(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)
10月30日、米国のマイク・ポンペオ国務長官は対中国政策について演説し、中国共産党政権は米国やその他の民主主義諸国の価値観を否定しているとして激しく非難した。さらに同長官は、全世界の民主主義諸国が団結して中国と対決することを求めた。
現在、日本の安倍政権は中国への接近や融和を図る姿勢をとっているが、同長官の演説によって、その対中姿勢はトランプ政権の対中政策と明確に離反することが浮き彫りになった。
対中政策がさらに強硬に
ポンペオ長官は、大手研究機関のハドソン研究所がニューヨークで開いた集会に出席し演説した。
トランプ政権の対中政策としては、マイク・ペンス副大統領が10月24日に主要演説を行って、中国の武装艦艇の尖閣諸島周辺への頻繁な侵入などを指摘し、中国の軍事膨張を非難している。ポンペオ長官の今回の演説はそのペンス演説を補強し、中国への糾弾をさらに鋭利にした内容だった。
ポンペオ長官は、米国は中国の国民に対しては親近感を抱いているが、共産党政権は民主主義の弾圧、人権の蹂躙などを行い、米国はじめ全世界の民主主義諸国の価値観を否定している、と強硬に非難した。
ポンペオ長官の演説の骨子は以下のとおりである。