さて、Amazonではショートドキュメントにまとめて会議をしていることが注目されています。
amazon流「企画資料」と「企画会議」の極意〜資料策定から会議運営まで無駄なく進める上で参考にすべきこと
具体的には、
アマゾン社内のビジネスドキュメントは、「Narrative」(ナラティブ=物語)と呼ばれるA4で1ページの「1ページャー」、もしくは6ページの「6ページャー」のメモのどちらかにまとめることになっている。
6ページャーが提案される会議では、冒頭のおよそ15~20分間、まずは全員がドキュメントを読むための時間にあてられる。静まったミーティングルームで参加者が黙々とドキュメントを読む雰囲気はかなり緊張感が漂っている。
ということの2点が肝だと思います。そのうえで、私が所属していた豊橋青年会議所(JC)の理事会はこういうルールでした。
1)資料は2日前までに提出、前日に資料配信、議論は資料を読んだ前提で質疑から始まる
2)誤字脱字や軽微な質問は、前日の資料配信から会議が始まる前までに行う→ミスがあった場合は修正資料を配信
3)1議題に対し容量は多くとも5メガバイト以内に抑え、無駄な参考資料を極力減らす。
どうでしょうか。かなりAmazonの会議にやっていることが近いと思います。
やってみて思ったのは、これの良いところは、「資料が分かり難い」のか「資料を読み込む力が無いのか」が、かなりはっきりすることです。初見でいきなり質疑応答だと瞬発力の勝負になってしまい、瞬発力勝負は、往々にして「声のデカい勢いのある人の勝ち」になってしまい、理解力のところまでいかない。でも、時間をとることで、議論の本質のところに行けます。
また、誤字脱字や軽微な質問は会議前にクリアにしておくことにより、厳しい言い方をすれば、「下らない質問を会議でするのは質問する方の能力不足」と捉えられ、下手な質問をすると「そんなものは会議前にやっとけ」という空気になり、より本質的な質問をすることになり緊張感が出ます。
また、アメリカの大学でよく聴く「コールドコール」、議長が突然に指名して、何か意見なり質問を言わせるという制度も取り入れているので、質問をちゃんと用意してこないといけない=事前に資料を読み込まなきゃいけません。
その上で、事前に資料を読み込むとなると、大量の資料では読み込めません。如何に完結、端的に書くか。特に最近は回線が太くなってしまったので、「あれもこれもとりあえず詰め込んどけ、配信できるから」という資料の膨張化が激しくなりがちなので、私の在籍当時でも5メガバイトまでというのは、「資料の取捨選択をさせる」という意味で、よい制限だったように思います。
さて、自分の会社の会議で、コロナと言うことも有り、これを導入しています。
まず、私の代から、節目、ケジメとしては月初めの1日というキリの良さがあったかもしれませんが、月初会議を1日から2日へとずらしました。今までは月末に数字を締めて資料造って、翌朝の会議だったのだけど、これだと、初見資料やデータで会議になるので、議論が表層的になったり、発表者もデータの持つ意味を深いところで捉えきれなかったり、ということがありました。また、質問内容を後に振り返り、追いやすくするために、chatworkを導入しました。
そして、発表側は指定時間までに資料を投稿し、質問側は指定時間までにファースト質問を投稿、その返信が書き込まれた状態から会議がスタート、としました。
効果はてきめんで、議論の質が非常に高まりました。各部門がしっかり資料を読み込むので、部門間の情報共有、実情の共有、連携も増したように感じます。
現在は、さらに、パワポにグラフだけを単独で貼ることを禁止しました。飛行機で言うなら、高度グラフだけを張るのでは無くて、「雲があるからわざと高度を落とした」のか「機材トラブルにより高度が落ちた」のか、同じ数字の動きでも、その「意味」を必ず同じスライド内に記載(敢えてスライドを分けない)することにより、資料としての必要性、「なぜこの資料、このグラフが必要だったのか」を可視化、意識化することにしました。
定例会議の資料って、どうしても、フォーマット化、定型化しがちです。もちろん、フォーマットが変更されないことにより、経時的に統一規格で変化を追うことが出来るというメリットはあります。水道メーターの記録簿などは何十年も変わっていないが、変わっていない故に特徴的な変動が分りやすいです。
ただ、一方で、フォーマットが完成している余りに、「惰性で前回と同じフォーマットで造ってしまう」、そして、「今の状況を説明するのに、今、会社に起きていることを表現することに、そのフォーマットでの説明が本当に適切なのか」ということを考えなくしてしまう弊害、引いては、なんとなく様になった資料になってしまうために、データの意味を深く考えないということにも繋がってしまいます。
だからこそ、資料の取捨選択プロセスを入れることで、持っている情報、データの重要性、意味付けを考えることに繋がります。
そして、こういったことを学べるのが、青年会議所だったりします。会議ルールの詳細は、それぞれの青年会議所ごとに違いはありますが、実は、結構合理的に最先端のこともリーダーのトレーニングとしてやっているところは共通していると思います。
ご興味があれば、近隣の青年会議所にお問い合わせください。と、最後にちょっとだけ宣伝を入れておきますね。
村井 裕一郎
種麹メーカーを経営しています。種麹とは、麹を造る元になる麹菌を商品化したもの。麹や発酵のこと、ビジネスのこと、日常生活のこと、色々noteに書いています。2020年4月より京都芸術大学大学院。 MBA・みそソムリエ・一級ブランドマネージャー・愛知・豊橋・東三河