森ゆうこ議員との訴訟審理開始:答弁書で驚きの新事実、毎日新聞は検証を

2020年07月31日 18:00

国会中継(YouTubeより)

森ゆうこ参議院議員は昨年、国会で繰り返し私を名指しし、犯罪相当の行為をしたなどと事実無根の発言を繰り返した。私の自宅住所をネットで晒しもした。国会での懲罰を求め請願を行ったが、残念ながら対処いただけなかった

やむなく、今年2月、森議員を提訴した。国会議員の国会内の発言は免責特権の対象で、原則として訴訟で争えない。このため、今回の訴訟では、国会内の発言は対象外とし、

  1. 昨年6月の毎日新聞記事をネットで拡散したこと(名誉毀損)
  2. 私の自宅住所をネットで晒したこと(プライバシー侵害)

の2点を対象とした。

自分自身の名誉回復等もあるが、それ以上に、こうしたことが繰り返されないよう、問題の生じる構造を究明し、国会論戦の改善などにもつなげられたらと考えている。

(参考)森ゆうこ参議院議員に対する訴訟の概要

毎日新聞記事は、私が国家戦略特区に関して提案者から200万円の指導料を受け取った、としか読めないものだった。また、私が提案者から会食接待を受けたとも書かれていた。いずれも事実無根であり、毎日新聞とは昨年6月来、訴訟で係争中だ。

森議員との訴訟はコロナでスタートが遅れ、7月31日、ようやく1回目の口頭弁論が開かれた。当方の訴状に対し、森議員側の答弁書が提出された。事実は今後の訴訟の中で明らかにしていく。だが、それ以前に、答弁書をみて驚いたことが2つあった。

森議員は「原が指導料を受け取った」とは思っていなかった?

第一に、答弁書によると、森議員は「原が指導料を受け取った」とは思っていなかったのだそうだ。毎日新聞記事を普通に読めば、そんな読み方をするわけがないという。

これには驚いた。国会での森議員の発言と明らかに相反するからだ。

1)森議員は2019年6月11日参議院農水委員会で、こう発言している。

特区提案者から指導料と、ワーキンググループ委員の支援会社が二百万円、特区ワーキンググループの原座長代理に対して指導料という形で払ったということで、会食も行っていたという記事であります。

2)また、2019年10月15日参議院予算委員会では、

(原さんが)国家公務員だったら,あっせん利得収賄で刑罰受けるんですよ。

と発言した。私が金銭を受け取っていないなら、仮に国家公務員だったとしても、「あっせん利得罪」も「収賄罪」も成立するわけがない。これは、私が金銭を受け取ったと言ったのと同じだ。

これらはいったい何だったのかというと、1)は「記事の記載を断片的に羅列して読み上げた」だけで、私に指導料が払われたと認識していたわけではないという。こんなレベルの低い言い逃れは、一般社会であまり耳にしない。

また、2)は「あくまで仮定の話を前提とした意見ないし論評」で、「発言の趣旨は、特区制度の公平性・中立性に疑問を呈した」ものだという。「仮定の話」としても事実に反することが問題なのであって、「趣旨」が何だろうが、私が金銭を受け取ったと言っていることに変わりはない。

要するに森議員は、国会発言は間違いだったと認めざるを得ないのだと思う。残念ながら、これら発言は免責特権の対象で訴訟で争えない。だが、森議員は間違いとわかっているなら、なぜ速やかに発言を撤回しないのか、本当に理解できない。

一般社会では、いわれなく他人を誹謗中傷しておいて、「断片的に口走っただけ」、「趣旨は違った」では通らない。国権の最高機関たる国会での発言が、そんな無責任なものであってよいはずがない。

国会議員の方々にお願いがある。国会議事録には、森議員の上記発言が今もそのまま掲載されている。ネットで誰でも見られる状態で、おそらく何十年先まで残り続ける。明らかに事実に反する誹謗中傷がこうして広く公開され続けるのは、何とかならないだろうか。ネットはフェイクニュースだらけだとよく言われるが、まともなネットメディアならば、そうした言論はすぐ削除してくれる

国会議事録以前に、そんな言論が国会でなされ、放置されていることもおかしいと思う。国会論戦のあり方、議事録のあり方がこれでよいのか、ぜひ国会で議論いただきたい。

起点は毎日新聞ではなく森ゆうこ議員だった

問題になった毎日新聞の記事

答弁書で驚いた二点目は、一連の経過に関することだ。私はこれまで、起点は毎日新聞の誤報で、森議員はこれに飛びついてしまったのだろうと推測していた。

ところが、答弁書によれば、逆だったのだそうだ端緒は森議員が漁業法改正に係る経過を調査していたことで、そこで明らかになった事実をもとに毎日新聞社が取材を重ね、記事が掲載されたという。

これにも仰天した。国会議員がマスコミに情報提供ないし依頼し、マスコミが取材を行って記事にし(それも杜撰な取材だが)、国会議員が記事をもとに国会で質問する。さらに、以前から指摘しているが、取材過程で得た資料・情報を、報道に用いるのでなく、国会質問用に提供した疑いも濃厚だ。これでは、もはやマスコミが特定の議員や政党の“下請け調査機関”に成り下がっているようなものではないか。

もちろん、マスコミはさまざまな情報源を端緒としており、議員が端緒となるケースもあろうことは何ら否定しない。しかし、特定の議員や政党と適正な距離を保つことは報道倫理の根幹のはずだ。それができないならば、「報道」と称すべきではない。

毎日新聞社にもお願いしておきたい。訴訟係争中ではあるが、判決が出るのを待つことなく、速やかに本件の経過を検証し、社内で報道倫理を徹底していただきたい。これは、報道機関としての根幹に関わる事柄だと思う。放置してはいけない。

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原 英史
政策工房 代表取締役社長

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