毎日の誤報 !?米統合参謀本部議長と安倍総理の会談記事

2019年11月14日 06:00

マーク・ミリー米統合参謀本部議長は訪韓前の12日、午前に安倍総理、そして午後に茂木外相と相次いで会談した。

ミリー統合参謀本部議長と会談する安倍首相(官邸サイトより)

これに関し外務省は「本12日午前10時15分頃から約45分間、安倍晋三内閣総理大臣は、訪日中のマーク・ミリー米統合参謀本部議長の表敬を受けた」との記事(リンク)と「本12日午後3時05頃から約45分間、茂木敏充外務大臣は、訪日中のマーク・ミリー米統合参謀本部議長の表敬を受けた」との記事(リンク)をサイトに公開した。

その朝鮮半島に関する記述は、安倍総理、茂木外相ともに共通で以下のようだ。

直近の北朝鮮による弾道ミサイル発射事案を含め、北朝鮮をめぐる最新の情勢について意見交換を行い、日米韓の連携の重要性や北朝鮮のCVIDを目指していくことを確認し、引き続き、日米で緊密に連携していくことで一致しました

ところが12日18:07の毎日新聞はこう書いている。以下は全文引用。太字は筆者。

1)安倍晋三首相は12日、ミリー米統合参謀本部議長と首相官邸で会談し、北朝鮮について完全かつ検証可能で不可逆的な方法による非核化(CVID)を目指すことで一致した。また日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA=ジーソミア)が23日午前0時に失効することを念頭に、日米韓の連携の重要性も確認した。

2)首相は「日米同盟の抑止力と対応力の強化、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて、協力を深めたい」と述べた。ミリー氏は13日、エスパー米国防長官とともに韓国で鄭景斗(チョンギョンドゥ)国防相らにGSOMIAの更新を求める方針で、会談後、記者団に「韓国での協議のポイントになる。期限が切れるまでに解決したい」と述べた。

3)ミリー氏はまた、河野太郎防衛相や茂木敏充外相とも会談した。茂木氏との会談では中国や北朝鮮を挙げ「対応する最も良い方法は日本と米国の強い絆を見せつけ、韓国を加えた形での絆の強さをしっかり見せるということだ」と指摘。茂木氏は「そのメッセージを(韓国に)強く伝えてほしい」と応じた。

1)にも2)にも3)にも、外務省が公開した記述には見当たらないことが書いてあり、何がソースなのかはっきりしない部分もある。2)と3)はさして問題がない内容と思うが、1)の「失効することを念頭に」との記述は、韓国に対して甚だ誤解を惹起する表現ではないかと思われる。

「念頭に」とは正しくは「念頭に置いて」であり、その意味するところは「常に心掛ける」ということだ。本件では、韓国が「23日午前0時」までに何の意思表示もしない場合には確かに「失効する」が、それまでに廃棄撤回などの意思表示をすれば「失効しない」可能性が残っている。

そうであるのに「失効することを念頭に」と書けば、それは「韓国が23日午前0時までに何の意思表示もしない場合」、すなわち「失効することを念頭に置いて」、「日米韓の連携の重要性を確認し、引き続き,日米で緊密に連携していくことで一致し」たことになるが、外務省記事にそのニュアンスはない。

目下、米国は日韓GSOMIAが失効しないように鋭意働き掛けているのであり、ミリー氏の訪韓目的の一つにもそのことがある。だのに「失効することを念頭に置く」のは明らかにおかしい。外務省の公開した表現に基づいて、前の一文に続けて書くのであれば、次のような表現であるべきだろう。

…北朝鮮について完全かつ検証可能で不可逆的な方法による非核化(CVID)を目指すことで一致した。また23日午前0時が失効期限の日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA=ジーソミア)についても、日米韓の連携の重要性も確認し、引き続き,日米で緊密に連携していくことで一致した。

極めて機微な問題についての極めて機微なタイミングでの報道だ。社会の公器たる全国紙が、読む者に誤解を与えるような日本語の使い方をしては拙かろう。正しいニュアンスが伝わるよう訂正を入れるべきではないか。

高橋 克己 在野の近現代史研究家
メーカー在職中は海外展開やM&Aなどを担当。台湾勤務中に日本統治時代の遺骨を納めた慰霊塔や日本人学校の移転問題に関わったのを機にライフワークとして東アジア近現代史を研究している。

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