安倍さん健在なのに“菅首相の弔い合戦”で大勝の兆し

2020年08月31日 06:01

きのう(8月30日)は日曜にもかかわらず、政局的には大きく動いた1日となった。菅官房長官がポスト安倍に名乗りを上げると各社が報道し、さらに続け様に産経新聞が、二階派が菅氏支持でまとまると速報した。

政府インターネットテレビ

私が小耳に挟んだところでは、菅氏の出馬にあたっては、安倍政権ナンバー2の麻生副総理が容認するかどうかが焦点との見方があったようだ。党の重鎮、二階氏に続いて、政権重鎮の麻生氏がどう判断するのか。

今のところ麻生派は河野防衛相が出馬をめざす動きが伝えられているだけで、30日深夜の時点では、麻生氏本人の意向は定かではないものの、この日、かつては安倍首相の「意中」の人とされた岸田氏が麻生邸を訪問。帰り際、険しい表情で記者団の取材を振り切るようにその場を去ったことから、麻生氏の支持を取り付けられなかったのではないかとの見方が広がったようだ。(※その後、岸田氏は囲み取材に応じた模様)

岸田氏(官邸サイト)

総裁選は党員投票なしの「簡易型」の見通し。これにより世論調査で人気は高いものの、国会議員の支持で低迷する石破茂氏は派内に出馬を見送り論も出始めたようだが、仮に立候補しても今回は厳しそうだ。

最大にして総裁派閥の清和会(細田派)、平成研(竹下派)の動向がまだ明確ではなく、今週は菅氏と岸田氏の支持拡大競争が激化しそうだが、「菅氏出馬意向で各派に動揺 岸田派、戦略に影響必至」(産経新聞)といったように、週明け時点では菅氏が主導権を握りつつある情勢にみえる。

安倍退任で支持率20%の爆騰!

菅氏と岸田氏、どちらが後継の総理総裁となっても直近で解散総選挙を断行するのかも注目されるが、昨日は解散総選挙を占う上で世論調査で劇的な動きがあった。沈滞気味だった安倍政権への支持率が皮肉なことに首相の退陣で、日経・テレ東調査で12%、共同通信調査に至ってはなんと20%も(!)アップするという“滝登り”状態となった。

この数字の読み解きについてはいろいろあるだろうが、共同調査では首相の退任判断を「妥当」とした人が88%に上った。首相が難病再発で不慮の退任を余儀なくされたことへの「同情」を集めた可能性もある。立憲民主党の心ない女性議員が13年前の一次政権と同じ退任理由であったことから「大事な時に体を壊す癖がある危機管理能力のない人物」などと中傷し、党内からも総スカンを食ったが、まったくもって民意を読み損ねたといえる。

なお、共同調査では安倍政権の業績について「評価する(27%)」「どちらかといえば評価する(46%)」を合わせて7割を超えた点からも、長期政権の重責を担った安倍首相への慰労の念も強いのかもしれない。

辞任会見で国民に感謝の意を示す安倍首相(官邸サイト)

このまま野党埋没で総選挙大勝へ?

こうしてみると、コロナ禍が追い討ちした政権末期の停滞感はかなりリセットされたとみてよさそうだ。いやリセットどころか「反転攻勢」、不慮の退任劇となった安倍首相の擬似的な弔い合戦効果で自民党に上げ潮ムードが起きているは確かだ。立憲民主党と国民民主党の多数派でつくる合同新党の人たちは埋没が確定的になり、今頃青ざめているのではないか。

もちろん政界は一寸先は闇だ。このあと総裁選で文春砲が政権与党のスキャンダルをぶちこむなどの波乱が起きないとは言えない。総選挙の前に総裁選もまだまだ流動的な要素があるのは確かだ。

しかし、総裁選が順調に終われば、次期首相が一気呵成に解散総選挙を断行、大勝して民意も得た新政権始動というシナリオを描いてもおかしくない情勢になりつつある。

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新田 哲史
アゴラ編集長、報道アナリスト

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