デジタルトランスフォーメーションは遠い

2020年02月04日 06:00

セミナーのためにホテルの会議室を借りた。見積書や会場レイアウト図がメールで送られてくるのだが、読み取るのに一苦労。まとめて、パスワード付きのZIPファイルで送られてきたからだ。

パスワードは数分後に別送されてくるのだが、Gmailはメールのタイトルを元にスレッドを分けるので、「パスワードのお知らせ」というメールが一つのスレッドに積みあがってしまう。どのパスワードで開くのか、わからなくなった。

ホテルに連絡したら、ファックス番号を知らせるようにという返事がきた。ファックスなどという旧時代の機器はない。

苦戦の末、パスワードを見つけてZIPファイルを開けることができた。中に入っていたのは画像PDFで、ホテルは一度プリントアウトした後に、スキャンしてこれを作ったらしい。

ともかく内容を確認して返信しようとした。返信メールに「請求書のファイルはメールに添付」と書いたら、Gmailから「添付ファイルがありませんが、このまま送信しますか」という質問がきた。

ははあ。Gmailはメールの中身を読んで「適切なアドバイス」を出してくれたのだ。ということは、Gmailは「パスワードのお知らせ」というメールも読んでいる。パスワード付きのZIPファイルが大好きな人たちに聞きたい。これでもセキュリティは確保されているのですか。

パスワード付きZIPファイルの非生産性は「くたばれPPAP!」というフェースブックのグループで盛んに議論されている。PPAPとは「Password付きzip暗号化ファイルを送ります、Passwordを送ります、これでAんごう(暗号)化したと満足する、Protocol」の略だ。ホテルとのやり取りは格好のネタになるだろう。

ホテルとのやり取りは生産性が低い。デジタルを使ってはいるが、デジタルのよさは全く発揮されていない。社会全体のデジタルトランスフォーメーションは遠い。

というわけで、「デジタルトランスフォーメーションを目指す政策」と題するセミナーを2月18日に開催する。平井卓也前IT担当大臣に、こんな惨状を打破する政策について話していただく。「くたばれPPAP!」の皆様、広くデジタルトランスフォーメーションに関心を持つ皆様の参加をお待ちします。

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山田 肇
ICPF理事長、東洋大学名誉教授

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