中小企業の倒産予測から5/6に緊急事態宣言が終わったとしても恐ろしい結果になる試算で身震いした。

一昨日のエントリーが炸裂

感染症学会の分析による、コロナ大流行の犯人。傾向と対策

半日で10数万人の閲覧ですが、AdSenseよりAWSのコストが上回って泣けてます。

さて、いまだ「命より経済を優先するのか」と訳の分からないことを言う人にたくさん絡まれました。Twitterで見ますと、資産家、主婦とかリタイヤした人、ずっと無職の皆さまが多く、そりゃあんたらは困らないよね、という人ばかり。

そんな中、こんな調査データがリリースされました。

中小企業調査「6月末まで」6割コロナ終息遅れで経営危機の恐れ

エヌエヌ生命保険のデータですが、ここのリリースはしっかりしているので見に行きましたけどまだこれは掲載されていないようです。共同通信社からのニュースなのでリリースではなく独自取材かも。調査は非常事態宣言の前の3月だからいまはこれよりずっと悪化しています。

新型コロナウイルス感染拡大がいつまでに終息すれば経営的に乗り切れるか、3月末に中小企業に聞いたところ「3月末」から「6月末」との回答が計6割に上ったことが26日、エヌエヌ生命保険(東京)が実施した全国の経営者への調査で明らかになった

3月までしかもたない 7.1%
これ、かなり体感値に近いです。

4月末+20.3%
つまり非常事態宣言が5/6に解除されてもすでに27.4%の中小企業は飛んでいる

5月末+16.6%
延長されるとさらに 5月末までに16.6%が飛ぶ

6月末+15.5%
ここまでで6割の中小企業が消滅

たぶん比率で言われてもピンと来ない人が多いので具体的に数字にしてみよう。

日本の中小企業とそこで働く人

中小企業庁の2019年版中小企業白書によると

日本の中小企業357.8万社、従業員3220万人!!

もちろんコロナでは「もうもたない」と言っている中小企業でも融資を受けたりして命を繋ぐところは多いと思うが、逆に大企業も倒産するところがたくさん出てくるはずなので相殺してこのアンケートの通りだとすると・・・・次々と増える倒産件数と失業者の数は

3月末 25万4000社倒産 229万人失業
4月末 98万社倒産 882万人失業

ここで緊急事態宣言が伸びると

5月末 157万4000社倒産 1426万人失業

さらに緊急事態宣言が1ヶ月延びると

6月末 1915万人失業

まあ、いくら安倍政権がアホだとしても、アメリカもドイツもフランスも、そしてあのイタリアもロックダウンしていまだ毎日日本の累計くらいの死者が出ているのにロックダウンを解除します。そうでないと国が崩壊してしまって医療どころではなくなるからです。それを見てるのに簡単に「はいっ、延長!!」とは言えないと思うのだが・・・

で、たとえば4月末まででも合計で98万社倒産 882万人失業です。5/6までとするとこれと5月末までの1/3位をくわえて

120万社 1000万人失業!!!

ということになります。大不況が来たら生活保護貰えばいいとか言ってる馬鹿がいますが、現在の日本の生活保護世帯数は164万世帯でこれに1000万の失業者のうち、仮に400万世帯が生活保護申請して通ると思いますか?
現在の生活保護費負担金(事業費ベース)は3.8兆円だから、いきなり年間15兆円くらいになっちゃうのです。

日本の2019年平均の就業者数は6724万人で、失業率は2.5%です。これで計算しますと緊急事態宣言が終わった時の日本の失業率は

17.3%!!!

というとんでもない数字になります。バブル崩壊のときでも5%くらいだったのです。
現在は失業率2.5%で失業保険支給分が1.7兆ですので、失業保険だけで年間11.7兆!(とはいっても会社都合なので半年で切られますがそのあとどうやって計算するかわからないので適当です。w)

いままで日本はそんな凄い失業率を叩き出したことはないです。グラフはこちらからお借りしました。

主要先進国でもこの数字はギリシャかスペインだけです。で、考えて欲しいのはこれが5/6で緊急事態宣言が終了した場合です。これを5月末まで延長すると失業率は22.2%になります。これはどれくらいかというとアメリカの大恐慌と同等の数字です。こうなったら年金や生活保護も満額払えるわけもない。
こちらは当時のアメリカの失業率

で、日本に大恐慌が起きるとどんなことになるのか。


これはバブル崩壊の時の自殺数の増加で

経済崩壊が起きるとどうなるか、具体的に理解しよう

これにもかきましたが、バブル崩壊から四年後に借金を返せなくなった企業がバタバタ飛んで、失業者が増えました。それでも失業率は5%くらいだったのです。


それでも自殺者は毎年1万人、行方不明者が2万人増加。合計するとざっと30万人くらいが消えてしまった感じなのです。繰り返しますが、バブル崩壊では失業率5%。しかし5/6での失業率予測は17.3%ですよ。その3倍!!

自殺と失業率には明確な相関関係があります。こちらが論文

どういう相関関係になるかは不明ですが失業率が17.3%なら、この3倍はいくかもしれない。そうすると自殺者は一気に年間3万人くらい増えるかもしれない。

NYの感染率14%と慶応病院のコロナ外患者の感染率6%の意味が分からない皆さんへ

をもとにすると、インフルエンザは過去一番多かった年で1400万が罹患したので、日本中にコロナが蔓延してその3倍の感染が出たとすると、4200万人。死者数は840人〜16800人です。現在は400人くらいなので、楽観的に見て数千の下のほうだとすると、その何十倍もの人たちが自殺したり、数千万人が路頭に迷ったり、破産したり、一家離散するわけです。もう目の前真っ暗ですよ。

ここまでの計算は超適当で、とりあえずアンケートの結果もそのとおり全部潰れるのか、それとも政府の貸し付けで生き延びるのか、とはいってもバブル崩壊の時は4年後にその借金を返せずに膨大な数の企業が倒産したわけだが、それもまた不確実。ただいえるのは

中国、1~3月期に46万社の企業が倒産

無理矢理に終了宣告をして経済を回しはじめた中国もこのざまで、アメリカに至っては

コロナ不況は世界恐慌を上回る…さらなる現金給付に加えて「ニュー・ニューディール政策」を

2020年夏の失業率が史上最高レベルの32%に達するとの見通しを、セントルイス連邦準備銀行が示している。

ちなみに世界恐慌でも25%・・・・

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)により、わずか1カ月足らずで、アメリカの労働者の1割以上が職を失った。さらに第2四半期(4~6月の3カ月間)には、失業者の数が4700万人以上に達する恐れがあるとの見方を、セントルイス連邦準備銀行が示している。この場合、失業率は実に32%という衝撃的な数字に達する。

とまあ、5/6で緊急事態宣言という自粛が終わっても物凄い不況で、おそらくコロナの死者よりもずっと多くの人が死に、数千万規模が飢えるかもしれない。もちろんこのエントリーは中小企業経営者へのアンケートなので実態は違うかもしれないし、違ってくれと祈る気持ちで一杯です。

緊急事態宣言の検討は、くれぐれも感染症の専門家ではなく、精神科医と経済の専門家をくわえて検討していただきたいものです。コロナの死者が1000人で収まれば感染症の専門家は大手柄だが、経済破綻で30万人が死ねば元も子もないからです。相当なダメージを確実に負った日本にトドメは絶対刺して貰いたくないです。

大恐慌で何が起きたか。いまのうちに勉強しておいた方がいいかもよ


編集部より:この記事は永江一石氏のブログ「More Access,More Fun!」2020年4月28日の記事より転載させていただきました。