人気沸騰の副大統領候補、元サンフランシスコ市長の愛人の”黒歴史”

2020年08月14日 06:01

11月の大統領選で政権奪還を目指す民主党のバイデンにより、初の”黒人女性”副大統領候補に指名されたカマラ・ハリス上院議員。地方検事から国政に転じた王道の経歴や豊かな人種的バックグラウンド(父がジャマイカ人、母がインド人)、見た目の美しさなどを日米メディアがこぞって称賛し、旋風が吹き荒れている。

カマラ・ハリス氏(公式写真)

筆者が初めてカマラ・ハリスの名前に触れたのは、今から16年前、新聞社を退職し、カリフォルニア大学バークレー校のジャーナリズムスクールに留学した2004年の夏のこと。直属の上司だった白人男性を劇的な選挙戦で破り、サンフランシスコ検事長に就任したばかりの彼女は、「時の人」として地元の有名人だった。

全米で最もリベラルとされるサンフランシスコは、史上初の”黒人女性”検事長の誕生に沸いた。その熱狂ぶりは、ちょうど今のメディアのそれと重なる。

当時まだ30代だったハリスを有名にしていたのは、公的な職務だけではない。1996年に黒人として初めてサンフランシスコ市長に当選し、2004年まで2期8年を務めた黒人政界のレジェンド、ウィリー・ブラウンと不倫関係にあったことは、地元では知られた話だった。

実際には、二人が不適切な関係にあったのは、ブラウンがサンフランシスコ市長に出馬する前の1994年から1年余り。地方検事としてのキャリアをスタートさせたばかりの29歳のハリスは、30歳以上年の離れた政界の実力者との関係を通じて、高級車や、キャリアアップにつながる職責などの便宜供与を受けたとされている。

ブラウンの市長選出馬を機に関係は精算されたが、破局後も、市長の立場から何かと元愛人をサポートしていたことは、2003年、ハリスがサンフランシスコ検事長選に名乗りを挙げた当時、地元紙で報じられていた

こうした過去は、昨年、彼女が大統領候補として全米の注目を浴び始めた際、一部のメディアが報じたが、大勢には影響しなかった。

そして、ハリスが副大統領候補に正式指名されてからの、メディアの大熱狂である。

しかし、それと裏腹に、アメリカの黒人女性たちは意外に冷めた反応であると、黒人女性と政治について研究しているナディア・ブラウン教授(パーデュー大学)はインタビューに答えている。ハリスには、オバマ前大統領にあったような、黒人社会へ歩み寄り、寄り添う姿勢が感じられないという。

その最大の理由は、ハリスが白人(ユダヤ系であり、ハリウッドセレブ御用達の弁護士)と結婚したことだと述べている。そして、メディアが煽る熱狂は、BLM運動に賛同したり、バイデンに政治資金を寄付したりするような「良きリベラルな白人」によるもので、実際の黒人の視点を見落としていると指摘している。

さて、御年86歳のブラウンは、昨年、地元有力紙サンフランシスコ・クロニクルに「Sure, I dated Kamala Harris. So what?(もちろん俺はカマラ・ハリスと付き合ってたさ。それが何だ?)」というタイトルのオピニオンを寄稿し、ハリスとの過去の交際をはっきりと認めている。

一方、”黒歴史”とばかりに、ブラウンとの過去について沈黙を貫いたままのハリス。11月、アメリカ史上初の黒人女性副大統領が誕生するのか。バイデン&ハリスの選挙戦が注目される。

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恩田 和
ライター、元全国紙記者

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