GoToの見直しよりもやるべきことがある

玉木 雄一郎

菅総理からGoToキャンペーンの見直し方針が示された。地域や時期が明示されていないなど泥縄式は否めない。

加えて、なぜ感染拡大地域「への」旅行だけ制限するのか?感染拡大地域「からの」旅行を制限する必要はないのか?しかも「新規」のみ。科学的エビデンスに基づいているのか不明で、いずれにしても中途半端な印象を受ける。

また、GoToばかり批判されるが、10月から全世界対象に入国緩和したこととの関係はどうなのか。感染が拡大している国からの入国を拒否できる法的根拠がそもそも曖昧で、本来はテロ対策等のための条文である出入国管理法5条1項14号を騙し騙し使うのは限界だ。今のままでは水際対策として不十分で、法改正を急ぐべきだ。

事実、国の要請に従わず、入国してから電車等の公共交通機関で移動している者もいる。また入国後どのような接触を行ったのか追跡(トレース)も十分できていない。しかも政府はこうした実態を正確に把握できていない。接触アプリの義務付けぐらいしてはどうか。できないなら急ぎ法改正すればいい。協力したい。

そして、今回の政府のGoToキャンペーン見直しで経済がより悪化することが想定される。このまま何もしなければ、年末年始に向けて経済や雇用が悪化するだろう。OECDの経済見通しでも、日本は死亡者や重傷者が少ない割には、経済の戻りが極めて悪い。

私は春頃から、国会などの場で何度もトータル100兆円規模の経済対策の必要性を訴えてきた。菅内閣には、少なくとも予算委員会で示した2枚のパネルに掲げてあることだけでも早急にやってもらいたい。

これから数ヶ月で感染を抑えこまなければオリンピックを開催することなどとてもできない。冬のボーナスが出ない企業も多い。感染拡大を叩くハンマーと同時に、追加の現金給付や消費税減税などで経済と暮らしを徹底的に支えるべきだ。

第一波のコロナ対策を検証した民間臨調の報告書では「泥縄式だったら結果オーライだった」と記述されている。ある種の幸運と国民の努力で第一波を乗り越えることができたが、幸運の女神が、2回、3回とは微笑んでくれるとは限らない。今こそ、政権の意志を持った明確な戦略と対策が必要だ。

特措法、感染症法、出入国管理法の改正についても、政府が取り組まないなら、他党とも協力してこれらの改正案を国会に提出していきたい。


編集部より:この記事は、国民民主党代表、衆議院議員・玉木雄一郎氏(香川2区)の公式ブログ 2020年11月22日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はたまき雄一郎ブログをご覧ください。