左翼メディアと煽り系専門家たちの罪 ~ 日本モデル vs.西浦モデル2.0の正念場⑦

篠田 英朗

メディア関係者「〇〇せんせ~い、感染拡大止まってきちゃいましたねえ」

煽り系専門家「そうだなあ、ちょっと早かったなあ、消化不良だよ」

メディア関係者「しばらくお休みってことになっちゃいますけど、また増加し始めたら、またバーンと脅かすやつ、お願いします」

煽り系専門家「次は最初からもっとガンガンやるから、早めに呼んでよ、とにかくPCR検査に金を回すんだ」

メディア関係者「わかりました、またそんときはパーっと派手にお願いしますね」

今、こういった会話が、メディア関係者と「感染爆発で日本は終わりだ」系の専門家との間で、繰り返されているのだろうか。

私の「日本モデル vs. 西浦モデル2.0の正念場」シリーズでは、8月になってから一貫して新規陽性者数の減少を書き続けている。東京で見てみよう。

新規陽性者数

(7日間平均)

増加率

(前の7日間との比較)

8月18日~24日 221人 0.85
8月11日~17日 258人 0.77
8月4日~8月10日 335人 0.99
7月28日~8月3日 338人 1.34
7月21日~27日 252人 1.15
7月14~20日 219人 1.30
7月7日~7月13日 168人 1.69

これを日ごとの7日移動平均値をとったグラフで見るとこうなる(参照:東洋経済オンライン)。

全国でも同じような傾向を見せている(参照:東洋経済オンライン)。

7月の4連休の際には、陽性者数拡大の鈍化が一度止まったような形になった。8月のお盆休みの時期にも似たような傾向が見いだせないわけではないが、小さな影響を見せただけで、再び新規陽性者数の減少が継続している。

私が称賛し続けている尾身茂会長・押谷仁教授を中心とする本当の専門家たちが推進してきている「日本モデル」は、2月中旬の段階での新型コロナの封じ込めの不可能性を洞察する英断から始まっている。緊急事態宣言の影響が出尽くした後の6月下旬から新規陽性者数の増加傾向が戻るのは、「日本モデル」の視点からは織り込み済だったと言ってよい。

問題は、「西浦モデル」が予言するように際限なく死者が出たり、果てしない新規陽性者の指数関数的拡大が続いたりするのか、あるいは「日本モデル」が目指すように死者数の増加の抑制を図りながら、新規陽性者の拡大も抑制できるのか、であった。

結果は、「日本モデル」の勝利である。

渋谷健司氏(FCCJ動画)、児玉龍彦氏(東大先端研サイト

7月の段階で「西浦モデル」の勝利を確信した煽り系の専門家たちは、日本の政策の破綻を予言したり嘲笑したりすることによって、野党勢力を喜ばせ、左翼系メディアでもてはやされた。

東大先端科学技術研究センターの児玉龍彦・東京大学名誉教授は、立憲民主党に招致された参考人として参議院予算委員会に登場し、東京は「ニューヨークの二の舞になる」とか、8月は「目を覆うようなことになる」とかと予言した。これに対して日頃から世界の問題はすべて安倍首相によって引き起こされているかのような論調を繰り返しているメディアが歓喜して群がり、喝采を送った。

ちなみに児玉氏は、感染症の専門家ではない。それにもかかわらず児玉氏こそが全てを知る専門家の中の専門家だ、といったふうに持ち上げた野党勢力や左翼系メディアが、自作自演の煽り行為から免責されるとは、私は思わない。

3月頃から、日本ではすでに感染爆発が起こっているので「手遅れ」だと主張し続けていた渋谷健司氏は、7月以降に再び頻繁にメディアに登場するようになった。渋谷氏は、もう「手遅れ」であるはずの日本のために、どういうわけかPCR検査拡大の伝道者を演じ続けている。「54兆円全国民PCR検査」国民運動プロジェクトにも立ち上げ時から関わっている。

関連拙稿:渋谷健司氏が賛同する54兆円全国民PCR検査に反対する

今や渋谷氏は、立憲民主党や共産党の議員が嬉々として頻繁に参照する人物である。

ちなみに渋谷氏は、感染症の専門家ではない。それにもかかわらず渋谷氏こそが全てを知る専門家の中の専門家だ、といったふうに持ち上げた野党勢力や左翼系メディアが、自作自演の煽り行為から免責されるとは、私は思わない。

経済学者の肩書で政府諮問委員会や分科会のメンバーとなった小林慶一郎氏は、感染封じ込めこそ最大の経済対策なるスローガンで、暇さえあればPCR検査の話をして、メディアにもてはやされた。旧専門家会議=現分科会の尾身会長・押谷教授ら本当の専門家の主導でPCR検査は着実に戦略的に増やされているのに、あたかも政府の陰謀でPCR検査の拡大が阻止されているかのような印象論をまき散らし、小林氏は、分科会内の野党勢力として左翼メディアに歓迎される言説を繰り返している。

ちなみに小林氏は、消費税30%以上を唱える筋金入りの増税主義者である。諮問委員就任にともなって名前を抜いたようだが、「54兆円全国民PCR検査」国民運動プロジェクト立ち上げ時の賛同者である。

関連拙稿:渋谷氏と全国民PCR検査推進の小林慶一郎氏が諮問委入りの騒然

ニューヨーク州は今でも人口一人当たりの新規感染者数や死者数が日本や東京よりも多い。それにも関わらず、小林氏は、ニューヨーク州はPCR検査で新型コロナの封じ込めに成功した、といった印象を与える無責任な言説を繰り返し、野党勢力や左翼メディアを歓喜させた。

ちなみに小林氏は、感染症の専門家ではない。それにもかかわらず小林氏こそが全てを知る専門家の中の専門家だと持ち上げた野党勢力や左翼系メディアが、自作自演の煽り行為から免責されるとは、私は思わない。

なおこれらの煽り系専門家たちの塊を形成しているのが、東大系の人物であることが着目され始めている。これだけ塊になっていると、感染症の専門家を育ててきていなかった東大系の人物たちが、あわてて資金獲得のための操作に奔走しているのではないか、という憶測が広まり始めているのは、やむをえないことだろう。

【コロナ問題】PCR検査プロパガンダのウラに得体のしれない「闇」【白川 司】

巨額のお金の流れにかかわる話に積極的に関わろうとする人々に、日ごろから「アベ政治を許さない」だけを専門家だか知識人だかであることの基準とするメディアが結びつき、執拗な煽り報道を通じた世論を支配するための運動が続いている。

この怪しい社会情勢の中で、「分科会は政府に近すぎる」などといった、本当の専門家である尾身会長や押谷教授に対する全く不当な誹謗中傷まで繰り返されるようになった。

「アベ政治を許さない!と叫ばない者は知識人ではない」方式の無責任な言説をまき散らしている左翼メディアに、「どこまでもお金を使ってPCR検査を!(なお私がそれを管理する!)」社会運動家たちが結びついている現状は、酷すぎる。

私は、繰り返し、尾身会長や押谷教授らを称賛してきている。彼らは、日本の英雄である。その英雄的な本当の専門家たちに対する不当な誹謗中傷は、私としては、絶対に許せない。