望月衣塑子記者と沖縄タイムスの不可解な“関係”

新田 哲史

東京新聞の望月衣塑子記者が、沖縄タイムスの阿部岳編集委員の渾身のスクープを実質的に後追いしたにもかかわらず、さも自社スクープであるかのように書いた不可解な記事について、きのう指摘した。

望月衣塑子記者、沖縄タイムスからパクった“偽装スクープ”で波紋

拙稿を出す前からメディア関係者の間で意見交換されており、さらに拙稿が出た後も私に直接意見をもらうこともあったが、望月記者の天敵は菅官房長官だけでなく、メディア業界にも結構いるのだと再認識した。

ところで気になったのは記事をパクられたようにしか思えない沖縄タイムスや阿部編集委員が、東京新聞の記事の後追いの仕方をどう見ているのか、ということだ。普通の記者の感覚であれば、ネット上に出ている東京新聞の記事に自社先行のことが一言も言及がないことには、多少の不快感を示すものだろう。

きのうの拙稿を書いている段階では気付かなったが、阿部氏はツイッターをやっていたらしい。それでツイートをみてみると、なんですかこれは。

不快どころか嬉々としているではないか。阿部記者がツイートしている防衛省の担当者のコメントは、“望月バージョン”の記事で独自に味付けされた、数少ない差別化ポイントだが、阿部記者は、望月氏のツイートを直接引用する形で自身の報道内容がさらに「補強」されたことを手放しで喜んでいる。

この2人は一体どういう関係なのだろうか。

ネット上の読者からも意見や情報提供をいただいたが、望月記者と阿部編集委員は少なくとも近年、面識を得ているのは間違いない。昨年7月1日には法政大学で開催されたシンポジウムの“二枚看板”として出演している。

面識もあり、“安倍政権と闘うジャーナリスト”としてケミストリーが合いそうだが、記事をパクられたはずの阿部記者の手放しでの喜びっぷりからすると、よほど相性がいいのだろう。

しかし、蜜月が過ぎると、要らぬ憶測も呼んでしまう。すなわち、メディア業界内や読者のアンチ望月の人たちから聞こえてくるのは、望月記者が、阿部記者からJパワーの内部文書を譲り受けたのではないかという指摘も聞こえている。

私自身はまさかとは思いたいが、万一、資料を現場の記者同士で融通しあっているのであれば、阿部記者はスクープを独占する名声を失う代わりにメリットはある。すなわち沖縄県内のスクープだけでは、安倍政権の沖縄基地政策を追及する世論を全国区にはできない。だからいまや映画の原作も手がけて、時の人となっている望月記者の発信力をテコに政権へのネガティブキャンペーンの威力を倍加させる効果はある。

もちろん、それは邪推だ。ただ、あくまで万一ながら、資料の融通があった場合、それぞれの会社できちんと把握していることなのか。もしかしたら私のアンテナが鈍いばかりに、東京新聞と沖縄タイムスが業務提携していたのかもしれないが、少なくとも聞いたことはない。

今後も社外に取材のプロセスを明らかにしない限り、真相は藪の中だが、いずれにせよこの騒ぎの元凶は東京新聞が、沖縄タイムスの事実上の追いかけ記事でありながら、先行ソースに全く言及していないことにある。そして現場記者同士の不可解な関係が、さらに憶測を呼んでいる。

憶測を放置するという政略的な思惑がもしあるのであれば、それでは、東京新聞読者(特にネットを見ないために沖縄タイムスの先行記事の存在を知らないシニア層)に対して、あまりに不誠実ではないだろうか。

新田 哲史   アゴラ編集長/株式会社ソーシャルラボ代表取締役社長
読売新聞記者、PR会社を経て2013年独立。大手から中小企業、政党、政治家の広報PRプロジェクトに参画。2015年秋、アゴラ編集長に就任。著書に『蓮舫VS小池百合子、どうしてこんなに差がついた?』(ワニブックス)など。Twitter「@TetsuNitta」