世界最大の民主主義国インドで点火した中国への怒り --- 古森 義久

(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)

「世界最大の民主主義国」と評されるインドが中国発の新型コロナウイルスと壮絶な戦いを続けている。

人口13億の国家全体を封鎖する措置をとって50日近く、爆発的な感染拡大こそ防げたが、感染者数は増え続け、全土封鎖は二度も延長された。経済への悪影響も深刻となり、ついにナレンドラ・モディ首相に近い法律家集団が、国連で中国の責任追及を提起する手続きをとった。

2回延長されたロックダウン

中国に次いで2位、民主主義国としては世界最大の人口を抱えるインドで初めて新型コロナウイルスの感染者が確認されたのは、今年(2020年)1月30日だった。その直後の2月3日にさらに2人の感染者が出る。これらの3人はいずれも中国の武漢から直行便で帰ってきたインド人学生だった。

その後、すぐにインド政府は中国との国境を閉鎖するなどウイルス流入阻止のための厳しい措置をとった。しかし3月上旬にはイタリアからの観光客14人がインド国内で発症するなど感染が広がり続けた。3月中旬に入ると、感染者の数はさらに激増していった。

モディ首相は、このままではインド全土で爆発的な感染拡大が起きると判断して、3月25日、国全体の大規模なロックダウン(都市封鎖)を断行した。

ロックダウンは3週間を予定され、全世界でも最も厳密とされるほど徹底していた。ウイルスの感染を防ぐために人と人の接触を禁じ、移動も禁じるという全面遮断だった。

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