東京都の6月末までのコロナ死者のデータを見たことがあるか

永江 一石

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spyarm/iStock

経済学者の松本貴典成蹊大学教授が日本では過去30年のデータから、失業者が16万人でると自殺が1000人増えるとおっしゃっていて、これは実に失業者の160人に1人。現役にとってコロナよりも失業のほうがよほど死に直結するのだ。このようにしっかりと数字で考えると見えてくることが山ほどあります。私の提案通り、東京は高齢者を除いてのGo Toの適用となった。ハイリスク層は隔離し、若い世代が経済を回さないと結局は共倒れになってしまう。

しかしながらSNSをみていると
「こんなことをしていたら、医療従事者もみんな死んでしまう。国民が全員死んでしまっては経済回す人がいなくなる」みたいなスーパーサイヤ人級のスーパーコロナ脳が存在していまして、これにいいねが数千付くのです。過去にコロナは数千、数万回は変異して同じ事があったはずだけど人類は滅亡してないとたけしも言っていたけど、恐怖に怯えた人はもう半狂乱のようです。

さて本日は東京都が発表しているコロナの死者のデータの数字をしっかり考えてみたいと思います。こう書いても「でっちあげだ」とか言ってくる人がけっこういますが、これは東京都のサイトに掲載されている6/30までのデータです。このように7月以降は死亡率が大きく下がっています。

こちらが証拠です。

コロナで亡くなっている人ってどんな人?

わたしがいつも、「コロナで亡くなるのは基礎疾患のある高齢者」と言っているので「デタラメ言うな」と罵声を浴びせてくる医者がいるのですが、本当にそうなのか見てみますね。

死亡率は↑のとおりかなり下がりましたので5.2%ということはありません。7月以降は0.9%です。7/1以降の陽性者の総数は131192人。死者は1198名なので、死亡率は0.91%にまで下がっています。おそらく死者の年齢も上がったはずですが、とりあえず6/30までの統計。参考までに東京のコロナの死亡率は通期で1.2%だが、7月以降だと0.5%。

●死亡者の平均年齢79.3歳
●高齢ほど死亡割合が高く90歳代33.2% 89歳代30.2% 50歳以下は0.5%と非常に少ない
●院内・施設内感染の死者が51.7%
●死亡者の多くが基礎疾患あり

ここまでで「こんなことをしていたら、医療従事者もみんな死んでしまう。国民が全員死んでしまっては経済回す人がいなくなる」というのがスーパーコロナ脳ということが分かりますね。

死亡者の年代の詳細

グラフで見ると一目瞭然です。


全世界共通で圧倒的に男。これは喫煙率が高いためと言われているようです。
死者の平均年齢は79.3歳。男性77.1歳。女性は82.9歳。日本の平均寿命は2019年で女性87.45歳、男性81.41歳ですが、日常生活に支障がない健康寿命というのがあります。

これは、支援や介護を必要とするなど、健康上の問題で日常生活に制限のある期間が平均で9~12年もあるということです。つまりコロナの死者の平均年齢はこれを大きく上回っています。ちなみに鹿児島では


死者の平均は87.2歳だそうで、これは日本の平均寿命さえ大きく上回ります。

基礎疾患の比率は?

細かい図表ですが基礎疾患がないのに亡くなっているのは、全体では4人しかおらず、98%はなんらかの基礎疾患があると言うことが分かります。

高齢者でも基礎疾患がなければほとんど亡くならない

と言うことが言えます。暴飲暴食、タバコはやめてしっかり運動する。夜更かししないで睡眠時間をたっぷり取る。これだけでかなり防御ができることがわかりますね。

院内感染・施設内感染の死者が過半数

驚くことに、過半数の死者が院内、施設内感染の人です。

現在、医療崩壊が叫ばれていますが、北海道では老人施設でたくさんの寝たきりの認知症の人たちが感染してベッドを埋めていると教えて頂きました。

昨日のニュースでは大阪も入院患者の半数が80代以上で、自分では排泄も食事も出来ない人たちということでした。つまり院内感染や、高齢者施設の施設内感染の人たちだと思います。

実は東京ではこのように11月に大きな感染拡大がありましたが

死者は実は11月は激減しています。

東京都のデータでは死亡者の約半数が発症から2週間以内に死亡しているので、これだけ増えているのに死者は激減したと言っても良い。これには「医療が進歩した」「東京は広く感染しているので2回目の人は軽症」などいろいろな要素が考えられますが、わたしは一番は

東京は院内感染がほとんどなかった

のが理由ではないかと思います。確かに検索するといくつかは出てきますが、数十人、数百人という大規模なものがない。これが東京で重症者と死者が少ない理由なのではないかと思います。現場の皆さんがよく頑張ったのではないでしょうか。

逆に言うと、

院内感染・高齢者施設内感染を抑えられれば重症・死者とも激減する

わけです。医療システムをいまから変えたり、医者の総数を何倍にもしたり、ICUをドイツ並みに作るなんていうのは一朝一夕には行かないし、コストも物凄くかかるのに対し、院内感染・高齢者施設内感染を抑えるというのは非常にコストパフォーマンスがいいと思うわけです。医療システムの専門家ではないのですが、リソースを投入するのであれば

1 各施設のIT化による情報共有
2 施設への補助金拡大により従業者を拡充
3 施設への物資の供給
4 入退所管理システムの導入
5 各施設への教育 

など、ここは専門家に任せるとして、とりあえずはここに限られたリソースを集中投入することが、医療崩壊を防ぐ一番の手ではないかと思います。

コロナの感染拡大は東京ではここ2週間横ばいでついに先週比で減少に入りました。しかし各国の例を見てもコロナの抗体は2〜3ヶ月でなくなるというのが証明されたようで、なにもしてないのに突如感染拡大が止まり集団免疫が出来たとされたパキスタンでも2ヶ月後にまたはじまりました。


ヨーロッパ各国と同じ感じです。

つまり今ピークアウトしたとしても、4〜5ヶ月後にはまた次の波が来るわけです。そして国民全員がそこそこの自然免疫を持つまでずっと続くのです。ピークアウトした、よかったあじゃなくていまのうちに優先順位が高く、一番現実性があり、スピードをもって対応できる施策を打つべきと思います。

これからのB to B企業にとってもっとも大切な考え方がカスタマーサクセス。セールスフォースもこれで成功しました。ビジネスマンならこの知識は絶対必要ですよ。Kindleの今月のセールに出てきました。


編集部より:この記事は永江一石氏のブログ「More Access,More Fun!」2020年12月3日の記事より転載させていただきました。