、想像することすら出来ないのだろうか?

国会議員と国家公務員の関係は使用者と労働者という関係には無いので、当然のことながら、そこに労働契約法が適用されることはない。

しかし、もし仮に雇用関係があったとしたら、台風が近づくなか、それも災害級であると事前にアナウンスがあるような台風が迫るなかで、それを承知で会社内に留め置かせてその場で何かしらの被害に遭った場合、或いは帰宅途中で被災した場合には、安全配慮義務違反に問われる可能性は十分にある。

そもそもそんな法的根拠を持ち出さなくても、ごく普通の人間的感情を持っているなら「何か起きたら大変だ」という気持ちになると思うのだが…そうでは無いかも知れない。

与野党の議員数で圧倒的な差がある状況下にあって、本気で政権交代しようとは考えてはいないのかも知れない。国会審議の日程闘争が野党議員としての腕の見せどころなのかも知れない。テレビ中継の入る議場で大臣らが答弁に窮するところを見せたいのかも知れない。野党議員はそんな思考回路しか持ち合わせて無いのだろうか?

偏見だとは承知しているが、人間としての感性を持ち合わせないような(少なくても私にはそう見える)人達に厚生労働省の職員が目指すような質の高い仕事が出来るとは到底思えない。人としての痛みを感じられないような国会議員には何も期待出来ない。そんな野党議員に優秀で志のある公務員を使い減らして、疲弊させて欲しくない。

「働き方改革元年」となった今年だからこそ、ここは政府・与党側も一緒になって真剣に取り組み、まずは予め国会の審議日程を固定させることを実現させることから始めて、与野党ともに国会での実りある審議が尽くされることを切に願っている。

源田 裕久(げんだ ひろひさ) 社会保険労務士/産業心理カウンセラー アゴラ出版道場3期生
足利商工会議所にて労働保険事務組合の担当者として労務関連業務全般に従事。延べ500社以上の中小企業の経営相談に対応してきた。2012年に社会保険労務士試験に合格・開業。2016年に法人化して、これまで地域内外の中小企業約60社に対し、働きやすい職場環境づくりや労務対策、賢く利用すべき助成金活用のアドバイスなどを行っている。公式サイト「社会保険労務士法人パートナーズメニュー」

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源田 裕久
社会保険労務士/産業心理カウンセラー アゴラ出版道場3期生

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